8.9兆円の2025年サービス系EC市場。旅行は約3.8兆円、飲食は約1.1兆円など全ジャンルの市場規模&動向まとめ
経済産業省の調査によると、2025年のサービス系BtoC-EC市場規模は前年比8.64%増の8兆9362億円だった。旅行サービスが3兆7603億円で最大となり、飲食、金融、チケット、理美容など各ジャンルでオンライン予約・申込の広がりが市場を押し上げた。
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経済産業省が10月21日に公表した「令和7年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2025年のサービス系BtoC-EC市場規模は前年比8.64%増の8兆9362億円となった。前年の8兆2256億円から拡大し、引き続き成長基調を維持している。

ジャンル別では、「旅行サービス」が3兆7603億円で最大。これに「飲食サービス」の1兆984億円、「金融サービス」の1兆944億円、「チケット販売」の8129億円、「その他(医療、保険、住居関連、教育等)」の8078億円、「理美容サービス」の7995億円、「フードデリバリーサービス」の5628億円が続いた。

2025年は市場全体の伸び率が前年を下回った一方、チケット販売、理美容サービス、フードデリバリーサービスでは前年比の伸び率が改善した。旅行、飲食、金融といった市場規模の大きいジャンルが全体を支える一方、予約・申し込みのオンライン化が進む分野でも成長が続いている。
経産省の分析をもとに、主要ジャンルの市場規模と成長の背景を整理する。
旅行サービス
2025年の旅行サービスのBtoC-EC市場規模は、前年比6.68%増の3兆7603億円だった。サービス系ECの中で最大の市場となっている。
このカテゴリーには、旅行代理店への申し込み、航空機・鉄道・バスの利用、ホテル・旅館の宿泊費などが含まれる。
総務省の家計調査によると、2025年の1世帯当たりの「宿泊費・パック旅行費」の年間平均支出は5万9057円だった。コロナ禍前の水準には回復していないものの、前年比では10%を超える伸びとなった。
国内旅行は、コロナ禍の2021年までは自粛傾向が強かった。その後、2022年に実施された「全国旅行支援」や、2023年の新型コロナウイルス感染症の5類移行などを背景に需要が回復。国内旅行市場はコロナ禍前の約9割の水準まで戻り、2025年も堅調に推移したと経済産業省は分析している。
海外旅行については、2023 年 5 月には水際対策が撤廃されたが、近年の急速な円
安の影響で、国内旅行より回復が遅れている。このため、海外旅行需要自体は2025年も着実な回復傾向にあるものの、コロナ禍前の2019年の水準には至っていないという。
他方、訪日外国人旅行者による消費は拡大しており、旅行市場を取り巻く環境は改善している。スマートフォンの普及を背景に、旅行の予約・販売におけるオンライン利用も広がっている。旅行事業者にとって、オンラインは特別な販路ではなく、主要な予約経路になりつつある。
飲食サービス
飲食サービスの2025年のBtoC-EC市場規模は、前年比13.34%増の1兆984億円だった。旅行サービスに次ぐ規模で、1兆円を超える市場となっている。
ここでいう飲食サービスは、インターネットを利用した飲食店予約を指す。座席のみの予約か、料理内容を含む予約かは問わず、事前のネット予約全般が対象となる。
市場はコロナ禍の2020年、2021年に落ち込んだが、2022年以降は回復基調に転じ、2025年も拡大が続いた。外食産業全体では、原材料費や人件費の高騰を背景に価格改定が進み、2025年の売上高は前年比7.3%増となった。ファストフード、ファミリーレストラン、ディナーレストラン、喫茶など、幅広い業態で前年を上回っている。
一方、物価高を背景に消費者の選別志向も強まっており、ファミリーレストランやディナーレストランに比べ、ファストフードが相対的に堅調に推移している。経産省は、人手不足による機会損失を抑えながら、節約志向への対応とインバウンド需要の取り込みを両立することが、今後の市場拡大の鍵になるとみている。

