鳥栖 剛[執筆] 8:30

矢野経済研究所が7月4日に発表した「化粧品受託製造市場に関する調査」によると、2025年度の化粧品受託製造市場は、前年度比2.0%増の3619億円になると予測した。通販やECを中心としたファブレスメーカーが市場拡大をけん引するとしている。

2025年度の化粧品受託製造市場は2.0%増の3619億円へ、通販やECを中心としたファブレスメーカーが市場拡大をけん引
2024年の化粧品受託製造市場は前年比2.6%増の3547億円に

2024年度の市場規模は前年度比2.6%増の3547億円。コロナ禍以降の化粧品需要回復を見据えた引き合いで一時的に勢いづいたものの、その後は現在まで店頭における化粧品販売が想定通りに進まない傾向が続いているという。

その理由について矢野経済研究所は、消費者のニーズや嗜好の多様化に加え、通販やECチャネルの台頭、韓国コスメといった海外製化粧品の流通量増加など、製品や販売チャネルの分散化が進行していると指摘。また、化粧品受託製造企業は在庫滞留を避けるため、各社は慎重に発注計画を進めているという。

こうした状況から、2024年度の受託案件は緩やかな回復が見られたものの弱含みで推移。一方で、2022年度以降は化粧品受託製造企業はクライアントへの価格改定交渉を実施しており、従来受託価格に価格転嫁分が上乗せされた効果も作用、市場規模は前年度を上回った。

注目トピックとして、ファブレスメーカーの登場やSNS活用あげている。異業種参入企業など、製造設備を保有しない、商品企画・セールスプロモーションに特化したファブレスメーカー商品を中心としたインパクトのある付加価値型化粧品が通販やオンライン販売を中心に展開されるようになってきていると指摘。SNSを駆使し芸能人やアーティスト、著名美容家などのオリジナルブランド商品などのビジネスも存在感を増すなど、マスマーケットである一般品流通市場から特定のニーズや関心を持つスモールマスの市場への分散化が進んでいるとした。

矢野経済研究所ではこうしたことから、2025年度の化粧品受託製造市場は、前年度比2.0%増の3619億円になると予測。化粧品市場は、コロナ禍収束によるメイク需要の回復、インバウンド消費による市場の活性化などで、全体では堅調に推移する見通し。通販やECを販売チャネルの中心としたファブレスメーカーが展開するヘアケア・スキンケアカテゴリーの化粧品ではヒットブランドやヒット商品が生まれており、注目度が高いとした。

調査概要

  • 調査期間:2025年4~6月
  • 調査対象:化粧品受託製造・容器・原料参入企業、化粧品メーカーその他関連企業・関連団体など
  • 調査方法:矢野経済研究所の専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話などによるヒアリング、郵送アンケート調査、ならびに文献調査の併用
この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
[スポンサー]