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食品や健康食品の通販を行うかぶちゃん農園が10月1日付で東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。民間信用調査機関によると、負債総額は約21億8600万円。9月に主要取引先のケフィア事業振興会が破産。その影響から商品の販売先を確保できず、資金繰りが悪化した。

ケフィア破産で資金繰り悪化

ケフィア事業振興会のオーナー制度
破産を通知したかぶちゃん農園のWebサイト’画像は編集部が追加)

破産の理由について、「主要取引先であるケフィア事業振興会の破産に伴う自社のブランド力の失墜により、甚大な影響を被った。資金繰りの悪化が厳しく、事業継続が困難と判断した」としている。

7月末には、サーバーメンテナンスを理由に通販サイトにおける顧客サービスを停止。休眠状態にあった。当時、かぶちゃん農園は、「(ケフィア事業振興会と関係がある)ということではない」と関連を否定。今後も事業を継続する意向を示していた。

かぶちゃん農園は2004年に設立。市田柿などの製造、通販による販売などを行ってきた。民間信用調査期間の調べによると、17年8月期の売上高は、前年比約21%増の32億5900万円だった。

今年9月に破産が明らかになったケフィア事業振興会は、かぶちゃん農園と関係が深く、通販で商品を購入した顧客を対象に「オーナー制度」と呼ぶ買戻し特約付の売買契約を勧誘。干し柿やメープルシロップ、ヨーグルトなどの商品のオーナーを募集していた。ただ、昨年夏頃から、支払いが滞りはじめ、一部顧客が返金を求め提訴する事態に発展している。

ケフィア事業振興会のオーナー制度
ケフィア事業振興会のオーナー制度(オマールロブスターの場合、画像は過去記事から編集部が追加)

グループで会員数が200万人超に上ることから、被害総額は1000億円に達するとも言われている。太陽光発電事業を行うかぶちゃんメガソーラーなど関連3社を含む負債総額は1053億円、債権者は3万人超に上る。

7月には、「ケフィアグループ被害対策弁護団」(団長=紀藤正樹弁護士)が結成。これまでに約1600人、84億円の被害を確認している(今年8月末時点)。消費者庁も支払い滞納が少なくとも約2万人、計340億円に達すると公表している。

弁護団は、ケフィア事業振興会の関連会社が70社近くに上ることから「資産の隠匿が強く懸念される」として、関連会社を含め、資産の保全や事業実態の解明など調査を求めていく方針。また、「代表者の鏑木秀彌氏の長男である武弥氏の破産申し立てがなされておらず、個人として自ら責任を負うことが明らかにされていない」として、勧誘が出資法違反にあたる可能性にも言及。警視庁に刑事告訴も行う方針を示している。

被害最多は朝日読者? 通販広告で「勧誘リスト」

ケフィア事業振興会が送付していたオーナー制度の案内
通販広告などで獲得した顧客リストに対し、ケフィア事業振興会が送付していたオーナー制度の案内の一部(画像は過去記事から編集部が追加)

被害総額が1000億円に達するとも言われるケフィア事業振興会(以下、ケフィア)による投資勧誘は、通販業界で過去最大の巨額被害事件だ。なぜ被害拡大を招いたか。

「読売、朝日に取引状況が明らかでないとのことで掲載させてもらえなくなった。中日とは広告責任者と関係が深く、広告を載せ続けられた」。ケフィアの破産が明らかになった今年9月、元従業員を名乗る男性から電話が入った。

後述するが、この男性の認識と実際の出稿実績は異なる。ただ、ケフィアは、通販広告を勧誘のためのターゲットリストを集めるための手段として活用していた。最後まで「甘い汁(広告収入)」を得ていたのはどこか

新聞大手各社にケフィア、もしくはかぶちゃん農園を広告主とする出稿実績を尋ねると、朝日新聞の「今年5月」(同社広報部)が最長。ケフィアは、システム障害を理由に6月頃から一部顧客への支払いが滞っていたとされるが、直前まで広告掲載していたことになる。これに続くのが中日新聞の「かぶちゃん農園の通販広告は昨年3月が最後」(東京本社広告局)。以降は、間隔がだいぶ開き「13年5月」(読売新聞グループ本社広報部)、「12年5月20日付けの別刷り『日曜くらぶ』」(毎日新聞社社長室広報担当)、「12年4月」(産経新聞社広報部)だった。

「オーナー制度」など事業実態を把握していたかは「投資勧誘は把握していない」と明確に答えた毎日新聞社以外、不明だが、いずれも掲載は通販の広告。「個々の広告掲載の是非は、弊社の広告掲載基準に基づいて判断。掲載の経緯や判断理由など個々の取引の内容は公表していない」(朝日)、「(ケフィア)を含め通販広告として厳正に審査していた。広告原稿は今後も同様に厳正に審査する」(中日)、「広告掲載の経緯は従来、公表していないが、当社の広告掲載基準に従って適正に審査」(読売)、「広告は当社の掲載基準に従って掲載している。個別の広告に関することはお答えしていない」(産経)、「弊社広告掲載基準に則り、適切に審査している」(毎日)と答える。

一連の事件をめぐっては、朝日新聞が「『オーナー商法』は過去に何度も社会問題になっており、規制の抜本的な見直しを求める声も上がる」(9月28日付)などと報じている。ただ、自らの広告掲載基準の厳格化など、事件を受けた見直しは各紙とも明言していない

いち早く広告掲載を止めた産経新聞は専門家の言を借り、「投資には必ずリスクが伴う。事前に企業の事業内容や評判を調べるなど事前手段を講じるよう訴える」(9月3日付)と伝えるが、一番聞かせたい相手は朝日新聞ではないか。通販を手段として悪用する企業が現れる中、新聞各紙も目先の利益を追わず、慎重さが求められる

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