通販新聞社は12月、通販実施企業を対象に、2022年以降の通販市場の予想、景況感についてのアンケート調査を行った。その結果、「拡大する」と回答した企業の割合は73%にのぼった。コロナ禍を機に増えた通販利用者が定着し、今後も市場全体の規模拡大に寄与するとの見方のほか、通販に取り組む事業者が増えたことで市場にも好影響をもたらすのではとの回答が目立った。

一方、足元の消費動向では先行き不透明な状況などから「横ばい」とする回答が半数を占めた。各社から寄せられた声から、2022年の通販市場の行方を探る。

本紙は通販実施企業約600社を対象に12月に実施した通販通教売上高調査に合わせてアンケートを実施した。

まず、「2022年以降の通販市場について、どのように予想していますか」と質問し、「拡大する」「横ばい」「縮小する」の3つの選択肢の中から選んでもらった。その結果、有効回答数のうち、「拡大する」と回答した企業は73%を占めた。「横ばい」は24%で「縮小する」は3%だった。

通販新聞 2022年以降の通販市場についての予測
通販実施企業約600社の「2022年以降の通販市場についての予測」

コロナをきっかけに通販が定着、新規参入企業も増加

「拡大する」と回答した事業者の多くはコロナ禍で通販利用が定着したことや新規に通販に取り組む企業の増加などにより市場は今後も拡大していくとの見方だった。

「コロナによって通信販売の利便性・安全性が評価され、それは今後も一定は定着すると想定される」(ジュピターショップチャンネル)、「通販での購入に抵抗感がなくなってきており、品質、品ぞろえ、利便性などメリットが実感されてきていると感じられ引き続き拡大傾向は続くと考えられる」(タキイ種苗)、「EC会員が拡大、お客さまの実店舗に出向かず通販を利用する購買行動が定着化すると考えている」(JALUX)、「通販での購入が一般的になったことで、利用者の絶対数が増えたことにより市場全体は拡大を続けると思う」(レミントン)、「コロナ禍でお店に行かなくても、通販でお家でも商品が買える利便性がかなり周知された。生活様式も変化したように、個人のライフスタイルに合わせた購買行動が継続すると考えられる」(日本生活協同組合連合会)、「コロナ禍が沈静化したとしてもその利便性の高さから顧客離れが起きるとは考えにくいため拡大傾向は続くと予想している。欧米諸国のEC化率と比較しても日本市場の成長の余地はまだ十分にあると考える」(田中貴金属ジュエリー)、「コロナによる通販利用は広がっており、業界自体が伸びている。コロナ終息の目途はいまだたたないため、この傾向はまだ続くと考える」(GSTV)、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響による新しい生活様式の常態化で巣ごもり需要の増加およびスマホ・SNS使用率の増加による通販利用が定着する状況下で市場は拡大していくと予想」(ハーバー研究所)などの回答が多かった。

また、「コロナ禍の拡大で通販の利用が定着し、利便性もあることから、今まで通販を行っていなかった新規の会社も増えさらに拡大する」(てまひま堂)、「コロナの状況が回復したとしてもECの利便性になれたユーザーの生活様式がすべて戻るとは考え難い。また、メーカー側もモールや自社サイトでのEC販売を強化している最中であるため、特にECは伸長すると考えている」(ゴルフダイジェスト・オンライン)、「新規参入者が依然多いから」(世田谷自然食品)などコロナ禍を機に通販に取り組む企業が増加したことが市場拡大に寄与するなどの見方もあった。

デジタルシフトやEC関連サービスの増加も後押しの要因に

さらに、「長引くコロナ禍における先行き不透明な状況ではあるがデジタルシフトは継続し、持続的な成長を維持する」(マガシーク)、「デジタルシフトはまだまだ進むと考えられるため」(バロックジャパンリミテッド)、「EC化率は毎年継続して伸長しているため、コロナ禍ほどの伸び率は落ち着いても継続して拡大していくと考えられる」(エクスプライス)、「新型コロナウイルス感染症拡大を機にEC化が加速したため」(アスクル)、「ネット通販の拡大」(マルハニチロ)などさらなるデジタルシフトやそれらに伴うEC化率の増加を挙げる意見もあった。

