なぜ続くファーストリテイリングの高成長、成長の源泉はコンセプトの「LifeWear」

ファーストリテイリングの2026年8月期は売上収益が前期比16.6%増の3兆9633億円、事業利益が同30.4%増の7184億円と過去最高を更新した。高成長を支える要因となる、顧客の声を起点に商品開発から販売までを一体で設計する「LifeWear」戦略を探る。

鳥栖 剛[執筆]

7:30

ファーストリテイリングの高成長が続いている。2026年8月期の連結売上収益は前期比16.6%増の3兆9633億円、事業利益は同30.4%増の7184億円となり、大幅な増収増益で5期連続の過去最高業績を達成。ユニクロ事業がすべての地域で増収増益となり、グループ全体の成長をけん引した。この成長の源泉としてファーストリテイリングが掲げるのが、「LifeWear」というコンセプトだ。

なぜ続くファーストリテイリングの高成長、成長の源泉はコンセプトの「LifeWear」
大幅な増収増益で5期連続の過去最高業績を達成

「LifeWear」は、顧客の声を起点に商品を磨き込み、必要な商品を必要な量だけ、必要なタイミングで届けるという、商品開発から販売までを一体で設計する考え方でもある。ファーストリテイリングは、この仕組みを事業成長とサステナビリティを両立させる基盤として育ててきた。

年間4201万件の顧客の声を商品改善に生かす

2026年8月期は年間4201万件の顧客の声を集め、商品改善や過去の人気商品の再販など、品ぞろえの見直しに生かした。特徴の1つが、商品部門とは独立したカスタマーセンターが顧客の意見を集約し、柳井正社長を含む全社・全部署・全社員に共有し、商品の改善・改良につなげている。

リネン群やヒートテックカシミヤなどのエッセンシャル商品は継続してヒットしたほか、過去の人気商品の再販も好調だった。日本では、1000件以上の要望を受けて「エアリズム3Dマスク」を再販したことも、顧客の声を商品展開につなげた事例としてあげている。

「売れる商品はグローバルで売れる」商品開発

もう1つの強みは、「LifeWear」をグローバルで通用する商品群として磨き上げていることだ。

ファーストリテイリングは、東京、上海、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、ロンドンの6拠点にR&D機能を置き、各地域の生活者ニーズを捉えた商品開発を進めている。

世界各地でライフスタイルの共通性が高まるなか、「売れる商品はグローバルで売れる」という考えのもとで商品を育て、各市場へ横展開できる体制を築いている。

季節で売り切るのではなく、長く売れる商品へ

販売の考え方も、従来のアパレルとは異なる。春夏・秋冬といったシーズン単位で売り切るのではなく、半袖Tシャツやカジュアルアウターなどを、地域や着用シーンによっては年間を通じて販売できる商品として捉える。

気候変動や天候不順によって需要予測が難しくなるなか、商品の販売期間を柔軟に捉える発想で、販売機会の最大化につなげる。

「LifeWear」は「定番を強くする」だけではなく、「定番をどう長く、広く売るか」まで含めた成長戦略になっている。

店舗を「最大のブランディングの場」として磨く

店舗戦略も高成長を支える大きな柱だ。

ファーストリテイリングは店舗を「最大のブランディングの場」と位置付け、世界各地で旗艦店や大型店の出店・刷新を進めている。

2026年8月期には、年間売上高50億円以上の店舗がグローバルで60店舗超、うち100億円以上の店舗が10店舗に達した。今後は、年間50億円以上を売り上げる店舗を200店舗に増やすことを目標としている。

その取り組みの一環として、11月6日に京都の既存店を増床し新たにグローバル旗艦店としてオープンする。そのほか、今秋冬に東京都内でも錦糸町店、新宿西口店、ららぽーと豊洲店など、重要店舗の大型刷新を相次いで進める。

なぜ続くファーストリテイリングの高成長、成長の源泉はコンセプトの「LifeWear」
日本では重要店舗の大型刷新を進める

海外では、北米で旗艦店・大型店の出店、欧州で新規都市への出店を強化する。中国では、上海にあるグローバル旗艦店を移転・リニューアルし、10月30日に新店舗をオープンする。単なる販売拠点ではなく、「LifeWear」の世界観を体感できる場として店舗を磨き、ブランド支持の拡大につなげる狙いだ。

店舗成長を支えるグローバルな人材育成

店舗戦略を下支えするのが人材育成だ。

ファーストリテイリングは、質の高い店舗や旗艦店を経営できる人材の育成を、事業成長における最重要課題の1つと位置付けている。

現役店長が次世代の店長候補を育てる体制を整え、グローバルで旗艦店・大型店を担える人材を計画的に増やしている。2026年8月末時点で、世界のユニクロには3200人以上の店長がおり、そのなかから将来の中核人材を育てていく構えだ。

国内ユニクロはEC・デジタルも強化

国内ユニクロ事業のさらなる成長に向けては、オンライン領域も強化する方針だ。ECやデジタルを活用し、顧客ニーズに合った接客を充実させるほか、店舗受取りロッカーなどのサービスも拡充する予定としている。

「LifeWear」は商品ではなく、成長を生む仕組み

ファーストリテイリングの高成長は、ヒット商品が偶発的に生まれているからではない。顧客の声を起点に商品を作り、グローバルで通用する定番へ育て、店舗でブランド価値を伝え、それを担う人材を育成する。この一連の仕組みが「LifeWear」というコンセプトのもとで有機的につながっている。成長の理由は、単品の強さではなく、顧客起点の仕組みそのものを磨き続けている点にあると言えそうだ。

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