新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

検索ボリュームや検索順位を追いかけるKPIは、そろそろ終わりにしませんか?【ネッ担まとめ】

ネットショップ担当者が読んでおくべき2026年9月14日~10月18日のニュース

酒匂 雄二[執筆]

8:00

「AIによる概要(AIO)に自社の商品が引用されている」とスクショを添えたポストを見る度に、「それ、パーソナライズや生成時の揺らぎでは」と複雑な気持ちになってしまうことがあります。Googleの「AIO」も、「ChatGPT」などの生成AIも、同じ質問をしても毎回異なる回答が出るほどですから、これを「ハックする」ことは徒労に終わるだけではないでしょうか。Googleが「AI検索でも引き続きSEOは有効」と公言しているように、過剰にAI検索対策を追いかけることは、現時点では不要と考えています。とはいえ、AIだけでも群雄割拠の時代、ユーザーの流入元は検索エンジンだけに留まらず、これまでのような、検索ボリュームの大きなキーワードを追いかけ、検索上位をめざすSEOは役割を終えたかもしれません。SEOの新たなKPIはどう据えるべきかを考えていきたいですね。

「情報」の量産から、「影響力」の蓄積へ

HubSpotの検索トラフィック激減のその後 | Content Marketing Podcast
https://contentmarketingpodcast.substack.com/p/hubspot

2025年1月、「HubSpotのSEOが崩壊した」と話題になりましたが、その後を追いかけた記事には、これからのSEOに関するヒントがたくさんありました。

検索結果での露出→流入→リード獲得といったやり方がすでに機能しなくなっていることは誰の目にも明らか

大前提はこれですね。大量に露出をかけて見込み客の流入も増やす底引網のように獲得していたクエリは、それこそ「AIO」で解決することがほとんど。もはや、アクセスを生まなくなっているでしょう。

アクセス数を大きく減らしたページの多くは、情報提供型コンテンツで、かつHubSpotの本業であるCRM関連とは遠いトピックが中心とされているからです(著名人の名言集や退職願の書き方、カバーレター(送付状)の例文に関するブログなど)。

EC事業者でもあるあるでした。冠婚葬祭に関する店舗では、招待状やお礼状の書き方、挨拶やご焼香のマナー、ギフトECでは、贈る相手×相場、のしの書き方などです。確実にアクセスは底上げしてくれていて、多少コンバージョンも生み出していましたが、「AIO」に根こそぎ奪われているのが現状です。

定義、用語解説、FAQ、単純なHowTo、一般知識など、誰が回答しても差が出にくいものは「AIO」でアクセスを失っているでしょうから、皆さんもどういったクエリでの流入が消失したかアクセス解析を行ってみると良いでしょう。

私のクライアントでは比較・体験・購入検討・レビュー・地域情報、時事性の高い話題ニュース、ブランド検索などは増加傾向にありますから、そうしたコンテンツに注力されることをおすすめします。

では自社の「独自性」や「専門性」をどう探すか?

自社の事業をやっているからこその知見や専門性をコンテンツに昇華することが重要なはず

言うは易しですが、意外と社内では普通になりすぎていて強みと認識できず、埋もれていることが多々あります。

そこで、私は長く付き合いのあるクライアントにも、経営者や店長にインタビュー形式で「今更ですが」と、いくつか質問を投げかけ、それをコンテンツ化する施策を行っています。これがSEOでもAI引用でも効果的であることを実感しています。

要チェック記事

SEO関連

細分化された目標にコミットするな | マーケティングの正論と本音 | note | 宮脇 啓輔 / 株式会社unname
https://note.com/keisuke36/n/n3b98752fbf75?utm_source=chatgpt.com

“細かい目標が、やれることを狭める”

“「商談化率を上げる」に絞ると、「この記事で本当に上がるの?」と上の人が現場を詰める話になっちゃう。採用担当に「その記事で何人応募が来るの?」って聞いても、「わかりません」としか言えないじゃん。”

コンテンツマーケティングの領域からSEOの支援を行うことが多い私にとって、まさに最初の鬼門がこれです。最初に「効果はあるの?」「どのぐらい注文増える?」と聞かれると、「見込みはこうあるけど、詳細はやってみないことにはわかりません」となるのですね。

“「この施策でこういう効果を狙います。できたら評価してください」と先に話を合わせておく。上に行く人は、そこがうまいなと思います。”

経営者はじめ、周囲を説得・巻き込む時には、高い解像度の点から話すことは重要かもしれません。

AI検索戦略を「別枠」にしてはいけない理由 | ForbesJAPAN
https://forbesjapan.com/articles/detail/106768

“流布されている「AIのCV倍率」は高すぎる”

なかには20倍超と発表しているツールもありますが、この筆者らの調査では1.18倍とあり、私が見てきたサイトも、AI流入の比率が高めのサイトでも2.8倍ほど。

記事でも、問題はCV率ではなく「流入量」と記されていますが、分母が小さいとブレがちな数字なので、まずは流入量に注目していくことは大切ではないでしょうか。

SEOで上位でも、ChatGPTに引用されるとは限らない──「透明感 化粧品」で確認したこと | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/104721

“Google検索上位サイトとChatGPTの引用元は、あまり一致しませんでした。”

