なぜAI訪問客はトップページをスキップするのか? 購買意欲の高い顧客をつかまえるAI時代のEC改善アプローチ
CamelBakなどを展開するRevelystが「ChatGPT」や「Claude」などのAIツールがECトラフィックに与える影響を分析したところ、AI利用者はサイト訪問前に比較検討を終え、商品詳細ページへ直接着地して高い購買意欲を示すことがわかりました。
10月22日 7:00
2026年に入りAI(人工知能)を活用した商品発見が急速に拡大していることを受け、CamelBak(キャメルバック)やGiro(ジロ)、Bushnell(ブッシュネル)など10以上のアウトドア・スポーツギアブランドを展開するRevelyst(レベリスト)は、消費者がAIプラットフォーム上で自社商品について何を調べているかの分析・把握に注力しています。
「AI経由の商品発見」と顧客理解の重要性
CamelBakのグローバルデジタル&EC担当バイスプレジデントであるタリ・ハドルストン(Tari Huddleston)氏によると、消費者は自社ブランドの公式ECサイトにアクセスする前に、「ChatGPT」や「Claude」、「Perplexity」といったAIツールを活用し、商品の機能や仕様といった情報を深掘りしているそうです。ハドルストン氏はこう言います。
消費者が当社のブランドについてAI上でどのような質問をしているのかを追跡しています。商品の機能だけでなく、使われている技術やイノベーションについての質問も増えており、購入を直接の目的とした検索にとどまらない変化が起きています。
Revelystが展開するECサイト「Camp Chef(キャンプシェフ)」は「北米EC事業 トップ2000社」データベースで965位にランクインしているほか、米国の大手EC専門誌『Digital Commerce 360』の「AI Commerce Rankings」では571位に位置しています。

2026年後半に「4〜7%」へ急増するAIトラフィックの現状
Revelyst傘下の各ブランドにおけるAI経由のトラフィックの数値を明らかにしていませんが、ハドルストン氏によると、他社EC事業者と近い傾向にあると言います。
2026年初めにEC事業者のWebサイトの流入全体に占めるAI経由の割合は約1〜3%に過ぎませんでしたが、2026年後半には約4〜7%まで拡大。つまり、Revelyst傘下の各ブランドのAI経由のトラフィックは10%未満の範囲内で推移しているようです。
「商品詳細ページ」へ直行し、高い購入意欲を示すAI訪問客
ハドルストン氏によると、AI経由で訪れるトラフィックには、従来の集客チャネルとは異なる特長が見られるそうです。
AIツールを活用する消費者は、回答画面に提示されたリンクから公式ECサイトのトップページではなく「商品詳細ページ」へ直接アクセスしてきます。さらに、他の流入経路のユーザーと比較して商品をカートに追加する割合が高いという傾向があると言います。
ハドルストン氏は、消費者がAIツールを通じて購入ファネルの最上部にあたる初期の情報収集(商品発見・比較検討)をあらかじめ済ませているからだと分析。こう説明します。
消費者は十分に下調べを行った上で、すでに購入する準備を整えてサイトを訪れています。
なぜ高額商品ほどAIでの「事前調査」が不可欠になるのか
AI経由のトラフィックは着実に増加しているものの、現時点ではサイト全体の流入の大半を占めるには至っていません。その理由について、ハドルストン氏は自社商品の特性をあげて説明します。
消費者が当社の商品を発見してから購入を決定するまでの検討期間は、決して短くありません。「今すぐ代替品が必要だ」と言って即座に購入するような日用品とは性質が異なるためです。
長期投資となる商品の購入判断をAIがサポート
Revelystが扱うアウトドアギアやモータースポーツ用ヘルメットなどは、価格帯が400〜900ドル(約6万〜14万円)に及ぶことも珍しくなく、消費者にとって「長期的な投資」となります。
高額な買い物であればあるほど、購入後に後悔しないよう価格に見合う価値や機能があるかを慎重に精査する必要があります。そのため、消費者はプロンプトを通じてAIに具体的な質問を投げかけ、細部まで納得した上で購入に至るのです。
AI上の「会話データ」を商品詳細ページの改善に活用
Revelystは、AIプラットフォーム上で交わされている顧客の質問や会話データを、自社ECサイトのコンテンツ改善に向けた貴重な「顧客インサイト」として活用しています。
たとえば、ある消費者がAIに対し「ヘルメット内部のパッドにスピーカーをどう組み込めるのか」といった具体的な仕様について質問していたケースがありました。ハドルストン氏はこう言います。
AI上でどのような会話が行われているのかを継続的にモニタリングしていなければ、その機能がお客さまにとって重要であり、商品ページで強調したり検索で見つけやすくすべき要素であるとは気づけなかったでしょう。
AI上でのプロンプトや質問を分析することで、従来のアクセス解析(アクセスログやサイト内検索キーワード)だけでは見えてこなかった顧客のリアルな疑問や潜在ニーズを発見し、商品詳細ページのテキスト、画像、FAQなどの最適化へとフィードバックしています。
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