松原 沙甫[執筆] 7:30

ファーストリテイリンググループは2025年3月、グローバル水準での競争力と成長力を強化するために、日本国内の報酬制度を改定する。

ファーストリテイリングは2023年8月期、全従業員の報酬テーブルを全面改定し、能力や実績に応じて決まる「グレード」ごとの報酬水準を4~40%の範囲でアップ。人材獲得などの投資を強化している。

新たに導入する報酬体系では、本部・営業の正社員の報酬を年収で最大11%引き上げる。個々の抜擢や要職への登用によっては最大54%アップするという。2023年時と同様、一律の引き上げではなく、個人の能力や意欲など総合的に鑑みて新報酬体系への移行を決定する。

新人については、現行の新入社員の初任給30万円は33万円に引き上げ、年収で約10%増となる500万円強に。入社1~2年目で就任する新人店長は月収39万円から41万円となり、年収で約5%増の約730万円にそれぞれアップする予定。

ユニクロやジーユーの販売員は2024年11月~12月、各地域の報酬動向を踏まえ、スタート時給を最大1700円までアップするなど時給を見直した。その後も個々の実績や能力に応じてアップするほか、スタート時給自体を随時見直す予定。

2024年9月には、販売員から店長をめざす従来のキャリアコースとは別に、販売員でありながら店長と同水準の処遇をめざすキャリアを選択できる制度を新たに導入。世界水準の店舗経営を担う人材の育成をさらに推進していく。

こうした報酬制を改定するのは、企業としての競争・成長力をさらに高める狙いがある。世界水準で仕事をする人材を確保し、意欲と能力のある従業員に報いられるよう、現行の報酬体系に加え、新しい報酬体系を導入する。

経験や社歴にかかわらず、挑戦心や新しい発想を持ち、グローバル水準で働く人材を経営層や要職に積極的に抜擢。ふさわしい報酬で処遇すると同時に、適正な評価と必要な支援を通じて次世代のリーダーとしての成長を後押しする。

グローバル水準の少数精鋭の組織へと変革を進め、企業としてさらに成長するために、新しい報酬体系を改めて導入するとともに、世界水準で働く意欲や能力のある優秀な人材の抜擢を強化します。パート・アルバイトから経営者に至るまで1人ひとりが高い目標を持って挑戦を続け、成長と賃上げの好循環を推進できるよう、今後も報酬を含む組織のあり方を継続的に見直していきます。(ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長 柳井 正氏)

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