このほか、「短期では巣ごもり需要の縮小と通販利用客増加が起きる想定だが、中長期においては拡大する可能性が高い」(ベルーナ)、「ECの定着と参入企業の増加。決済・物流の寡占化によるスケールメリットの享受」(ベルネージュダイレクト)、「アフターコロナへシフトし、店舗利用者の回復はあるが相互利用が加速し通販シェアは高まる」(ダイドーフォワード)、「BASEやメルカリなど個人のショップ展開など、サービスが増えているため」(CROOZ SHOPLIST)、「新型コロナは一定の落ち着きを見せてはいるが、コロナ化によって増えた通販需要が続くことや動画サービスによるアニメ視聴が増加しホビー市場への関心が増進しているとみられるため。世界市場においてもコロナ禍でコンテナや配送サービスの制限など課題は残るが、円安であることも越境販売においては有利に働くとみられる」(大網)といった意見もあった。

コロナ収束で従来ほどの特需は見込めない

「横ばい」と予測した事業者の意見で目立ったのは、通販の利用増は継続するもののコロナの収束により、消費者の行動や買い物手段も多様化するなどで一昨年、昨年ほどの伸びは見込めないのではないかとの見方だ。

「外出時間が増え、店舗での購入が増加すると予測。通販についてはコロナ禍での特需がおさまり、通常に戻ると予測」(ヒラキ)、「コロナが落ち着けば、消費者の意識は一気に旅行や人との関わる欲求に向かい、通販消費に下降圧が掛かると見ている。一方でSNSや動画を介した通販体験は伸びてくると思われるが、下降圧を払拭するほどの規模感には満たないと思われる」(エー・ビー・シーメディアコム)、「ワクチン接種の普及によりコロナが収束に向かい、店頭での需要が回復傾向となり、巣ごもり需要による消費がやや減少する。これまで拡大傾向ながらも一時的には横ばいになる」(アイム)など。

このほか、「新型コロナウイルス感染予防のため、通販市場の需要はあるが消費力が増えるかは疑問がある。購買力低下の不安もある」(ちゅら花)、「企業の好不調の二極化が進み、結果としては横ばいとなる」(ユナイテッドアローズ)、「(コロナが収束した場合)冷え込んでいた実店舗での買い物への回帰が生じるものと思われ、一時的には通販市場は横ばい期を迎えるものと捉えている。ただし通販市場の縮小はなく、その利便性の高さから拡大基調は続くと捉えている」(ファンケル)などの意見もあった。

なお、「縮小する」と予測した事業者の回答では「2021年度のコロナ特需がいつまでも続くかわからないため」(ロッピングライフ)など回答があった。

現状の消費動向、先行き不透明で「横ばい」が最多

次に「現状の消費の動向をどう捉えていますか」と質問し、各社に「上向いている」「下がっている」「横ばい」の3択で回答してもらった。その結果、「横ばい」が50%と最も多く、「下がっている」は28%、「上向いている」が22%となった。

通販新聞 現状の消費動向をどう捉えているか
通販実施企業約600社の「現状の消費動向をどう捉えているか」

最も多かった「横ばい」の選択理由ではコロナの感染拡大はある程度、抑えられている状況にあるものの、変異株の感染拡大や経済低迷など先行きが不透明な現状を踏まえた回答が目立った

