通販新聞 2015/5/19 7:00

アマゾンジャパンは5月11日から、ネット販売企業向けにアマゾン顧客の登録情報を使って、当該サイトへのログイン・決済が可能となる「Amazon ログイン&ペイメント」を開始した。まず「出前館」など2サイトが導入した。ユーザーは新規で顧客情報を登録することなく、アマゾンで登録済みの情報で買い物でき、導入サイトは新客獲得や注文成約率向上が図れる。すでに同サービスを展開する米アマゾンなどでは一定の成果を上げており、日本でも注目されそうだ。

「Amazon ログイン&ペイメント」はアマゾンジャパン運営の通販サイトで顧客が登録した氏名や商品配送先住所、クレジットカード番号などの情報を“アマゾン以外の通販サイト”でも利用し、ログインや決済できるようにするサービス。一昨年10月から米アマゾンで開始後、英・独・印で展開中。日本は5カ国目となる。

対象は日本で法人登記をしているネット販売実施事業者で、料金の詳細は不明だが、「導入企業から一定の手数料を頂く」(星健一セラーサービス事業本部長=写真中央)とする。導入にはアマゾンへ申請後、企業の状況や販売商品内容の確認などのアマゾンの審査を通過する必要がある。また、導入のためのシステム開発も必要となる。現状では自社でシステム開発を行うか、サイト構築サービスなどを展開する外部業者のオプションサービスを利用する必要がある。

アマゾンジャパンが行った「Amazonログイン&ペイメント」の会見

現状ではフラクタが展開する通販サイト構築サービス「FRACTA NODE(フラクタ・ノード)」のオプションサービスとして、5月11日から「Amazon ログイン&ペイメント」が実装できるようになっており、同ツールで構築した通販サイトであれば利用できる。同社によればすでに4社が「Amazon ログイン&ペイメント」を申請中だという。さらにフューチャーショップが運営するECサイト構築サービス「FutureShop2」でも9月から「Amazonログイン&ペイメント」を利用可能にするオプションサービスを提供する予定。

導入サイトの利点は当該サイトでは新規顧客であっても、アマゾン顧客であれば、初回購入時の1つの大きなハードルとなる“顧客情報の入力”をユーザーにお願いすることなく、「Amazonアカウント」の登録情報を使用し、簡単に会員登録と決済が行え、顧客化できること。これにより、「新規顧客獲得やカート画面からの注文成約率改善に貢献できる」(同)とする。

また、顧客のクレジットカード情報を保有せずに済むため、セキュリティコスト削減のほか、アマゾンが実施中の出品者と顧客間でトラブルなどが生じた場合に購入代金を最高30万円まで保証する制度「Amazonマーケットプレイス保証」を「Amazon ログイン&ペイメント」の導入サイトにも適用するため、顧客の買い物への不安感の払拭も期待できそうだ。

同サービスの導入効果として、米アマゾンの事例では、家具ECの「cymax」で導入後、新規顧客のうち、3人に2人が同サービス経由で会員登録をし、また、カート画面からの注文成約率ではアウトドア用品ECの「THE CLYMB」は導入前後で10%アップ、衣料品ECの「ALLSAINTS」では34%アップとなるなど成果が出ていると説明している。

日本ではスタート時点では演劇チケット販売サイト「劇団四季」(運営・四季)および出前ポータルサイト「出前館」(同・夢の街創造委員会)の2サイトで導入した。目標の導入企業数は明らかにしていないが「海外のアマゾンでは数千社が導入している。日本でも同様に多くの利用を見込んでいる」(星本部長)する。今後は通販サイト構築ツールを提供する複数の事業者などと連携しながら、オプションサービスとして「Amazonログイン&ペイメント」を実装させるなどで、導入者数の拡大を図っていくと見られる。

「通販新聞」掲載のオリジナル版はこちら:
アマゾンジャパン 〝ログインと決済〟をアマゾン外の通販サイトへ提供、出前館など導入(2015/05/15)

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