Amazonは4月22日、顧客・ブランド・販売事業者を守る取り組みをまとめた初の「Trustworthy Shopping Experience Report」を公表した。従来の「Brand Protection Report」から対象領域を拡張。模倣品対策に加え、組織的小売犯罪、製品安全、詐欺防止、レビューの信頼性確保まで含め、包括的な安全対策を示した。
Amazonによると、小売業界はグローバルで相互接続が進み、脅威は複雑化。悪質業者は手口を高度化させ、犯罪ネットワークは国境を越えて活動しており、リスクは模倣品にとどまらない。一方で、AIの進化により、数十億のシグナルを同時に分析し、問題が顧客に届く前に検知することが可能になっているという。
レポートでは、取り組みを次の4つの戦略で整理している。
- 問題が顧客に届く前に防ぐプロアクティブな管理
- リスクを事前に予測するツールの高度化
- 悪質業者への責任追及
- 顧客の保護と啓発
問題が顧客に届く前に防ぐプロアクティブな管理
Amazonは、正規事業者が出品しやすい環境を整備する一方、不正を試みる業者には多層的な防御を構築している。すべての新規出品者に対して販売開始前の厳格な本人確認を義務付け、開始後も継続的にモニタリングを実施。AIと自動化技術により、商品詳細ページへの変更試行を毎日数十億件スキャンし、不正の兆候を検知している。
さらに、テキスト、画像、出品者の行動、サプライチェーンのパターンなどを横断的に分析するマルチモーダルシステムを活用。不正が顧客に届く前の特定を支援している。安全性検査機関と連携した商品のコンプライアンス検証プログラムも展開する。
商品の安全面では、機械学習システム「Omniscan」を米国、カナダ、英国、トルコ、サウジアラビア、欧州のフルフィルメントネットワークに導入。掲載前に安全情報の可読性や表記を検証し、これまでに1200万点以上の商品画像セットを生成したという。
レビューの信頼性確保では、表示前に数十億件規模のレビューと数千のデータポイントを分析。1995年以降のレビューデータも活用し、2025年には数億件規模の偽レビューを掲載前にブロックしたとしている。
リスクを事前に予測するツールの高度化
リスクの事前予測では、新ブランドや新商品に対する脅威を、カタログ登録前に検知する早期警告システムを開発。ソーシャルメディアや他の小売事業者からのリアルタイムシグナルを統合し、知的財産権(IP)が共有される前でも侵害リスクを予測する。
2025年には、SNSで急速に話題となった新商品を狙う動きを察知し、ブランドオーナーがIPを共有する8日前に不正出品をブロックした事例もあった。
この予測技術は詐欺対策にも応用している。AIシステム「SENTRIX」により悪意あるWebサイトを検出し、フィッシングURLの削除成功率を10%以上向上させた。
悪質業者への責任追及
悪質業者への責任追及では、模倣品、詐欺、組織的小売犯罪(ORC)など複数の違法行為に対応。2020年の発足以来、模倣品犯罪対策チーム(CCU)は14か国で3万2000件以上の事案に対して法的措置を講じてきた。
2025年には、世界で1500万点以上の模倣品を特定・押収。さらに、偽レビューや詐欺行為を助長する100以上のWebサイトを閉鎖に追い込んだ。
国境を越えた対応も強化しており、中国の法執行機関やブランドと連携し、70件以上の強制捜査を実施。罰金刑や禁固刑を含む有罪判決につながったとしている。
顧客の保護と啓発
顧客の保護と啓発では、2025年に購入商品の安全情報を数百万人の顧客に直接通知したほか、7か国で34の消費者団体と連携し、71の重要テーマに関する安全情報を提供した。「リコールと商品の安全性に関するお知らせ」ページでは、政府がリコールを発表した際、対象顧客に危険性の詳細や返金・返品・修理の選択肢に直接リンクするパーソナライズ通知を届ける仕組みを整えている。
日本では、2017年に開始した「あんしんメール」を通じ、購入者に安全情報を配信。2025年は6000万通以上を送信した。リコール時には、対象顧客に危険性や返金・返品・修理の選択肢を案内するパーソナライズ通知も実施している。
また、米国で始めたベビーケア安全性ハンドブックの提供を2025年12月に日本でも開始した。赤ちゃんの移動、食事、安全な睡眠など7つの安全カテゴリーを網羅する内容としている。
毎年11月の「Amazon Product Safety Month(製品安全総点検月間)」では、経済産業省と連携。顧客、販売事業者、安全分野の専門家を対象に14回の社内外セッションを開いた。車載発煙筒などリスクの高い商品カテゴリーに関する「あんしんメール」の送信や、中国の出品者向けに製品安全4法改正を紹介する経済産業省との連携セッション、NITE(製品評価技術基盤機構)や販売事業者と初開催した「Product Safety Open House」、NACS(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)との製品安全・ブランド保護セッションなどを実施した。
Amazonは、安全性向上の取り組みが販売事業者に一定の負担を与える可能性も認識していると説明。そのうえで、「アカウント健全性ダッシュボード」などのツールを通じ、出品者がポリシー順守状況を把握・管理できる環境整備も進めている。
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