アシックス商事がアプリ経由のEC売上を2.3倍に伸ばした取り組みとは
アシックス商事は、アシックスウォーキング事業で店舗・EC・アプリの顧客データを統合し、アプリ活性化施策を進めた結果、アプリ経由のEC売上を約2.3倍に伸ばした。
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アシックス商事は、シューズブランド「アシックスウォーキング」でOMO施策を推進し、アプリ経由のEC売上をプロジェクト開始前と比べて約2.3倍に伸ばした。
アプリの月間アクティブユーザー数(MAU)も約1.4倍に拡大。分断されていた店舗・EC・アプリの顧客データを統合し、アプリの利用を促す施策を積み重ねたことで、オンラインとオフラインを横断した顧客接点の強化につなげた。

顧客データの分断と人材・ノウハウ不足が課題に
「アシックスウォーキング」は、歩くことの快適さや楽しさを追求するシューズブランド。全国の直営店舗で培ってきたフィッティング技術や接客体験を強みとしている。
アシックス商事は、アシックスウォーキング事業のさらなる成長に向け、オンラインとオフラインを融合するOMOの推進を重要テーマに位置付けていた。一方、実行段階では「システム・データ環境の未整備」と「現場のノウハウ・人材の不足」という2つの課題に直面していた。
店舗、EC、アプリそれぞれで顧客データを取得していたものの、チャネルごとに分断されていたため、顧客がどのチャネルで購入し、その後どのようにECやアプリを利用しているのかを横断的に把握しにくかった。分析精度にも課題があり、顧客の行動に応じた施策を設計することが難しい状況だった。
メール配信やWeb接客の仕組みは導入済みだったが、施策は一斉配信が中心。顧客ごとに最適化したコミュニケーションを設計・運用する体制は整っていなかったという。
こうした課題に対し、アシックス商事はReproのマーケティングコンサルティングとマーケティングオートメーション(MA)ツールを活用し、OMO実現に向けたロードマップを段階的に推進。初年度は「CDP×MAの導入」と「施策実行による初期成果の創出」に重点を置き、中長期的なデータ基盤の整備と並行して、短期的な成果につながる施策にも取り組んだ。
顧客データの統合とアプリ活性化を推進
成果の土台となったのが、オンラインとオフラインの顧客データの統合だ。アシックス商事は、店舗とECの両方を利用する顧客の年間購入額が、単一チャネルを利用する顧客と比べて約2倍高いことを把握した。OMOの売上貢献をデータで可視化できたことで、取り組みをさらに進める根拠を得た。
そのうえで、OMOの主要チャネルとして公式アプリを重視。アプリを「購買時だけ使う場」から「購買時以外にも開いてもらう場」へと変えるため、利用を促す施策を進めた。
具体的には、アプリのインストール直後に表示するオンボーディングの改善、お気に入り店舗の登録促進、3D足形計測データの閲覧機能の認知拡大などを実施。小さな利用機会を積み重ねながら、施策の効果を検証・改善するPDCAを回した。
さらに、データ分析と店舗現場の知見を組み合わせ、顧客の特性や価値観を分類した「お得意様ペルソナ」を定義した。店舗スタッフが「普段接客しているお客様像そのもの」と感じられるレベルまで具体化し、施策の精度向上につなげた。データだけに頼らず、リアル店舗で培ってきた接客の知見をデジタル施策に反映した点も特長だ。
こうした取り組みにより、アシックス商事はプロジェクト開始前と比べて、アプリ経由のEC売上を約2.3倍、アプリのMAUを約1.4倍に伸ばした。アプリ販促の強化にとどまらず、顧客データの統合、アプリの利用促進、店舗で培った知見の反映を一体的に進めたことが成果につながった。
ReproはOMOを「顧客の行動データ取得」「コミュニケーション」の機会と量を増やし、施策の質と量を高めることで事業目的の達成につなげる手段の1つとし、実現には「ID&データ統合の実現」「デジタル上での高いアクティブ率の維持」など、重要成功要因を満たす必要があることをロジカルに提示してくれた。こちらの不安を受け止め、背負ってくれるという強力な推進力と安心感からツール、マーケティング運用の両面をお任せすることにした。(アシックス商事 国内事業統括部 DTC販売本部 デジタル戦略部 ECセールスチーム マネジャー 花原毅彦氏)
AI活用によるパーソナライズ施策も視野に
アシックス商事では今後、より高度なパーソナライズ施策も視野に入れる。アシックス商事は、購入履歴や属性データを踏まえ、優秀な販売員の接客をデジタル上で再現する「AI活用パーソナライズメール」の実装をめざしている。
閲覧履歴だけをもとに機械的に商品を薦めるのではなく、「以前購入したビジネスシューズの買い替え時期に合わせて提案する」といった、顧客の購買履歴や状況に応じた1to1コミュニケーションにつなげる構想だ。
アシックスグループ全体でも、デジタル・ECの強化が進んでいる。アシックスの2025年12月期のEC売上高は前期比8.3%増の1484億円で、EC化率は18.3%だった。会員プログラム「OneASICS」の会員数も2313万人に拡大しており、オンラインとオフラインを横断した顧客基盤の構築を進めている。「アシックスウォーキング」の取り組みは、こうしたグループ全体のオムニチャネル戦略を、アシックスウォーキングで具体化した事例といえる。
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