越境EC大手世界200か国超へ配送するビィ・フォアードの事業者向け越境物流サービス「ポチロジ」とは?
ビィ・フォアードの国際物流サービス「ポチロジ」は北米物流の混乱を背景に、問い合わせ件数が一昨年比で1.5~1.7倍に増加。中古車輸出で培った物流網を生かしたビジネスモデルや、食品・重量物・絵画にも広く対応する強みなどを聞く
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配送コスト、配送日数、通関、禁制品規制、現地の配送事情――。越境EC事業者にとって、物流は販路拡大の基盤である一方、最も不確実性の高い領域の1つでもある。特に近年は、北米向け配送をめぐる環境変化が大きく、従来の配送手段に依存していたEC事業者は代替ルートの確保を迫られている。そうしたなか、中古車の越境ECなどを展開するビィ・フォアードが展開する国際物流サービス「ポチロジ」への引き合いが拡大しているという。ビィ・フォアード の宗藤徹氏(海外物流部 ロジスティクスセールスグループ チームマネージャー)に、「ポチロジ」のビジネスモデルや今後の展望を聞いた。
世界200か国超への輸送実績に基づく国際物流
中古車輸出で世界200か国以上への輸送実績を持つビィ・フォア―ド。「ポチロジ」は、ビィ・フォアードが長年培ってきた物流網と運賃交渉力を生かし、越境EC事業者や個人荷主向けに展開する国際物流サービスだ。
ビィ・フォアードが主力の中古車輸出事業で築いてきたスケールメリットを一般商材向け物流へ転用し、顧客企業に安価な配送料を実現している。
「ポチロジ」は安価に越境配送ができるほか、国内での通関業務やインボイス作成代行も手がける。2026年4月現在、問い合わせ件数は 2024年同時期比で1.5〜1.7倍に増加。月間平均では600〜700件弱という。取扱件数は従前、多い月で150件ほどだったが、足元では400件程度まで増える月もあるとしている。
北米物流の混乱で高まる代替配送ニーズ
「ポチロジ」の引き合いが増えた背景には、北米向け物流の混乱がある。宗藤氏によると、2025年夏ごろから米国向け配送をめぐる環境が大きく変化。米国の関税政策やデミニミス・ルールを巡る動きに加え、日本郵便の国際配送「EMS」が米国向けで一時停止・制限されたことが影響した。さらにカナダでは、カナダポストのストライキにより、日本からのEMS(国際スピード郵便)にも影響が及んだという。
これまで海外配送といえば、まずEMSを使う事業者が多かったと思います。ただ、米国向けやカナダ向けでサービス停止や制限が起き、「海外に送れない」という状況が生まれました。そこで代替手段を探す事業者が、インターネット検索を通じて「ポチロジ」を見つけてくださるケースが増えました。(宗藤氏)
もともと「ポチロジ」は、国内で高い知名度を持つサービスではなかったという。だが、配送難が顕在化したことで、越境EC事業者や個人荷主が代替ルートを探し始めた。ネット広告や検索流入も後押しし、問い合わせ増に伴って受注数も伸びている。受注率は25〜30%で推移。単なる一時的な流入ではなく、価格や対応力を評価した継続利用が増えているという。
特に引き合いが強いのは北米向け商材だ。ギター、アニメ関連グッズ、フィギュアなど、日本発カルチャー商材の需要が目立つ。これらは単品では軽量でも、まとめて送ると一定重量になり、EMSより「ポチロジ」のほうが有利になるケースがある。重量物や大型商材では、その差はさらに大きいという。
ギターやフィギュア、オタク文化に関連する商材などは、北米向けにかなりの需要がありました。EMSより安く送れるとわかって、継続利用につながるケースも多いです。(宗藤氏)

中古車輸出のスケールメリットを活用
宗藤氏は、「ポチロジ」の成り立ちについて次のように説明する。
ビィ・フォアードは、大手ECモールのように自社で大量の在庫を持たなくても、日本の良い商材、良い品を世界中に届けられるプラットフォームを提供できるのではないかと考えました。そうした思いから展開しているのが「ポチロジ」です。(宗藤氏)
「ポチロジ」のビジネスモデルでは、ビィ・フォアードが自社で飛行機や船、配達員を保有しているわけではない。船会社、国際クーリエ各社の輸送サービスを最適に組み合わせ、顧客へ提供する「利用運送事業」を展開。中古車やオートパーツ輸出で積み上げてきた圧倒的な取扱実績を背景に、世界的な輸送業者との強固なネットワークと、大口利用ならではの有利な条件を確立している。この強みを生かして最適化された物流ソリューションを提供することで、コストを抑えながら日本の商材がスムーズに世界へ羽ばたくための架け橋となっている。
ビィ・フォアードは2018年に国土交通省から第二種貨物利用運送事業(外航海運)の認可を取得、同年7月から「ポチロジ」サービスを開始した。2025年6月に第二種貨物利用運送事業(国際航空)の認可を取得。現在は航空輸送を主力としつつ、海上輸送やコンテナ混載なども含め、荷物や予算に応じた提案を行っている。
