複数のAIチャネルから発生した注文などの確認+AIアシスタントの機能拡張+「Universal Commerce Protocol(UCP) 」対応など最新の「Shopify」アップデート

Shopify Japanは、150を超える機能更新を盛り込んだ「Spring '26 Edition: Everywhere」を発表した。AI販売チャネルの一元管理、AIアシスタントの機能拡張、広告運用の自動化、購入者向けAI接客、越境コマース支援、開発者向け基盤整備などを強化。AI時代のEC運営基盤づくりを一段と進める。

鳥栖 剛[執筆]

6月19日 9:30

Shopify Japanは6月18日、プロダクトアップデート「Spring ’26 Edition: Everywhere」を発表した。150を超える機能アップデートを通じて、事業者が新たな市場や顧客、販売チャネルへより迅速にリーチできるよう支援する。今回のアップデートでは、AI販売チャネルの管理機能、AIアシスタントの機能拡張、マーケティング自動運用、越境コマース支援などを強化した。

複数のAIチャネルから発生した注文などの確認+AIアシスタントの機能拡張+「Universal Commerce Protocol(UCP) 」対応など最新の「Shopify」アップデート
Shopifyは150を超える機能アップデートを実施

AI販売チャネルとインサイトを管理画面で一元管理

今回の目玉の1つが、「Shopify」管理画面上でAI販売チャネルと関連インサイトを一元管理できる「Agentic Storefronts(AI販売チャネル管理機能)」だ。事業者は、複数のAIチャネルから発生した注文、売り上げ、コンバージョンを一覧で確認できるほか、「Search Intelligence(AI検索分析機能)」を通じて、自社商品がどのAI検索クエリで上位表示されているか、あるいは表示されていないかを把握できる。

商品がAIとの会話のなかで紹介されても購入につながっていない場合には、AIアシスタント「Sidekick」が改善ポイントを提示する。Shopifyによると、商品はShopアプリに加え、ChatGPT、Microsoft Copilot、Google AI Mode、GeminiなどのAIプラットフォーム経由でも販売できるようになる。

AIアシスタント「Sidekick」を拡張、外部アプリ連携にも対応

AIアシスタント「Sidekick」も機能を拡張する。「Shopify」管理画面のホームでは、事業者ごとに最適化した提案を表示する「Sidekick Pulse」を提供。さらに、外部アプリと連携する「Sidekick App Extensions」により、Loop、Klaviyo、Judge.me、Matrixify、Avia、Segunoなど15以上のパートナーアプリと接続し、必要なデータの取得や各種アクションの実行を支援する。

広告・販促運用の自動化を強化

マーケティング領域では、「Campaign Autopilot(キャンペーン自動運用機能)」を打ち出した。事業者が設定した予算や運用ルールの範囲内で、有料・オーガニック双方のキャンペーンを自動運用する機能で、Meta、Shopアプリ、メールマーケティングに対応する。24時間365日バックグラウンドで稼働し、テストと調整を繰り返しながら成果の最適化を図る。今後はMicrosoft Advertising、ChatGPT Ads、Snapchatなどへの対応も予定する。

購入者向けAIショッピングアシスタントも提供

購入者向けには、AIショッピングアシスタント「Storefront Agent」を提供する。オンラインストア上で、ログイン中の購入者に対し、商品や注文に関する質問への回答や、適切な商品の提案を行う。

各ストアの商品カタログやポリシー、ブランドボイスを学習したうえで接客する仕組みで、事業者は管理画面から有効化するだけで利用でき、個別アプリの導入は不要としている。

分析、対面販売、越境コマース機能も拡充

分析機能「Shopify Analytics」も強化する。商品、注文、顧客に保存された独自のカスタムデータを分析軸として活用できるようにし、より詳細なレポート作成や絞り込みを可能にする。また、自動化ツール「Shopify Flow」からShopifyQLを使って売り上げ、トラフィック、在庫データを照会し、その結果に応じた後続アクションを実行できるようにする。

