ワコールはなぜ自動車産業分野に本格進出する? 独自開発技術を自動車内装用途へと展開
ワコールは、自社開発の繊維成形技術「Melooop」を活用し、自動車産業分野への本格進出を打ち出した。BASFジャパンと協業して自動車のアームレスト用途のコンセプトモデルを開発し、軽量性や設計自由度、リサイクル性を備えた自動車内装部材としての可能性を探る。
6月23日 10:00
ワコールは6月17日、繊維から直接立体物を一工程で成形する自社開発の独自技術「Melooop(メループ)」を活用した新たな事業領域として、自動車産業分野への展開を本格化すると発表した。化学メーカーのBASFジャパンと協業し、自動車のアームレスト用途を想定したコンセプトモデルを開発した。ワコールは、アパレル事業で培った素材・成形技術を異業種へ展開し、新たな収益源の創出をめざす。

「Melooop」は、ワコール人間科学研究開発センターが開発した独自技術。メルトブロー法を活用し、繊維から直接立体物を一工程で成形できるのが特徴だ。接着剤や多層構造を用いずに不織構造を形成できるほか、繊維を吹き付けながら立体形状をつくることで部品を一体成形できるため、従来工法と比べて工程削減につながる。また、設計段階で厚みや物性を調整できるため、軽量化と機能性の両立も見込める。材料使用の効率化による環境負荷低減や、自動車部品に求められる耐久性の確保も期待されるという。
今回の取り組みは、2026年5月に開設した研究開発拠点「Melooopラボ」を起点とした用途開発の一環。ワコールはこれまで、BASFの熱可塑性ポリウレタン(TPU)素材「Elastollan(エラストラン)」を用いたブラカップ用途で共同開発を進めてきた。今回はその協業実績を生かし、自動車向け部材への応用を進める。
コンセプトモデルでは、「Melooop」の成形技術とBASFの「Elastollan」を組み合わせることで、軽量性や設計自由度、リサイクル性を備えた自動車部材としての可能性を検証する。

ワコールによると、「Melooop」はモノマテリアル(単一素材)設計による高いリサイクル性や、廃棄材料の少なさ、染色工程の削減、小ロット生産への対応なども強みとしている。アパレル分野で培った技術を他産業へ展開することで、新たな用途開発を進める考えだ。
今後は自動車分野にとどまらず、不織布が活用されるさまざまな産業領域への展開も視野に入れる。ワコールは「Melooop」を新規事業の柱の1つとして育成し、素材技術の社会実装と事業領域の拡大を進める方針だ。
BASFとの協業により、「Melooop」技術をアパレル分野にとどまらず、自動車内装用途へ展開できることを楽しみにしている。(ワコール 執行役員 新規事業開発本部長兼Melooop事業準備室長 久村剛史氏)
ワコールが独自技術を新たな用途領域へ展開する取り組みは、当社が重視する先進的な共創アプローチと非常に一致している。当社は材料イノベーションおよび自動車用途における豊富な経験を生かし、ワコールのような新コンセプト開発と新産業への展開を支援できることをうれしく思う。(BASF ジャパン パフォーマンスマテリアルズ事業本部 アジア太平洋地域 TPU ビジネスマネジメント担当バイスプレジデント ロヒット・ループ・ゴーシュ氏)
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