オムニチャネル協会主催「DXイノベーション大賞」で表彰された誠和、コマツ、旭化成などの先進的な取り組みとは?
事業者部門で最優秀賞に選ばれたのは誠和。「エネルギーデザイン」による資源循環経済の創造に注力している点が評価ポイントとなった

一般社団法人日本オムニチャネル協会が初開催した「DXイノベーション大賞」の事業会社部門で、農業用ハウス向けの設備メーカーである誠和が最優秀賞を受賞した。地域のCO2排出量削減、農業産出額増加といった農業振興を両立させている取り組みなどが評価された。
「DXイノベーション大賞」は、DXによって「ビジネス共創」をめざす企業を表彰し、さらなるイノベーションへの挑戦を促進するアワード。授賞式は東京・虎ノ門で実施した。
授賞式では「事業会社部門」「ベンチャー企業部門」「支援会社部門」の3部門を表彰。部門ごとに「最優秀賞」「優秀賞」「スポンサー賞」を選出した。事業会社部門、支援会社部門では、これらに加えて「特別賞」も選出した。
日本オムニチャネル協会の鈴木康弘会長(デジタルシフトウェーブ代表取締役社長)は表彰式で「『DXで頑張っている人たちを応援したい、そういう賞を作りたい』という思いで『DXイノベーション大賞』を創設した」とコメントしている。
事業会社部門
- 最優秀賞:誠和
- 評価につながったプロジェクトの概要(プロジェクト概要):清掃工場と農業用ハウスの連携により、資源循環がもたらす環境価値と経済価値を可視化する「施設園芸エネルギーデザインシステム」を開発。佐賀県佐賀市は、清掃工場由来の熱とCO2を資源化し、清掃工場周辺に誘致する農業用ハウス事業者に利活用させる資源循環経済を構築し、地域のCO2排出量削減、農業産出額増加といった農業振興を両立させている。こうした事例を日本各地に普及することをめざしている。

- 優秀賞:コマツ、同志社大学
- プロジェクト概要:壁紙AI識別アプリ「かべぴた」をコマツと同志社大学が共同開発。従前は知見者が数時間かかった、品番が不明な壁紙のメーカー、品番を、撮影するだけで数秒で識別するアプリを開発した。業務効率化、脱属人化、紙やFAXに依存しない購入方法などに寄与することが期待される。
- スポンサー賞:旭化成
- プロジェクト概要:デジタル人材の育成。DXの実現に必要な3要素として「人」「データ」「組織 風土」をあげ、特に先行投資として人材育成の施策を展開している。
- 特別賞:BABY JOB
- プロジェクト概要:子どもを預ける保育施設を探している保護者が、自宅や職場近くの保育施設を、地図上で簡単に見つけることができる保育施設探しポータルサイトを開発。保育園探しをDX化することで、保護者・保育施設、双方の負担を軽減する。
ベンチャー企業部門
- 最優秀賞:wash-plus
- プロジェクト概要:コインランドリー向けのIoTシステム「smart laundry」がコインランドリーの経営の支援に貢献している。顧客のスマートフォンにインストールするアプリ「smart laundry」と店舗の機器が連動。コインランドリー運営の効率化による働き方改革や女性の社会進出といった時代のニーズに応えながら、他店への優位性・差別化につながるツールとなっている。全国のホテルや旅館のランドリーでも導入が進んでいる。

- 優秀賞:NGA
- プロジェクト概要:人材採用の効率化を支援するAI採用サービス「HelloBoss」の開発・運用。生成AI技術を活用した採用・求職プロセスにより、文章作成作業の自動化、履歴書写真の自動生成、AI面接練習、独自のAI技術で構築した全国540万社の企業データベースの公開――といった機能を無料で提供している。
- スポンサー賞:shizai
- プロジェクト概要:事業者向けに梱包資材を提供する。取引企業はD2C、メーカー、物流など多岐にわたる。顧客企業の資材のコスト、仕様の最適化にも貢献するとしている。
支援会社部門
- 最優秀賞:USEYA
- プロジェクト概要:AIとXR技術とスマートグラスを活用し、次世代の技能伝承とモノ作りを支援するデジタルシェア工房「USEYA ADVANCED INDUSTRY」を開発。熟練者の手の動きをXR技術で記録し、訓練生がその手の動きをなぞることでの学習を可能にしている。伝統工芸品などの承継に役立つとしている。

- 優秀賞:Will Smart
- プロジェクト概要:ドライバーの担い手不足によって交通空白が深刻化している長崎県平戸市において、デジタル技術を活用し二種免許以外のドライバーが有償運行する「公共ライドシェア」を運用を手がける。
- スポンサー賞:山陰合同銀行、NTT西日本
- プロジェクト概要:山陰合同銀行はリアルとネットをかけあわせた顧客体験向上に向けて、NTT西日本と連携。タッチポイントのオムニチャネル化とデータ活用を推進した新しいコンタクトセンターを設立し、生成AI、クラウドシステム、音声認識システムなどの導入と、それに伴うオペレーションを再構築した。
- 特別賞:Dialogue for Everyone
- プロジェクト概要:地方企業と、大手企業のミドルシニアをつなぎ、オンラインでの協働を通して、企業の課題解決、ミドルシニアのセカンドキャリアの選択肢を増やす取り組みを、「学びの機会(研修プログラム)」として提供している。
「DXイノベーション大賞」の審査員は鈴木氏、逸見氏、日本オムニチャネル協会 専務理事の林 雅也氏(ecbeing代表取締役社長)。特別審査員は、森川氏、日本オムニチャネル協会 実務フェローの庵原 保文氏(ヤプリ代表取締役)、菊地唯夫氏(ロイヤルホールディングス 代表取締役会長ほか)。
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