販売チャネル拡大では、モバイル専用の「Quick Sale(かんたん販売機能)」の提供地域を、「Shopify」が利用可能なすべての国に広げる。「Quick Sale」は、「Shopify」アプリ内で利用できるシンプルなカート作成機能で、特に対面販売やソーシャル販売の場面で、事業者がスマートフォンから迅速に販売を始められるよう支援する。初期段階での売上創出や、現場での機動的な販売対応を後押しする機能と言える。

越境コマース機能も強化する。関税計算の内訳表示により、事業者はすべての注文で関税の詳細を確認できるようになり、計算内容の把握や顧客への透明性向上を図る。現地通貨に対応したギフトカードでは、1つのストアから複数市場の現地通貨でギフトカードを販売し、対応通貨で利用できるようにする。さらに、配送ラベル料金を購入時の元の通貨のまま「Shopify Billing」に直接請求する仕組みを導入し、二重の通貨換算による不要なコストの発生を抑える。

開発者向けにAI時代のコマース基盤を整備

開発者向けには、Googleなどが推進する共通規格「Universal Commerce Protocol(UCP)」を通じて、数百万の「Shopify」事業者を対象に商品検索、カート作成、注文処理を行うための標準化されたインターフェースを提供する。Catalog APIキーを保有する開発者は、Shopifyとの個別提携なしにセルフサービス形式でUCPを利用できる。

標準化されたコマースインターフェースを通じて、商品の発見、カート作成、注文処理を1つのプロトコルで統一し、AIエージェントなど外部サービスから「Shopify」上の商品や購入導線へ接続しやすくする狙いがある。

「Shopify Catalog API」も拡充する。数百万の事業者が扱う数十億点の商品について、標準化された分類体系や豊富なメタデータ、商品・ブランド・取引に関するコンテキストを備えた構造化データを提供し、エージェンティックコマースを支える基盤とする。

新機能として、AIエージェントがフォーラム、レビューサイト、「YouTube」動画などのURLを送ると、そのページ内容を解析して「Shopify」Catalog内で特定された商品のリアルタイムデータを返す「Bulk Lookup(一括検索)」、視覚的に類似した商品を取得する「Image Search(画像検索)」、サイズ、カラー、配送予定日などのより詳細な商品データ取得への対応などを盛り込んだ。

AI開発ツール群も投入、開発効率とコスト最適化を支援

さらに、開発者向けの「Shopify AI Toolkit」と「DevMCP」も投入する。

「Shopify AI Toolkit」は、コードエディターとの接続、リファレンスガイドへのアクセス、データ構造の自動入力、コーディング中のエラー検出などを支援する開発ツール群で、ブラウザを開かずにコマンドラインからShopifyストアを管理することも可能にする。

開発者は、使い慣れたエディター内でAIと対話しながら、アプリの構築、ストアデータの取得、設定の更新を進められる。

対応環境としては、Cursor、Claude Code、VS Code、Gemini CLIなどを挙げる。リアルタイムのストアデータ、14種類の管理ツール、公式ドキュメント、ベストプラクティスなどを1つの環境に統合し、開発者が複数の画面やツールを行き来せずに作業できるようにする。

あわせて「DevMCP」により、さまざまなAIコーディングツールで日常的に活用しやすい環境を整え、トークン使用コストを最大20%削減するとしている。

AI前提のEC運営基盤づくりを加速

今回のEditionは「Everywhere」と名付けた。「Shopify」を利用する事業者が、消費者のあらゆる購買接点に自社商品を届けられることを実感してもらうためだ。「Agentic Storefronts」と「UCP」が連携することで、自社の商品が表示されるチャネルを主体的に管理できるようになる。(Shopify プロダクト担当バイスプレジデント Vanessa Lee氏)

日本の事業者にとって、多様な顧客接点に対応するために、それぞれのチャネルを個別に管理したり、業務の複雑性をさらに高めたりする必要があってはならない。Shopifyは、商品データ、店舗運営、そして取引を支える単一かつ信頼性の高い基盤を提供することで、顧客がどこで買い物をする場合でも、事業者が自社の商品を正確かつ一貫して提示できるよう支援する。(Shopify Japan カントリーマネージャー 馬場道生氏)

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