この記事は『ECトップランナー8社が語るネット通販の未来 + 関連サービス250まとめ』(インプレス刊)の内容を、一部公開しているものです。
ネッ担ムック2015『ECトップランナー8社が語るネット通販の未来 + 関連サービス250まとめ』ダイジェスト

ジャパネットたかた創業者の高田明氏が語る「モノ売りが大切にすべきこと」(前編)

2016年1月15日を最後にテレビショッピング出演を終了するジャパネットたかた創業者・高田明氏へのインタビュー(前編)

瀧川 正実

2016年1月15日 9:00

ジャパネットたかたを一代で通販・EC業界を代表する企業に育てた高田明氏。ラジオショッピングから始まり、テレビショッピング、カタログ、そしてインターネット――さまざまな媒体で消費者にアプローチし、消費者はいつの間にか「ジャパネット」の世界へ引き込まれる。だが、昨今は物があふれ、消費者の好みは多様化、IT化によって情報は氾濫……そしてネットショップの台頭。消費を巡る激動の時代、モノが売れない時代でも、なぜジャパネットに消費者は引きつけられるのか。高田明氏が考えるモノ売りの神髄に迫る。写真は浦川祐史(うらかわスタジオ)

ジャパネットたかたの事業に携わるのは2016/1/15が最後

高田明氏が「ジャパネットたかた」を立ち上げたのは1986年。カメラ店ソニーショップとして事業を展開し、ラジオショッピングでカメラを販売したことが通販ビジネスへと事業展開するきっかけとなった。1990年のことだ。

1991年にラジオショッピングの全国ネットワークを完成し、1994年には深夜の30分番組で「ジャパネットたかたテレビショッピング」をスタート。テレビショッピング事業に乗り出した。

ジャパネットはなぜ売れるのか 高田明氏が明かすモノ売りの神髄①
高田明氏が立ち上げたカメラ店の模型イメージ(ジャパネットたかた本社で編集部が撮影)

翌年には顧客会員向けに通販カタログを発行、新聞折り込みチラシも始めた。この頃にはすでに、現在の事業の核となるメディアミックスの基礎を構築。2000年にネット通販を始め、2010年12月期には売上高1759億円を計上した。

その後、地上デジタルテレビの反動で、売上高は2012年12月期に1170億円に激減。「(2013年12月期に)過去最高の経常利益を達成しなければ社長を退任する」と明言した翌年の2013年12月期は、売上高1425億円、経常利益は過去最高となる150億円を計上した。

そして2015年1月にジャパネットたかたの代表取締役を退任。社長の座を長男の髙田旭人氏に託した。高田明氏は今、2016年1月までのテレビショッピングへの出演という期間限定の条件で、ジャパネットたかたの事業に携わる(2016年1月15日のテレビ出演が最後になる予定)。

ジャパネットはなぜ売れるのか 高田明氏が明かすモノ売りの神髄②

モノ売りは「伝える」力が大切

――ネット通販の台頭で、価格競争、商品のスピード配送など、通販を巡る環境が大きく変わりつつあります。

“価格”を求める人は価格比較サイトを見て安値の商品を探しますし、早さを追求する人は、早く届けてくれるサイトで買うのでしょう。お客さまが求める価値は変化していますし、これからますます変わっていくはずです。結局は、消費者の選択なのです。

ただ、その選択というものの中には、価格や配送スピード以外のものもあります。「誰が」「どのような想いで商品を作り」「どのようなアフターケアをしているのか」といったバックヤード関連の価値です。私が考えるところ、これからは、こうしたトータルの価値を求める消費者が増えてくると思います。

価格勝負、配送のスピード化……時代がこんな流れだからといって、右向け右で追随していく必要はないと思うんです。流行と同じように、変わるものと不偏なものがある。お客さまが何を重要視して購入するのか、結局はお客さまの選択なのですから。

価格やトレンドなどは変わりますが、変わっていけないものがあります。その1つが企業としての考え方です。たとえば、「高くて高品質なものを売るのか」「低価格でそれなりの品質のものを売るのか」――。消費者にどんな商品を販売するのか、それは企業としてのコンセプトや理念につながりますから。

ジャパネットはなぜ売れるのか 高田明氏が明かすモノ売りの神髄③
高田明(たかた・あきら)氏
1948年、長崎県平戸市生まれ。1971年、大阪経済大学経営学部卒業、株式会社阪村機械製作所に入社。1974年、父親が経営する有限会社カメラのたかたに入社。1986年、有限会社カメラのたかたから分離独立し、株式会社たかたを設立。1999年、社名を株式会社ジャパネットたかたへ変更。2015年、株式会社ジャパネットたかたの代表取締役を退任。株式会社Aand Liveを設立。

――ご自身は「価値」というものをどのように考えていますか。

結論は、お客さまが商品の対価として支払った金額に見合った価値があるかどうかです。価値の考え方というのは、「支払った物に対する価値を消費者がどのように感じるか」ということに尽きる。だから、商品を選ぶ目線は「利益よりも、商品の支払い価値に見合った品質」という、お客さまから見た目線を事業者側が持つことが重要なのです。

テレビもラジオもネット通販も、伝えたつもりになってはいけません。私の経験則上、後から「伝わらなかったかな」と思ったときなど、伝えたつもりになったときは商品の価値や品質が伝わらず、まったく売れません。逆に「伝わったかな」と感触を得たときは、90%くらいの確率で売れますね。

伝えたつもりにならないためには何が重要か。それは、自分の価値を強制しないことです。特定業界に携わっていると、一般的にはおかしなことが、当たり前になっていく。でも、業界の常識は消費者の常識ではないんです。自分の価値をお客さまの価値と考えてはいけません。一方的に価値を伝えるだけでは、支持を得られないし、何も伝わらない。

――テレビショッピングもラジオショッピングも、ネットショップも、モノを買ってもらえるように「伝える」ことは難しい。

だからこそ、モノ売りには「伝える」ということがすごく大切なんです。だから私は、「伝えたつもりになるな、本当に伝わったか検証しなさい」と自分自身に言い聞かせています。そのためには立ち位置が重要です。

だから、「お客さまが私たちに何を求めているのか」と常に考えなければならない。「お客さま」を自分に置き換えれば、自身の目でさまざまなことを確かめなければなりませんよね。それができないと、伝えたつもりになってしまうのです。

近年はネット社会ということもあり、さまざまな情報が氾濫していますよね。どんどん世の中が変わってきていますが、この消費世界で変わらないこともある。それは、人は「生活を楽にしたい(させてあげたい)」「幸せになりたい(してあげたい)」という欲求です。

商品も消費行動もさまざまなことが変わっていく中で、企業として「不変なもの」を持ち続けている企業は、これまで100年も200年も続いてきたでしょうし、これからも生き残っていくのでしょう。そうした企業は、「お客さまが何を求めているのか」ということを考え、お客さまの立場でビジネスを展開している。

→ “変化を創造すべし” ジャパネットたかたの高田明氏が語る「これからのネット通販」(後編)はこちらから

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  • インタビュー ジャパネットホールディングス 髙田旭人社長
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  • EC企業の事業承継6選(ヤッホーブルーイング、大都、スワロースポーツ、柳田織物、くれない、桃源郷の6社)

など、計11社のEC実施企業が成長のポイントなどを語っています。

めったにメディアへ登場しないヨドバシカメラ副社長が取材に応じてくださり、ネット通販開始の経緯、スピード配送の裏側、これからのことなどを聞いてきました。

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