米アマゾン、自社ECサイトでも「プライム配送」導入を可能にする新機能。「Buy with Prime」との違いは?配送代行手数料の割引プログラムも

米Amazonが、自社ECサイトなどAmazon外の販売チャネル向け物流支援を強化。「Prime配送」を自社サイトに導入できる新機能に加え、FBA出品者向けにはMCF手数料を割り引く新プログラムも開始した。

鳥栖 剛[執筆]

7:30

米Amazonは9月24日、Amazon以外の販売チャネルを持つ事業者向けの物流支援策を発表した。自社ECサイトで「Prime」ロゴ付きの無料・迅速配送を提供できる新たな仕組みを導入するほか、「Fulfillment by Amazon(FBA)」出品者を対象に、Amazon外の配送代行サービス「Multi-Channel Fulfillment(MCF)」の手数料を割り引く新プログラムも開始した。

米アマゾン、自社ECサイトでも「プライム配送」導入を可能にする新機能。「Buy with Prime」との違いは?配送代行手数料の割引プログラムも
自社ECサイトでも「プライム配送」を可能にする新機能を提供。配送代行手数料の割引プログラムも

2つの施策は、Amazonの輸送、物流拠点、フルフィルメント、ラストワンマイル配送などの機能を、Amazon以外の販売チャネルにも提供するサービス群「Amazon Supply Chain Services(ASCS)」の新たなサービスとして打ち出したもの。Amazonの物流網を「Amazon.com」内の販売だけでなく、自社ECサイトや他のECモール、SNSなど複数の販売チャネルで利用しやすくする。

MCF利用事業者、自社ECでもPrime配送が可能に

新たに始めたのは、米国でMCFを利用する新規・既存事業者が、自社ECサイトに「Prime配送」を追加できる仕組みだ。

対象事業者は、通常のMCF手数料以外の追加コストなしで、自社ECの商品ページにPrimeバッジを表示し、Prime会員向けに迅速・無料の配送オプションを提供できるようになる。

消費者が自社ECサイト上でPrime配送を選んで注文すると、Amazonが購入者のPrime会員資格を確認。Amazonの物流ネットワークに保管されている事業者の在庫から商品を出荷する。

注文確認や配送追跡は事業者側から行う。Amazonによると、導入にあたって決済処理、注文管理、ストアポリシーを変更する必要はない。既存の返品対応やカスタマーサービスも事業者側で維持できる。Amazonは、自社ECサイトでPrime配送を提供することで、初回購入だけでなくリピート購入の促進にもつながると説明している。

「Buy with Prime」との違いは顧客対応の主導権

今回のPrime配送は、Amazonが以前から展開してきた「Buy with Prime」と補完関係にあると説明している。「Buy with Prime」では、Primeバッジの表示や迅速・無料配送に加え、購入後のカスタマーサービスや返品対応までAmazonが担う。

一方、今回の自社EC向けPrime配送では、配送にAmazonの物流網を利用しながら、返品や顧客対応は事業者側が従来の運用を継続できる。Amazonの物流力を使いながら、顧客との関係や購入後の体験は自社で管理したい事業者向けの選択肢と位置付けられる。

「Buy with Prime」より70%以上早く設定可能

導入スピードも訴求する。Amazonによると、自社ECサイトへのPrime配送の設定は、「Buy with Prime」を導入する場合と比べて平均70%以上早いという。

現在はShopify向けの「Amazon MCF/Buy with Prime」アプリから有効化できる。今後は「Selling Partner API」に加え、「Fulfil」「LingXing」「WebBee」といったパートナー経由の連携も開始する予定だ。

Amazonによると、Prime配送を導入した先行事業者では、対象注文の平均40%超がPrime配送で出荷されているという。また消費者調査によると、40%がPrimeロゴを表示するサイトで初回購入しやすくなると回答。50%はPrime配送の特典があるサイトで再購入しやすくなると答えたという。

具体的な導入事例として、Prime配送を有効にして以降、売り上げが約10%増加。注文は約1日半で発送され、「商品はどこにあるのか」といった配送状況に関する問い合わせもほぼなくなったという声も寄せられている。

FBA出品者向けにMCF手数料を15~25%削減

今回の発表のもう1つの柱が、「MCF Preferred Pricing Program(優待価格プログラム)」だ。

FBA出品者が、自社ECサイトや他のECモール、SNSなどAmazon.com以外の販売チャネルで受けた注文をMCFで発送する際、配送代行手数料の割引を受けられる。

このプログラムでは、MCFの配送代行手数料を割り引くとともに、MCF経由で出荷した商品1個ごとにFBAクレジットを付与する。出荷量が増えるほど割引が大きくなる仕組みで、最初の6カ月間は15~25%のコスト削減効果を見込めるという。

契約や長期的な利用義務はなく、「Seller Central」からワンクリックで登録できる。条件を満たした注文には、自動的に割引が適用される。Amazonは、削減した物流コストを追加受注への対応、新たな販売チャネルの開拓、在庫の拡充などに再投資できると説明している。

MCFは11か国・数十万事業者が利用

今回の施策の基盤となるのが、ASCSの中核サービスであるMCFだ。MCFはAmazonの物流ネットワークを利用して、Amazon.comだけでなく、自社ECサイト、他のECモール、SNSなど複数チャネルの注文について、商品のピッキング、梱包、発送、配送までを一括して担う3PLサービス。Amazonによると、MCFは11か国で数十万の事業者が利用している。

FBAとMCFを併用し、米国で両サービスから注文を出荷している事業者では、在庫を一元的に運用することで、欠品率が平均19%改善し、在庫回転率が平均12%向上したという。また、Amazon以外の販売チャネルでMCFを導入した事業者からは、売り上げや収益が18%超増加したとの報告もあるという。

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