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「2015年の通販市場は上向きに」──。本紙が主要な通販実施企業を対象に行った聞き取り調査によると、有効回答を得られた数十社の約6割が2015年の通販市場の景況感について「上向く」と回答した。消費増税に伴う消費の冷え込みが一段落したことなどで今年は市場全体では“上向く”と考える企業が多かったようだ。ただ、一方でいまだ感じることのできない景気回復の実感や進む円安による物価高や関連コスト増などで「下向く」または「どちらとも言えない」と回答する企業も多かった。

通販新聞が実施した通販・EC企業の景況感調査①"

都内で1月9日に開催された日本通信販売協会の賀詞交歓会(=写真)に出席した主要通販実施企業などを中心に「2015年の通販市場の景況感」について尋ねたところ、2015年の通販市場の景気の見方について、60%が「上向く」、18%が「下向く」、22%が「どちらとも言えない」と回答した。

通販新聞が実施した通販・EC企業の景況感調査、賀詞交換会の様子②"

昨年は各社を苦しめた消費増税後の消費の冷え込みはある程度、収まりつつあることなどもあり、景気も「上向きになる」と回答した企業が最も多かった一方で、増税や円安に伴う物価高により、消費の冷え込みを懸念する声もまた多く聞かれた。

消費マインド「上向き」に?

「上向く」とした各社の回答は

「業界にとって良い年になるのでは。昨年は消費増税、さらには円安もあり、各企業は対応に追われていたが、今年は円安も天井に近づいており、1ドル125円時代でどういう価格戦略を取るか。それに関しては各社とも準備ができているだろう。変化の時はきついが、それが落ち着けばしっかりとした対応が取れるはず」(スクロール)

「全体としては上向きだと思う。ただその中で優勝劣敗が鮮明になり、売り上げの伸びる企業と落ち込む企業との二極化が進んでいく」(千趣会)

「昨年の今頃は消費増税の影響を危惧する声が多かったが、消費税の再増税が先送りされ、お客様の消費マインドも上向いてくると思う」(新日本製薬)

「今年は健康食品の機能性表示が始まる。まじめに事業を行う企業にとっては制度を活かせる面があるだろう。上手く運用できれば、健康食品通販が伸びるきっかけになる。その意味では、今年は良い方向性にあると思う」(サントリーウエルネス)

「EC業界の競争激化で、ファッションEC化率の向上やマーケットの拡大が見込める」(夢展望)

「昨年12月頃から前年を上回る商品が出てくるなど明るい兆しが見えてきている。年始ではおせちは前年比で10%以上伸びた」(JALUX)

「景気は(一企業では)どうしようもない部分はあるが、意識としては上向きにさせるという意思を持って考えていかなければいけないと思う」(ファンケル)

などがあった。

通販新聞が実施した通販・EC企業の景況感調査、賀詞交換会の様子③"

増税や円安が影響「下向く」との声

「上向く」とする企業が多かった一方で「下向く」「どちらとも言えない」と回答した企業も多かった。

「下向きだろう。消費税増税後、消費は冷え込んでおり、消費を刺激するような経済対策はまださほど出ているようには思えない。また、円安で物価が高くなってきており、生活必需品の価格が上がっているため、ほかのモノまで買う気になれないのではないか。こうした状況はしばらく続くのではないか」(カタログハウス)

「収入増よりも昨年の増税や円安による物価高などの影響で消費に回せるお金が少ない状況ではないか。少なくとも、3月いっぱいまでは厳しい状況が続くと思う。4月以降、ベアなどで明るい兆しが出てくれば変わってくる可能性はあるし、期待している」(ベルーナ)

「下向きというかまだら模様。海外市場をメーンにする企業でよい話がある一方で、通販含め国内産業はあまり調子がよくないという話があり混在している。通販もECとカタログではまた違いがでている。カタログ通販は、中国や海外からの輸入品も多いし、利益がでない構造になっていき、厳しい状況にある」(いきいき)

