上海で働く駐在員の中国EC市場リポート

【最新情報】中国向け越境ECの新税制度、何が変わった? 現場で起きていることは?

中国に駐在し、実際にECも手がけるエフカフェの高岡正人取締役が中国ECの状況をレポート(vol.15)

高岡 正人

2016年4月26日 9:00

中国政府が越境ECに関する新しい新税制制度を4月8日に施行しました。大きな制度変更で現場はどのようになっているのか、日本にはほとんど伝わっていません。中国の越境ECの現場では何が起こっているのか? どのような方法が中国向けECの最善の方法なのか? いろんな情報が錯綜していて正直、みなさんは混乱状態。現在の最新状況をまとめました。

中国サイドの人員や物流の体制などには大きな変更なし

中国の個人購入者向け越境ECは2つのパターンに分けることができます。

  1. 日本国内の倉庫から中国ユーザーに個配で直送するモデル(国際郵便)
  2. 保税区などを利用して貿易通関し、中国国内の倉庫から配送するモデル(一般商業貨物(コンテナ))

一般的な中国向け越境ECで利用されているビジネスモデルは、1.の国際郵便(EMS)を使った直送モデルがほとんど。このEMSを使った中国向けECは、賦課課税方式(税関の判断によって税額が確定する仕組み)のため、税金がかかりにくい仕組みになっています。

この賦課課税方式の適用を受けたEMSを使うことで、中国向け越境ECで販売する商品は、日本での売価に近い価格で売ることができたのです。

新税制度施行後、いろんな方面から裏をとっている段階ですが、結論から述べると、EMSは「行郵税」(個人携帯輸入物品や個人輸入郵送品に対して課税される税金)の税率変更があったものの、それ以外は変わっていません(4月21日現在)。

押さえておきたいのは、次の2点。

  • 「行郵税」の廃止が適用されるのは保税区を使った個人向け越境ECの配送モデル
  • 直送モデルは引き続き「行郵税」が適用され、課税額50元以下であれば免税になるルールも継続

ちなみに、「行郵税」の税率変更が明らかになりました。パーセンテージは次の通りです。

【最新情報】中国向け越境ECの新税制度施行後、現場では何が起こっているのか?

懸念されている税関での商品開封率も以前のままで0.3%程度。関係各所に聞いても、中国サイドの人員体制や物流体制などは変更がなく4月8日以前と同じ流れのようです。

ただし、あくまで現在の状況であることは注意。常に状況をウォッチし続ける必要があります。

モール内の税率表記に変更あり

保税区を使っている越境ECに関しては大きな変化が起きています。

「Tmall」からは次のような運営に関しての詳細マニュアルが配布され、当社のメンバーも講習会に参加してきました。

【最新情報】中国向け越境ECの新税制度施行後、現場では何が起こっているのか?

講習会で使用された資料

保税区の運用ルールが変わったことで商品が動いていない企業も見受けられます。理由はこれまでセット組の販売ができたが、今回の税制変更で別送扱いになったなどです。まだ物流機能が対応しきれていない、という課題が発生しています。

商品によっては税率が上昇しています。商品販売に支障をきたしているものもあります。

ちなみに、「Tmall」内では購入金額に税金が賦課されるようになり、その商品が「直送モデル」なのか、「保税区モデル」なのかが判断できるようになりました。

保税区モデル

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保税区モデル

直送モデル

【最新情報】中国向け越境ECの新税制度施行後、現場では何が起こっているのか?

【最新情報】中国向け越境ECの新税制度施行後、現場では何が起こっているのか?

直送モデル

保税区モデルの商品ページには「进口税」の欄が追加。カートに行くと消費者の負担で支払い料金に税金が加算されます。ここで徴収した税金は運営店舗ではなく、「Tmall」側が直接徴収します。

一方、直送モデルはこれまでと変わりません。店舗側が負担する形で運用しています。

ちなみに、カート内に記載されている「商家承認」という項目は、“店舗が税金を払いますよ”という意味です。

こうしたことを踏まえると、「行郵税」は若干上がり、6月からは値上がりするEMSですが、ユーザーの負担、店舗側のオペレーションの手間、全体の物流コストを考えるとEMSを使った中国向け越境ECを利用した方が賢明でしょう。

長らく中国のビジネスに携わっていますが、今回のようなことはしばしば起こります。

あまり焦らず、しっかりと事実を見極め、次の一手を打っていきたいですね。

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