その一致率わずか8.8%。冒頭でも話したとおり、「AIの回答は、全員共通の固定された検索順位ではない」ことを肝に銘じたいですね。

AI検索の仕組みを解説! AIに”おすすめ”されるため、今本当に取り組むべき施策とは? | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2026/10/09/53334

“SEOはなくなりません。進化をして、GEOに近づいていくはずです。SEOは継続しながら、新しいものに適応していくという姿勢で臨んでいきましょう”

その上で、行うべきなのは奇抜なことではなく、王道の自社磨きでしかない。SEOの権威の1人である、サイバーエージェント・木村賢さんの講演まとめ。非常に読み応えがあります。

マーケティング関連

青山商事、裾上げ済み礼服がヒット EC限定商品 売上3倍超に | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/20022

私もフォーマルアパレル業界出身で、これに挑もうとしたのですが、中小には資金と在庫の兼ね合いが難しい試みでした。どこでも実践できるものではないですが、「届いてすぐに〇〇できる」という切り口を常に頭の片隅において、商品開発に取り組みたいですね。

しかし、アパレル業界を取り巻く厳しい状況が浮き彫りになっています。

アパレル製造・卸で倒産増 繊維工業、働く人の約4人に1人が65歳以上|Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/71927735db268454157136e0c68ab11fc6b23e56

2年連続で200件を超える水準で推移しており、このペースで倒産が発生すると、通年で5年連続の増加となる可能性もあるとのこと。日本の縫製技術はレベルが高いので、残していきたいものです。

博報堂生活総合研究所、生活者への34年間の長期時系列調査 「生活定点1992-2026」 結果を発表|博報堂
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/267399/

「情報は多ければ、多いほどいいと思う」という回答が、長期的に低下傾向。長い文章をAIで作らせても消費者には刺さらないかもしれません。

もう1つギフト系ECが注目すべきは、「毎年欠かさずお歳暮を贈る」は17.1%で、過去最低。一方「友人に誕生日などでプレゼントをすることが多い」は30.2%で、過去最高になっていること。

「お歳暮離れは、贈り物離れではない」ようですから、ギフトの提案の仕方も次の時代へシフトしていかなければいけませんね。

【MERY Z世代研究所 購買調査】生成AIで商品選び、最多は「自分に合うか相談」。コスメ・ファッションで4割超。AIの回答より「SNS口コミ」を信頼する傾向も。|MERYのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000146.000029212.html

定期的に「Z世代調査」を行うMERYの購買に関するアンケート。これを参考に、集客導線を再考してみるのもいいかも?

生成AIが発案したデザートやベーカリーなど3品発売|LAWSON
https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1532206_2504.html

AIによるレシピ提案を活用する人も多い今、AIで新メニュー開発というのも驚くことではないですが、あえてAIに過去の売れ筋データを渡さない商品開発というのはおもしろいですね。その内の1つ「ピクルス風味のレモンタルト」、どんな味なのか気になります。

今週の名言

「でも…タダならいいですよ」志村けんの“無茶ぶり”にSONYが出した衝撃の答え | DAIAMOND online
https://diamond.jp/articles/-/399828

志村けんの一言から始まった企画は、やがて世界へ広がり、YouTubeにもつながっていく。

インパクトのある一文ですが、今ではSNSの動画が地上波で流れることも当たり前になった「おもしろビデオコーナー」。その起源が志村けんさんのアイデアにあるというもの。

ドンピシャの世代なので、この番組が「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」だと容易にわかるのですが、あのコーナーが人気を博して世界進出、やがてビデオクリップ共有サービスを起源とする、YouTube誕生の一因となったというのは面白い話です。これからの時代、志村さんのように周囲が反対するようなことにも、とりあえずやってみることの重み・意味は変わってきそうです。

その志村さんで忘れられないエピソードがあります。20年ほど前、兄の後輩のお兄さんが芸人をしており、志村さんの番組で共演しました。その際、志村さんが仕事ぶりに感激して「なにかお礼を」と申し出たそうです。

その芸人さんは、志村さんからのお礼など滅相もないと「父がファンなので、いつか一緒に飲めたらうれしいです」と、お礼を丁重にお断りしたとのこと。

それからしばらく経ち、志村さんが1人で酒瓶を抱え、その芸人さんの実家に訪ねてきたというのです。「玄関を開けたら志村さんがいて、最初はテレビのドッキリ企画かと思った」と言っていましたが、誰しもそう思いますよね。

志村さんは「お父さんと飲むのが約束だから」と、持参した酒瓶が空になるまで一緒に飲んで帰ったそうです。

この話を聞き、「何気ないやり取りでも、約束は果たすもの」という志村さんの人柄に心を打たれ、一層好きになりましたし、「自分もいつか志村さんと飲んでみたい」という夢にもなっていました。

その夢はどうやっても叶わぬものになりましたが、昭和・平成・令和をお笑いの最前線で駆け抜けた志村さんのエピソードは、今の自分にも強く残っており、「これまでお世話になった人に必ず恩返しをしたい、約束を果たしたい」と思っています。

それではまた次回! 酒匂(さこっち)の「ネッ担ニュースまとめ」をよろしくお願いいたします。


「新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ」は以下の専門家が連載しています。

ECMJ 石田氏石田氏

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノイン 酒匂氏酒匂氏

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequation 中林氏中林氏

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

この記事のキーワード :
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