「JADMAが出している統計でも健食は前年割れが続いているし、特にリピート型の健食通販は競合も多く、媒体価格も上がって苦しい競争環境にあると感じる」(ダイドードリンコ)

など増税や円安の影響による消費の冷え込みへの懸念が多く聞かれた。

「どちらとも言えない」という回答では

「全体として今後、個人消費がどんどん伸びるかという点は懐疑的。企業全体で、個人所得全体を引き上げる努力が行き渡れば全体上向きと言えるが、今は数値上は上向きになっても二極化していく懸念がある」(ニッピコラーゲン化粧品)

「(当社の)メーンのアパレル市場は消費増税以降の落ち込みから夏場以降、回復基調にあるが、今年はどういう方向に向かうのか予断を許さない。当社も輸入商品が多いが、円安がコストアップ要因になっている」(オットージャパン)

「競合他社同士の戦いはより熾烈になっていくだろう。特に、日用品に関してはECのみならずリアル店舗との顧客囲い込みの競争も激化すると思われる」(ケンコーコム)

「当社としては堅調に推移しているが、ライバルは増えているので工夫しないといけない。消費者は“本物志向”の傾向が強くなっているように感じる」(アイム)

などの意見があった。

2015年の抱負・課題は?

通販新聞が実施した通販・EC企業の景況感調査、賀詞交換会の様子④"

各社に2015年の抱負や取り組むべき課題などについても聞いた。

主な回答としては

「今年は、昨年から始まった5カ年中長期経営計画の2年目。改革を前進させる1年として粛々と実行していく年と考えている。そのための中心施策のひとつとしてオムニチャネル戦略を進めていく。また、商品も“好品質・好価格”をキーワードに更なる向上を目指していく」(千趣会)

「『1ドル125円でビジネスを組み立て直す』ことが今年のテーマだと社員に話している。新しい環境に対応し、再度成長路線に乗せたい」(スクロール)

「総合通販の増収を目指したい。また、昨夏に完成した新しい物流センターも1月から本格稼働し、効率が良くなってきているので、業績への貢献が期待できる。アパレル店舗に関してもさらに強化を進め、柱としていく」(ベルーナ)

「昨年、ホールディングス体制にしたが、それぞれの事業会社単位、要はセクショナリズムではなくてオールファンケルで考えていくことができなければ運営していくことは難しい。互いに協力することでお客様のニーズや、企業のウォンツをお客様に伝えることができてくると思う。ただ、作って売るのではなくて、お客様にこういうことを伝えていくんだという意志を持ってやることで業績も伸びていくと思う」(ファンケル)

「今後、機能性表示に対応するための準備を進め、お客様に対する情報提供をより強化していきたいと考えている」(サントリーウエルネス)

「お客様に選ばれる企業努力が必要になるが、当社としては、新規事業として取り組んできた漢方がこれから成長基調に入っていく。今年には期待している」(新日本製薬)

「これまでシニア女性向けのSNSを開設するなどしてきたが、今のビジネスモデルの精度を上げていくと同時に、通販、通販以外でもシニア女性向けのサービスを充実させていく」(いきいき)

「異業種の大手企業の参入も増え、どう差別化していくかが課題。また、販売チャネルの多様化という点で、ウェブについてはこれからも広がっていくと思われるので、注力していきたい」(ニッピコラーゲン化粧品)

「一番は自社オリジナル商品の開発。そのほかネットや紙媒体、実店舗などあらゆるものを使ってそれぞれが連動するオムニチャネル戦略も引き続き強化したい」(JALUX)

「課題は、カタログについては営業力を強化して利益を確保すること。ネットはオムニチャネル化の促進で、店頭と共同して顧客生涯価値を高める。食料品の宅配事業は顧客の開拓を進めること。高島屋の通販は65年を迎え、関連企画で盛り上げていく」(高島屋)

「主力の『オットー』、新ブランド『ファビア』、フルフィルメントサービスの3本柱を強くしていく。隠れた収益貢献事業であるフルフィルサービスでは今年、独自サイトをスタートさせる計画」(オットージャパン)

などの声があった。

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