【2017年版】EC売上高ランキングまとめ――1位Amazon、2位ヨドバシ、3位スタートトゥデイ
通販新聞の姉妹誌「月刊ネット販売」による売上高調査「ネット販売白書」の結果では、2016年度のネット販売実施企業上位300社の合計売上高は3兆6322億円となった。前年調査の3兆2522億円に比べて11.7%拡大。今回もアマゾンジャパンが2位以下の企業を大きく引き離してトップとなり、ネット販売市場をけん引する格好となっている。(9月25日発売の「月刊ネット販売」10月号「第17回ネット販売白書」に300社の売上高ランキングと商材別市場解説を掲載)
ランキングの上位企業(=表は上位30社までを抜粋して掲載)を見ると、2位以下に圧倒的な差をつけてトップとなったアマゾンジャパンは、前年比17.6%の増収となり売上高1兆円を突破した。
前回調査で6位だったスタートトゥデイは前年比40.4%増と大きく売り上げを伸ばし3位にランクインした。ユニクロも前年比30.1%伸長し、前回の15位から順位を上げて11位となっている。また、ニトリは前回調査で34位だったが、33.1%増と規模を拡大し24位にくいこんだ。
このほかに上位30位の企業のうち2桁増収となったのは、13位アスクル、17位マウスコンピューター、19位MOA、20位セブン・ミールサービス、23位オイシックスドット大地となっている。一方、上位30位以内では2桁減収の企業はなかった。
総合・日用品はアマゾンが首位
商品カテゴリー別のランキングでは、「総合・日用品」分野はアマゾンジャパンの1位に次いで千趣会が2位。注目は3位Rakuten Directと、5位アスクル(「LOHACO(ロハコ)」)という日用品ECを展開する2社。
Rakuten Directはケンコーコムを傘下に持つ楽天が同業の爽快ドラッグを住友商事から買収し、今年7月にケンコーコムと合併させて誕生した日用品EC大手。楽天のリソースを組み合わせてどのような成長戦略を仕掛けるかが注目される。
一方の「ロハコ」は今年2月に埼玉県内の大型物流センターが火災に見舞われて事業展開に大きな影響が出たものの、火災前までの販促施策などが奏功し2桁成長を維持している。
衣料品はゾゾらモール勢が好調
「衣料品」分野では、引き続きファッションECモール運営各社が高い成長を維持している。
1位のスタートトゥデイが好調を維持。前期は新規ブランドの誘致や、最大2カ月後の支払いが可能な決済サービス「ツケ払い」、対象ブランドの商品が割引になる「ブランドクーポン」が成長の3本柱となって新客開拓や既存顧客のリピートにつなげた。
4位のクルーズはファストファッションに特化した品ぞろえで若年層の囲い込みを加速。年4回の大型セールとそれに合わせたプロモーションも奏功している。5位のマガシークは親会社のNTTドコモと共同運営する衣料品通販サイト「dファッション」が成長をけん引したもよう。
このほかの傾向としてはユニクロら有店舗小売りECも好調を推移している。
化粧品の1位はオルビスに
「化粧品」分野では、1位オルビス、2位ディーエイチシー、3位ファンケルという順位になっている。
この中で目立った動きとしてはダイレクトマーケティングにこだわってきたオルビスがアスクルの「ロハコ」やアマゾンに出店。ブランドの世界観を体現できる売場に絞りつつも、外部ECの活用を始めている。
また、ECではないが、ファンケルもここ数年は、コンビニやドラッグストアなど流通戦略の強化に舵を切っている。
健食では新興企業が2位に
「健康食品」分野はこれまで、売上上位の常連は通販市場全体でも主要プレーヤーである大手企業だったが、ネット専業企業が徐々に頭角を現し始めている。
1位のディーエイチシーに次いで2位となったのは新興企業のビーボ。酵素ドリンクや葉酸を配合したサプリメントを展開している同社は、前年比約75%増(本紙推計)と急速な成長を見せている。
家電はヨドバシが1000億円突破
「家電・PC」分野では、1位のヨドバシカメラは売上高1000億円を突破。全社売上高に占める割合も15%を超えている。通販サイトでは家電以外にも、書籍や日用品、食品などさまざまな商材を取り扱っており、アマゾンのような総合サイトとなっている。
2位の上新電機(売上高は本紙推定)は、楽天市場やヤフーショッピングなどで大賞の常連企業で、前期も堅調に推移したとみられる。
食品は10社中8社が増収に
「食品」分野では上位10社のうち8社が増収を達成した。
1位はイトーヨーカ堂のネットスーパー。次いで2位にはセブン&アイグループのセブン・ミールサービスがランクイン。ポータルサイト「オムニセブン」を通じた認知度の向上が奏功した。
3位はオイシックスドット大地で、定期顧客数は13万人以上となった。他社キャンペーンへの商品提供やイベントなどで認知度を高めたほか、ゲーム要素を取り入れた新規客獲得策が好調だったようだ。
4位のカクヤスは5%増収し100億円を突破。酒類販売店舗を持つ強みを活かして展開する「ビール1本から」「冷やしてお届け」「1時間枠」などのサービスで他社との差別化を図っている。
【表の見方】
調査は2017年7~8月、通販・通教実施企業約1000社に対して行った。無回答の企業に関しては取材データや公表資料、民間信用調査をもとに本紙推定値(「※」)を算出した。「受」は受注比率から算出した売上高を示す。調査対象は「個人向け物販」でデジタルコンテンツやチケット販売、宿泊予約、金融などの非物販のほか、オフィス用品などBtoBは調査対象から外した。
「前期実績」は16年6月~17年5月に迎えた決算期、「今期見込み」は17年6月~18年5月に迎える決算期。増減率は前の期の数値が判明していない企業や、変則決算のため比較できない場合については掲載していない。表内項目の「全通販売上高の占有率」は原則、総通販売上高に占めるネット販売売上高の占有率を示す。
表中、企業名横の「◎」は次の理由による。(5)Rakuten Directは7月1日に楽天の子会社であるケンコーコムと爽快ドラッグを合併して発足した新会社。数値は両社の前期売上高を合算した推定値(10)イトーヨーカ堂はネットスーパーの売上高(12)キタムラは宅配売上高と店舗受取売上高を合算した「EC関与売上」の数値(15)ニッセンは14カ月の変則決算の推定値(17)マウスコンピューターは店舗売上などを含む(19)MOAは卸を含む(23)オイシックスドット大地はオイシックスから社名を変更。一部店舗や提携事業などの売上高を含む(25)TSUTAYAは昨年4月にT―MEDIAホールディングスを吸収合併しており、数値はネットメディア事業、映像・楽曲配信事業などの売上高推定値
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