2.8兆円の2025年デジタル系EC市場。オンラインゲームは約1.3兆円、電子出版は6869億円など全ジャンルの市場規模&動向まとめ
経済産業省の調査によると、2025年のデジタル系BtoC-EC市場規模は前年比4.52%増の2兆7985億円だった。オンラインゲームが1兆2759億円で最大となり、電子出版、有料動画配信、有料音楽配信も伸長。継続課金とコンテンツ競争が市場拡大を支えた。
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経済産業省が10月21日に公表した「令和7年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2025年のデジタル系BtoC-EC市場規模は前年比4.52%増の2兆7985億円だった。前年の2兆6776億円から増加し、拡大基調を維持した。
内訳を見ると、最大は「オンラインゲーム」の1兆2759億円。これに「電子出版(電子書籍・電子雑誌)」の6869億円、「有料動画配信」の5538億円、「その他」の1479億円、「有料音楽配信」の1340億円が続いた。

2025年のデジタル系EC市場では、コンテンツ消費が定着するなか、継続利用や単価の向上が重要なテーマとなっている。電子出版は成長を維持し、有料動画配信は2桁増、有料音楽配信も堅調に伸びた。一方、最大市場のオンラインゲームは前年から増加に転じたものの、伸び率は小幅にとどまった。
経産省の分析から、主要ジャンルの市場規模と成長の背景を整理する。
電子出版(電子書籍・電子雑誌)
電子出版(電子書籍・電子雑誌)の2025年のBtoC-EC市場規模は、前年比2.18%増の6869億円だった。紙の書籍を電子化したものに加え、当初からデジタルコンテンツとして提供される出版物も含む。スマートフォンやタブレットの普及を背景に市場は拡大を続け、2025年も過去最高を更新した。
ただ、2020~2021年の大幅な成長と比べると、足元では伸び率が鈍化している。コロナ禍で拡大した巣ごもり需要が一巡し、2022年以降は緩やかな成長局面に入っているためだ。
市場をけん引しているのは、引き続き電子コミック。経産省によると、電子出版市場のうち電子コミックが約9割を占める。新規利用者の定着や継続購入に加え、縦スクロール形式で読む「ウェブトゥーン」の普及も市場拡大に寄与しているという。大手出版社やプラットフォーマーの参入も相次ぎ、市場の厚みが増している。
一方、サービスやアプリの増加に伴い、競争も激化。全話無料施策やポイント還元による利用者獲得競争に加え、出版社との協業による独占・先行配信、オリジナル作品の強化、海外展開、NFTデジタルコンテンツの付与など、差別化策も多様化している。
電子雑誌では、定額制サービスの会員数減少が課題となり、市場規模が縮小しているという。ウェブ版雑誌で広告収入を得るモデルなど、収益モデルの多様化も進んでいる。
海賊版問題も依然として大きな課題だ。出版者や電子書籍事業者、著作権者団体などが参加する民間団体・一般社団法人ABJの調査では、2025年に海賊版サイトで「ただ読み」された出版物の被害額は、紙の本に換算して約6888億円。2024年からは減少したものの、新たな海賊版サイトの出現が続いており、市場の健全な成長を妨げる要因として対策が求められる。
有料動画配信
有料動画配信の2025年のBtoC-EC市場規模は、前年比13.66%増の5538億円だった。デジタル系ECの主要カテゴリーの中で、最も高い伸びを示した。
有料動画配信には、定額制で見放題となるSVOD、都度課金でレンタルするTVOD、ダウンロード購入型のESTという3つの視聴形態がある。このうち、定額制のSVODが引き続き主流となっている。
2020~2021年はコロナ禍の巣ごもり需要で市場が大きく拡大したが、2022年にはその反動で伸びが鈍化した。2023年以降は再び堅調に推移し、2025年も2桁成長となった。
