雇用調整助成金(特例措置)、新型コロナ対応休業支援金などの現行措置は緊急事態宣言解除の翌月まで延長
厚生労働省は1月22日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、政府がその費用の一部を助成する「雇用調整助成金」(特例措置)などの現行措置を、全国で緊急事態宣言が解除された月の翌月末まで延長すると発表した。
緊急事態宣言が2月7日に解除された場合、対象期間は3月末までとなる。対象は、「雇用調整助成金」「緊急雇用安定助成金」「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」。施行には厚生労働省令の改正などが必要なため、現時点での予定となる。
従来は2020年12月末までが対象期間だったが、2021年2月末まで延長。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、終期を再度延長する。
大企業への「雇用調整助成金」拡充
緊急事態宣言対象地域では現在、知事の要請を受けて営業時間の短縮へ協力する飲食店などに対し、「雇用調整助成金」などに関する大企業への助成率を最大10/10に引き上げるとしている。
加えて、売上高などの生産指標が前年または前々年同期と比べ、最近3か月の月平均値で30%以上減少した全国の大企業に関し、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで、雇用調整助成金などの助成率を最大10/10とする。
- 解雇などを行わない場合の助成率10/10(これまでの特例措置の助成率3/4)
- 解雇などを行っている場合の助成率4/5(これまでの特例措置の助成率2/3)
なお、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌々月から、雇用情勢が大きく悪化しない場合は、雇用調整助成金(特例措置)を段階的に縮減する。
雇用調整助成金の特例措置
「雇用調整助成金」(特例措置)は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け販売量、売上高などの事業活動を示す指標「生産指標要件」が「1か月5%以上低下」した事業者が、休業手当を支給して従業員を休ませた場合、その費用の一部を助成する助成率を中小企業は80%(4/5)、大企業は約67%(2/3)としている。
解雇などをせずに雇用を維持している中小企業の休業および教育訓練に対する助成率は一律10/10、大企業は3/4。1日1人あたりの上限は1万5000円。対象は2020年4月1日から2021年2月28日の期間中に行った休業や教育訓練だったが、これを緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで延長する。
- 雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)(PDFが開きます)
- オンライン受付について
- 小規模事業者向け雇用調整助成金支給申請マニュアル(PDFが開きます)
- 雇用調整助成金の特例措置について(PDFが開きます)
- 雇用調整助成金について
緊急雇用安定助成金
雇用保険被保険者ではない従業員を休業させた場合の助成金。学生アルバイトなど雇用保険被保険者以外の労働者に対する休業手当が対象。
2020年1月24日から判定基礎期間の末日まで解雇などを行っていない場合(解雇とみなされる有期契約労働者の雇い止め、派遣労働者の事業主都合による中途契約解除などを含む)の助成率は10/10(100%)、雇用が維持されている場合(期間中の各月末日時点の従業員人数の平均と比べて、4/5以上の人数が維持されていること)は80%(4/5)を助成する。
申請する賃金締切期間は2020年4月1日から2021年2月28日までだったが、これを緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで延長する。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度。
新型コロナウイルス感染症、そのまん延防止措置の影響で、勤務先の中小企業から休業させられ、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった労働者個人に対して、支援金・給付金を支給するもの。
中小企業の選択によって雇用調整助成金を活用しない企業から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、現金を申請できる仕組みで、中小企業の被保険者(労働者)に対し休業前賃金の80%(1日上限1.1万円)を、国が休業実績に応じて支給する。
対象は2020年4月1日から2021年2月28日までの間に、事業主の指示を受けて休業(休業手当の支払いなし)した中小企業の労働者だったが、この期間を緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで延長する。雇用保険に加入していない学生アルバイト、日本国内で働く外国人の労働者、技能実習生なども対象。