金融サービス
金融サービスの2025年のBtoC-EC市場規模は、前年比10.66%増の1兆944億円だった。2024年の前年比16.59%増と比べると伸び率は鈍化したものの、引き続き2桁成長を維持している。
経産省は、背景として2024年に始まった新NISAの影響を挙げている。金融サービスの中でも、特に証券分野の伸びが市場拡大に寄与した。また、外国為替証拠金取引(FX)についても、2022年に急速な円安が進んだ局面で取引高が大きく増加し、その後も高水準で推移しているという。
チケット販売
チケット販売の2025年のBtoC-EC市場規模は、前年比15.13%増の8129億円だった。サービス系ECの中でも、特に高い伸びを示したカテゴリーとなっている。
対象となるのは、コンサートやフェスなどの音楽系、演劇・ミュージカル・お笑いライブなどのステージ系、野球やサッカーなどのスポーツ系、映画のチケット。クレジットカード決済かコンビニ決済かといった決済方法を問わず、インターネットでの申し込み全般を含む。
家計調査によると、2025年の1世帯当たりの「映画・演劇・スポーツ観戦」の年間平均支出は9331円で、前年の8530円から増加した。リアルイベントへの需要回復に加え、チケット購入におけるネット予約の浸透も、市場規模を押し上げているとみられる。
理美容サービス
理美容サービスの2025年のBtoC-EC市場規模は、前年比9.49%増の7995億円だった。市場規模は過去最高を更新した。
対象となるのは、ヘアサロン、ネイルサロン、エステサロン、リラクゼーション、アイビューティーなどのインターネット予約だ。2015年の2420億円から長期的な拡大が続いており、コロナ禍で一時落ち込んだ2021年を除けば、成長基調を維持している。
経産省は、2025年はまつげサロンなどの予約件数の増加も市場の伸びに寄与したとみている。
フードデリバリーサービス
フードデリバリーサービスの2025年のBtoC-EC市場規模は、前年比3.43%増の5628億円だった。
この分野は、コロナ禍を追い風に急拡大したカテゴリーだ。市場規模は2020年の3487億円から、2021年には前年比37.48%増の4794億円に拡大。その後も2023年までは成長が続いた。2024年は5442億円で、前年比7.26%減と縮小したが、2025年は再び増加に転じた。
コロナ禍の特需が一巡した後も、フードデリバリーは一定の需要を維持している。急成長局面は落ち着いたものの、利用習慣が定着し、市場は再び成長に転じたとみられる。
その他(医療、保険、住居関連、教育等)
「その他(医療、保険、住居関連、教育等)」の2025年のBtoC-EC市場規模は、前年比6.00%増の8078億円だった。
このカテゴリーは対象範囲が広く、医療、保険、住居関連、教育など、異なる市場が含まれるため、動向は一様ではない。ただ、生活に密着したサービスでも、申し込みや予約、契約のオンライン化が進んでいることがうかがえる。
サービス系ECはジャンルごとに異なる成長要因が鮮明に
2025年のサービス系EC市場では、旅行が引き続き最大市場となった一方、飲食、金融、チケット販売、理美容、フードデリバリーなど、日常的な予約・申し込みのオンライン化も市場拡大を支えた。
旅行は回復基調を維持し、飲食はネット予約需要の拡大を背景に成長。チケット販売はリアルイベント需要の回復やネット購入の浸透を追い風に高い伸びを示した。金融は新NISAなどが市場を支え、理美容は予約のオンライン化を背景に過去最高を更新。フードデリバリーはコロナ禍の特需後にいったん縮小したものの、2025年は再び増加に転じた。
サービス系ECを読み解くうえでは、市場規模だけでなく、各サービスの予約・申し込みがどのようにオンラインへ移行しているかを捉えることが重要だ。2025年も、商品を購入するECに加え、体験やサービスを予約・申し込むECが幅広い分野で定着しつつある。
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