2025年は、特定の大ヒット作品だけでなく、各事業者によるオリジナルコンテンツの拡充が市場を支えたと見られる。スポーツの独占配信、大型のオリジナルドラマ、アニメ、映画など、利用者を引きつけるコンテンツの幅も広がっている。
料金改定の動きも続いている。Amazonの「Prime Video」では広告の導入後、広告なしで視聴するには追加料金が必要となった。ディズニー系の「Disney+」でも料金の引き上げが実施された。背景には、インフレに加え、制作費や人件費、販促費などの上昇があるとみられる。動画配信市場では、利用者の獲得・定着と、価格改定による単価向上が並行して進んでいる。
有料音楽配信
有料音楽配信の2025年のBtoC-EC市場規模は、前年比8.65%増の1340億円。サブスクリプション型配信サービスの普及を背景に成長が続き、4年連続で過去最高を更新した。
日本レコード協会によると、2025年の年間音楽配信売上実績では、サブスクリプションと広告収入を合わせたストリーミング売上が前年比10%増の1250億円となり、音楽配信市場全体の93.3%を占めた。
一方、ダウンロード売上は減少傾向が続いている。音楽配信市場の成長は、楽曲を個別に購入するモデルから、継続課金型のサービスを利用するモデルへの移行に支えられている。
ユーザーの聴取行動にも変化が見られる。日本レコード協会の調べによると、音楽を聴く手段としてYouTubeが引き続き存在感を示す一方、定額制音楽配信サービス全体の利用率も前年を上回り、サブスクリプションの利用が広がっている。
ただし、この分野でも海賊版問題は残る。違法音楽アプリなどによる無料視聴は、市場の健全な成長を妨げる要因として指摘されており、引き続き対策が求められる。
オンラインゲーム
オンラインゲームの2025年のBtoC-EC市場規模は、前年比1.65%増の1兆2759億円だった。デジタル系ECで最大の市場であり、デジタル系全体の約半分を占める。
ただし、伸び率は小幅にとどまった。オンラインゲーム市場はコロナ禍の巣ごもり需要を追い風に拡大した後、2022年に縮小へ転じ、2023年、2024年も微減が続いていた。2025年は増加に転じたものの、本格的な成長回復に至ったとは言い切れない。
経産省はその背景として、外出機会の増加や余暇の選択肢の多様化により、長時間プレーする課金ユーザーが減少したことや、インフレによる可処分所得の減少を挙げている。一方、ゲーム機器やアイテム課金などの価格上昇もあり、2025年は市場規模がプラスに転じたと見られる。
今後の成長余地として経産省はeスポーツに注目している。日本のeスポーツ市場はオンラインゲーム市場全体と比べるとまだ小さいものの、ゲームへの認知向上や利用者層の拡大につながる可能性がある。日本オリンピック委員会による準加盟団体の承認や、スポーツ庁の支援策など、周辺環境の整備も進みつつある。
その他
デジタル系ECの「その他」の2025年の市場規模は、前年比6.00%増の1479億円だった。
このカテゴリーは規模こそ大きくないものの、前年から増加した。主要カテゴリー以外のデジタルコンテンツに対する需要も積み上がっていることがうかがえる
デジタル系ECは「利用者の拡大」から「継続利用と付加価値競争」へ
2025年のデジタル系EC市場では、オンラインゲームが最大市場を維持する一方、電子出版、有料動画配信、有料音楽配信もそろって成長した。特に有料動画配信の2桁成長は、コンテンツの拡充と料金改定が並行して進む市場の変化を映している。
電子出版は電子コミックを中心とする構造が続き、動画と音楽ではサブスクリプション型サービスが市場を支えている。オンラインゲームは市場全体の柱であり続ける一方、コロナ禍のような急拡大局面を過ぎ、成長の質が問われる段階に入ったといえそうだ。
デジタル系ECを読み解くうえでは、利用者数の増加だけでなく、継続利用をどう促すか、単価をどう高めるか、競争力のあるコンテンツをどう確保するかが重要になる。2025年は、デジタル系ECの利用者の普及拡大に加え、継続課金や付加価値をめぐる競争を強める市場へと移行していることがうかがえる。

