メルカリが始めた世界共通アプリ「メルカリ グローバルアプリ」とは。国内事業者の海外展開を支援する新戦略

メルカリは9月30日、越境取引事業の新戦略を発表した。世界共通アプリ「メルカリ グローバルアプリ」を提供し、国内事業者向け越境EC基盤を強化する。
「グローバルアプリ」は同日から台湾・香港での提供をスタート。2026年春にはアメリカでの提供を予定している。その後は展開する国や地域を順次拡大。3年以内に50以上、中長期的には100以上の国や地域への展開を目標に掲げている。
メルカリ越境取引事業は3年で15倍以上成長、流通額は年間900億円超
メルカリは2019年、越境EC事業者との連携を通じた越境取引事業を開始。2024年8月には台湾、2025年5月には香港でWeb版「メルカリ」の提供を始た。累計40億品を超える豊富な商品在庫などを強みに、メルカリの越境取引事業の流通総額は過去3年で15倍以上に成長、年間900億円を超える規模に拡大しているという。
海外の購入者と日本の事業者の課題を解決へ
越境市場の成長を大きな機会として捉える一方、日本の優れた商品やカルチャーを世界中に届ける上で、海外の購入者と日本国内の出品者がそれぞれ直面する課題があると考えているという。 海外の購入者が直面する課題は、言語の壁や複雑な購入プロセスなどの買い物体験の面、海外のプラットフォームにアクセスする際のサイトの信頼性への不安があると指摘。国内の事業者が直面する課題は、海外への販路拡大に関心を持っているものの、「最初の一歩」を踏み出すことの難しさがあるとしている。

こうしたことを踏まえ、メルカリは越境取引事業の新たな戦略を策定。新戦略では、海外の購入者と日本国内の事業者の双方の体験を向上し、簡単かつ安心・安全な取引環境の構築を実現する。 戦略の中核として、に迅速なグローバル展開を可能にする世界共通のプラットフォーム「メルカリ グローバルアプリ」を提供。また、国内事業者の海外展開を支援する「メルカリ グローバルEC基盤」を構築する。
越境取引事業の拡大については、世界的に人気の高い日本のエンタメ・ホビー領域に注力。予約販売やオークション機能など、エンタメ・ホビー領域の取引を促す機能を順次導入し、コンテンツの権利を持つ企業と連携しながら、購入者・事業者双方にとって魅力的な取引体験を提供するとしている。
海外から「メルカリ」「メルカリShop」の在庫にアクセス可能に
「メルカリ グローバルアプリ」は、メルカリ初の世界共通アプリ。海外の購入者は「メルカリ グローバルアプリ」を通じて日本の「メルカリ」と「メルカリShops」の商品を閲覧・購入できる。
海外の購入者は「メルカリ」の豊富な在庫にアクセスでき、使いやすいUI/UXと安心・安全な取引環境を利用できる。AIによるリアルタイム翻訳機能、各国や地域の通貨や決済方法に対応。配送先の国や地域に最適化した配送方法で商品を送る。
2026年1月以降、発送前にメルカリがすべての商品をチェックして品質を保証する「全品検品」を導入。決済から配送状況の追跡までの全プロセスがアプリ上で完結する一気通貫のUXへアップデートする。

「グローバルEC基盤」で事業者を支援
第2の柱とする「メルカリ グローバルEC基盤」は、「グローバルアプリ」で商品のラインナップを増やし、国内事業者の出店を促進。日本国内のマーケットプレイス運営で培ったメルカリのノウハウを生かし、越境ECの専門知識や経験がない事業者の海外展開を支える「グローバルEC基盤」を構築する。
日本の「メルカリShops」を通じて、海外の購入者へ商品を販売できるようにする。設定・申請などの特別な対応は不要。多様な海外決済への対応、複雑な国際配送・通関手続き、外国語での顧客対応といった専門知識を要する業務をすべてメルカリの機能でサポートする。 決済はStripe、配送面は佐川急便などのパートナーと連携する。国・地域ごとに販売設定できるようにする予定で、現地権利者とのトラブルなどを回避する。 また、2026年上半期からはパートナー連携による「あんしん鑑定」を導入する。そのほか、効率的にコンテンツや商品を世界中のファンにリーチできる基盤を提供。事業者向けのテーマページの構築や、公式であることを示す「公式バッジ」などの機能を順次追加するという。