本業である中古車輸出のスケールメリットを、「ポチロジ」利用者にも還元できるのが当社の強みです。(宗藤氏)
ビィ・フォアードの国内倉庫に集荷
利用時の特長の1つは、顧客企業がまずビィ・フォアードの国内倉庫へ商品を送る必要がある点。倉庫は東京都八王子市と千葉県東金市にあり、そこから国際クーリエ業者が集荷し、海外へ配送する。いわば「倉庫ドア」型のスキームとなっている。
顧客企業が各自で海外配送会社と契約するのではなく、ビィ・フォアードの倉庫を起点に貨物を集約することで、ビィ・フォアードのスケールメリットを生かせる。
ビィ・フォアード名義の運送で安価な運賃を実現
もう1つの特長は、運送状上の荷送人名義がビィ・フォアードになる点だ。これは、ビィ・フォアードが契約主体となることで、より有利な運賃条件を引き出しているため。この仕組みが価格競争力の源泉になっている。
ビィ・フォアードが利用運送事業者として一括して国際クーリエ業者へ輸送を依頼し、本業で培った圧倒的な大口実績とも掛け合わせることで、輸送効率の向上とコストメリットを生かした配送環境を整えています。そのため、発送伝票上の名義はビィ・フォアードとなりますが、その分、国際物流のコストを最適化しながら、世界中へスムーズに商品をお届けできる仕組みとなっています。 (宗藤氏)
荷送人名義が自社でなくなることで、輸出免税の扱いを懸念する事業者もいる。その点についてビィ・フォアードは、国税庁に確認したうえで「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」を整備し、顧客が輸出免税を受けられるよう対応しているという。「ビィ・フォアード名義で発送する場合でも、顧客企業が消費税の輸出免税を受けられるようにしています」(宗藤氏)
越境ECでは、配送だけでなく、税務や書類対応も事業者の負担になりやすい。こうした実務支援は、特に中小規模のEC事業者にとって利用しやすさにつながっている。
幅広い商材に対応
食品、アルコール、絵画も配送
ユーザーメリットは価格だけではない。取扱商材の幅広さも大きな特長だ。食品、アルコール飲料、EMSでは送りにくい重量物、さらに絵画などの美術品にも対応している。
特に食品やアルコール飲料は国ごとに規制が厳しく、国内大手配送会社では一律に断るケースもあるという。「ポチロジ」では、国際クーリエ業者の知見を活用しながら、規制を確認した上で配送可否を判断する。
大手の国内配送会社では、確認工程の複雑さから食品を断るケースもあります。ビィ・フォアードでは規制を確認したうえで、要望に応じた配送手配ができます。(宗藤氏)
「売れるのに配送しにくい」悩みを解決
この柔軟性は、越境EC事業者にとって見逃せないポイントだ。日本の菓子や食品、雑貨、ホビー商材などは海外需要が高い一方、配送条件が複雑になりやすい。「ポチロジ」は、そうした“売れるのに送りにくい商材”を扱う事業者にとって、有力な選択肢になり得る。
実際、取扱商材としては、ギター、アニメ関連グッズ、フィギュアといった“オタク文化”関連商材のほか、美容師用ハサミ、日本の伝統工芸品、絵画なども増えている。郵便局で配送を断られた絵画の送り先として、「ポチロジ」が選ばれるケースもあるという。
顧客からは「迅速な航空輸送」「手頃な料金」が評価されており、食品や重量物配送で満足の声が多いとしている。
佐川急便との連携で“実質ドア・ツー・ドア化”へ
今後の改善策として注目されるのが、佐川急便のサービスを使った国内集荷の導入だ。現状は、利用者が東京八王子または千葉県東金の倉庫へ商品を送る必要があるが、今後は佐川急便が国内集荷を担うことで、利用者にとっては実質的にドア・ツー・ドア型の仕組みに近づく見通しだ。6月下旬のリリース、7月上旬までの提供開始をめざして協議を進めているという。
現状は倉庫に一度送っていただく必要がありますが、今後は佐川急便に国内集荷を担っていただき、より使いやすい形にしていきたいと考えています。(宗藤氏)
法人開拓を強化、受動型営業から転換へ
「ポチロジ」事業の売上高は年間12億〜13億円規模。ビィ・フォアード全体の売上高1609億円に占める割合は約1%前後という。構成比だけ見ればまだ小さいが、月商換算では1億円超の規模があり、今後の成長余地は大きい。
顧客属性については、表面的には個人利用も多いものの、実態としては法人7割、消費者3割に近いという。個人名義でも、副業や小規模ECとして利用しているケースが少なくないためだ。
今後は、これまでの検索流入中心の受動的な営業から、法人向けの能動的な営業も強化していく方針。貨物を集約することでスケールメリットをさらに高め、主力事業の中古車販売にも還元していく考えだ。

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