「外出意欲が高まっていることで、今まで抑えていた消費意欲が増幅すると考えられる一方で、コロナウイルスの収束は見通せず、中長期的には、消費が冷え込むことも予想されるため」(全日空商事)、「度重なる緊急事態宣言などによる経済活動の自粛と先行きの不透明さから景気低迷のリスクはあるものの、予防接種が広がり、今後はリベンジ消費の可能性も考慮すると横ばいに推移すると想定」(千趣会)、「現状の消費者の動向に関してはネットに関してもリアル関しても横ばい。現状、コロナが抑えられているが、オミクロン株が出てきたりと先が見えない状況に変わりはないから」(プラグイン)、「コロナ禍の巣ごもり需要やテレワーク需要が一通り落ち着き、通常に戻りつつある」(エクスプライス)、「積極的に買い物したい方と買い物を控えたいと考えるお客さまの二極化で結果として横ばいと予想」(ユナイテッドアローズ)、「国内ではワクチン接種が進み、その効果と景気の回復が期待されるものの、変異株の発生などにより依然として先行きは不透明な状況のため」(ハーバー研究所)、「緊急事態宣言下においては、行き場のないお金が資産性のある高価な物品などへの消費につながったが、解除後はレジャーなどの消費に戻ってきて、全体的な押し上げ感はあると考える。ただし、政府による経済回復施策も実効力がどれだけあるかが疑問であるのと、施策の内容が本当の経済回復につながるとは考えられない。経済回復が遅れることで徐々に下がり傾向が強まるのではないか」(GSTV)、「昨年度、大幅に下降してから、現時点では大きな変化は感じられない。今後のコロナの状況次第では反動消費なども発生すると予測される」(ジュピターショップチャンネル)、「セール在庫減によるセール不振ではあるが、プロパーは堅調のため、下がってはいない」(マガシーク)、「8月のお盆明け以降は、市況やメーカーさんからの情報をお聞きしても、販売が伸び悩んでいる傾向があるよう」(ランドマーク)などの意見があった。

巣ごもり需要や購買意欲の減退が下降の理由

次いで多かった「下がっている」はコロナによる消費者の消費意欲減退やコロナ禍の落ち着きによる通販需要の落ち込みなどの回答が大半を占めた。

「政府による消費喚起政策やコロナウイルスの段階的な鎮静化により、一時期と比べて消費動向は回復の兆しを見せているものの、コロナ前と比べては依然、低水準での消費が継続しており、先行き不安からの消費抑制・貯蓄増が予想されているため」(オイシックス・ラ・大地)、「世界的なコロナ不況に陥り、顧客の購買欲が減り、生活環境の変化などのさまざまな負の要因が重なり、消費については厳しい状況と考える」(アプロス)、「コロナ影響が薄まってきたとはいえ、以前のような行動・生活様式(外出、旅行、宴会など)にはまだ、当分は戻らない。行動様式が戻るまでは消費動向も戻らない」(日本生活協同組合連合会)、「通信販売については、コロナの落ち着きに伴い、外出の人流が増えたことにより、落ち込む傾向にあると捉えている」(JALUX)、「巣ごもり需要の減退」(ベルーナ)などの声があった。

「おうち時間」を楽しむライフスタイルの定着で上向き

「上向いている」を選んだ企業からは「短期的な上向きであると見ている。冬シーズンがしっかり気温が下がっており冬物商材の需要良好。コロナ禍のライフスタイルに適応した商材の需要もまだまだ高い。しかし、旅行や人と会う欲求が蓄積しすぎており、アフターコロナとなった場面で一気に爆発すると見ており、関連商品の需要は伸びたとしても、既存の需要は大幅に落ち込むと思われる」(エー・ビー・シーメディアコム)、「コロナ禍によるライフスタイルの変化が徐々に定着し始めている。eコマースには追い風」(白鳩)、「自宅で過ごす時間が増えたことにより、さまざまな形のエンターテインメントによって『楽しむ』時間を求める傾向がある。『鑑賞』『作る』『遊ぶ』などのキーワードを持つホビー商材(フィギュア・プラモデル・ゲーム)などはその需要を満たすものであって、ある程度自分のお金を自由に利用できる社会人世代にも人気の高い分野であることから、消費は上向きであると考えている」(大網)、「コロナの自粛生活が長く、消費したいという想いを持った人がだんだんと増えていると感じるから」(山田養蜂場)などの回答があった。

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