通販新聞 2015/4/28 10:00

アパレル大手のイトキンは、自社通販サイトのさらなる売り上げ拡大に向け、課題である顧客定着化施策のテコ入れを図る。今期(2016年1月期)中をメドに、全社に先がけてECでCRM(顧客関係管理)システムの導入を目指し、既存客のリピート化、ロイヤル化につなげる

同社の15年1月期のネット売り上げは前年比20%増となり、期初計画に対しても約6%上ブレした。商品投入量を増やしたことに加え、広告費拡大によるアクセス数の増加が増収に寄与した。

商品の投入量は、ブランド事業部がEC用にも実店舗と同様の配分を行ってきているほか、展開商品数も従来は店頭で販売する商品の60~70%程度をネットで扱っていたが、ブランドによってはほぼ100%に高まっているという。

新規客開拓に向けてはSEO対策を強化し、ファッション関連の細かいキーワードを試した結果、サイト流入が増えた。リピート購入施策では動的リターゲティングを始めたことが奏功。通常のバナー広告に比べてクリック率、購入率が3~5倍高まったという

スマホからのアクセスは全体の55%、購入比率も35%強と前年比で約10ポイントアップしており、今後はスマホに特化したリターゲティング広告の運用も検討する。また、グーグルがモバイルの検索結果順位の決定要素のひとつとして4月21日に導入した「モバイルフレンドリーアルゴリズム」への対応を急ぐ。これまではブランドの世界観を重視してサイト上部に大きな画像を配置しているが、検索対応も踏まえて読み物のコンテンツを強化し、結果的に消費者が分かりやすく、買いやすい通販サイトを目指すという。

次の成長フェーズに向けた課題はCRMの着手だ。実店舗を含めたシステム投資額は規模が大きくなるため、今期中をメドにもECで先行運用したい意向で、顧客分析から販促につなげる一連の流れをシステム化して離脱防止とリピート購入を促進。まずは、既存顧客の平均年間購入回数を現状の約1.9回から2.3回程度に高めたい考えで、今期もネット売上高は前年比20%増を見込んでいるが、早急にCRMに取り組んで計画の上ブレを目指したい考え。

一方、バックヤード業務の改善にも乗り出しており、“ささげ”については、商品撮影の翌日に採寸とコメント書きを行っていたが、撮影と同じ日に採寸などを行えるように業務フローの見直しに着手した。現状、新作の販売日は店頭よりも1週間程度遅いが、これを5日後に改善できる見通しだ。一方、倉庫会社の協力も得て1日に撮影できる時間を2時間増やすメドがついたため、全体の撮影ライン数を減らして経費削減にもつなげるという。

また、今期は定価販売比率の向上にも取り組む。そのためには機会損失の軽減が不可欠で、商品投入の迅速化に加え、フォロー体制(在庫の追加配分)の整備も図る考えで、7月をメドに欠品商品の再入荷お知らせメール機能と予約販売機能を追加する。

再入荷お知らせの開始に合わせて、商品の店舗間移動のフローも改善。店頭からECに商品を移動する場合、従来はシステム面や検品などの問題から茨城県内の物流拠点を経由してEC用倉庫に送っていたが、店頭から直接、EC倉庫に届けられるようにする。

「通販新聞」掲載のオリジナル版はこちら:
イトキン、今期メドにCRM導入へ(2015/04/23)

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