BtoB-ECの収益を決めるリピート率はどう伸ばす? チャネルトーク×ZETAが明かす「検索×AIチャット」を活用した業務自動化とCX向上
特有の課題を持つBtoB-ECで、業務自動化や顧客体験を向上させるには何から始めれば良いのか、Channel CorporationとZETAが解説
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BtoB-ECの収益は「リピート」で決まる
山崎徳之氏(以下、山崎)一昔前までBtoB-EC市場規模はBtoCの10倍と言われていましたが、今や20倍。市場のポテンシャルはBtoBの方がはるかに大きくなっています。

山本凌嗣氏(以下、山本)BtoB-ECとBtoC-ECとで明らかに違うのは、お客さまの収益や売り上げの伸び方です。BtoCは広告を大量に打って新規顧客を獲得した後、どちらかというとLTVは右肩下がりのイメージがあります。一方でBtoBはお客さまとの付き合いが長く、LTVが右肩上がりの印象があります。

山崎BtoCの買い物は「商品を探す時間やプロセスも楽しい」といった感覚がありますが、BtoBの購入者は業務的に買っているので、「良いものを早く安く買いたい」と考える。買い物のプロセスを楽しむ必要がないですからね。
山本そこがBtoB-ECの大きな特長だと思います。BtoB-ECでは既存顧客がどれだけ反復発注し、リピートで取引してもらうことが重要。逆に言えば、1社の離脱がすごく大きなダメージになってしまいます。
山崎まさに、BtoBの収益はリピート取引で決まります。米国ではロイヤリティには次の3つがあると捉えられています。
① Transactional Loyalty……ポイント還元や価格の安さを理由に買うといった金銭的かつドライな取引
② Behavioral Loyalty……行動的ロイヤリティを意味しており、特別な思い入れがあるわけではないが、「便利だから」などの理由があり、自分にとって最適と思っているロイヤリティ
③ Emotional Loyalty……「Appleが好き」「パタゴニアが好き」というように、企業やブランドに対して感情が働くロイヤリティ
③はBtoBにはあまり当てはまらないので、BtoBの最上位は②の「Behavioral Loyalty」。お客さまが便利さや使いやすさを感じられることが大事だということになります。
山本確かにそうですね。ZETAさんの調査では「失望体験は離脱=機会損失に直結する」というデータがあったので、この解説をお願いします。
山崎ZETAはEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を提供していますが、検索におけるユーザーの一番のフラストレーションはやはり、0件ヒットや在庫切れなどにより希望の商品が見つからないこと。「AIの登場によって検索しなくてもよくなる」と考えるのは大きな誤解で、ユーザーがGoogle検索などのインターフェースを使わなくなっても、むしろ裏ではこれまで以上にAIが検索をするようになってきているわけです。これはエージェンティックコマースのなかでも「エージェンティックサーチ」と言われていますが、ここがチャネルトークとZETAとの提携で非常に重要なところになります。
以前はLLM(大規模言語モデル)に一貫して検索を任せようと考える傾向が強かったですが、LLMに最新の商品情報などをすべて持たせることは難しい。現在は、LLMがユーザーの意図を理解し、実際の商品検索は検索エンジンが担うというように、それぞれの強みを生かした役割分担が進んできています。
山本LLMに頼り切るというよりは、どこを起点にどう体験を設計するのかがすべてのポイントだと考えています。BtoBのECサイトにおいては、いかにユーザーの期待値を下回らないかが大事で、まさに検索の部分やその先のコミュニケーション設計が肝要ですよね。
山崎そうですね。AIはまだハルシネーション(人工知能が事実に基づかない情報を生成する現象)の課題もあるので、ユーザーとしては間違ったことを言われると不愉快に感じます。ましてやユーザーがその間違いに気付けなければ大問題にも発展しかねません。
山本そうなると「もうそのECサイトは使わない」と信頼を失うことになるでしょう。だからこそ、意図を理解するAIと商品を探す検索機能の役割と構造を理解したうえで、コミュニケーションを設計しなければいけません。
リピート収益が落ちる原因の1つは、粗悪な問い合わせ対応
山本ECを運営する上で、リピート収益が落ちるボトルネックはいくつかありますが、ここでは「問い合わせ対応=お客さまとのコミュニケーション」に注目します。
山崎AIによる問い合わせ対応が増えていますが、そもそもAIはユーザーからの相談に適切な回答を返すことで信頼を得たいと思っているものなので、回答の根拠となるQ&Aなどの情報を参照することを重視しています。Q&AをAIが参照できるように整備すれば、問い合わせにきちんと答えられてAI自体も信頼を獲得できる。しかし、間違ったQに対するAを返すと、これも信頼喪失につながってしまいます。
山本私は安易にAIを活用することにあまり肯定的ではありません。裏に入れるデータの質や体験の設計をしっかりしていないと、むしろネガティブに作用してしまうことが多いからです。また有人対応が必要な問い合わせ対応も必ず存在します。そのためAIに何でもかんでも答えさせるのが良いわけではないと考えているのです。
一方、調べたり問い合わせたりする行動そのものがAIへ移行しつつあります。AIで買い物の相談や商品の比較を当たり前のように行うようになった社会のトレンドもありますし、実際に日常的にAIでショッピングをする人も増えてきていることが、背景の1つとしてありそうです。
山崎BtoCの話になりますが、AIを使う大きなメリットの1つが、検索キーワードなどを細かく考えなくても、会話形式で自分の要望を入力すれば商品を探せるため、商品探索のハードルが下がりやすいことがあげられます。そして、BtoCの場合に特長的なのが、AIをよく使う人のほうがコンバージョン率は高く、1回あたりの購入金額も高く、LTVも高まる傾向にあります。米国『EMARKETER Forecasts』は2025年から2029年までの4年間でAI経由のEC売上が約27倍に拡大すると予測しています。
山本AIを使う人から話を聞くと、人よりもAIの方が気軽に質問できるという感覚はやはりあるそうです。「問い合わせをして、疑問が解決したら購入する」という24時間365日対応できない有人の取りこぼしを、AIであれば拾えるため、潜在的な顧客を顕在化できると考えられます。
BtoB-ECの課題と「検索×問い合わせ」の解決策
山本前提として、AIチャットには3つのレベルがあるそうですね。
山崎レベル1の「FAQボット」は昔からあるチャットボットで、役に立つほどのものではありません。レベル2の「エージェンティックサーチ」は、RAG(Retrieval-Augmented Generation:LLMが持つ知識を補うために外部知識を活用する仕組み)をさらに発展させた新しい概念くらいに考えてください。
レベル3の「タスク実行型AIエージェント」は、レベル2がもっと具現化した先のこととイメージしてください。完全自律型AIエージェントによってAIエージェント同士が会話していろいろなことができるようになっていく展開については、注目しておく必要があると考えています。
BtoB-ECの課題1:パンチアウト対応
山本BtoB-ECは「品ぞろえ×掛率×契約条件」が取引先の数だけ増加するため、組み合わせが大量になります。EC側のロジックで処理すると表示速度は急落し、開発負荷も膨張しがちで、その結果、属人化してしまうという課題を抱える企業が多く見受けられます。
山崎ZETAでもBtoB-ECの検索で寄せられる相談の約9割に、パンチアウトの要件が入っています。
山本それだけBtoB-ECにおいてパンチアウトは当たり前の要件と言えます。ではBtoB-ECにAIチャットを入れるときにどのような問題が起こるかというと、まず、企業単位で情報を出し分けるという前提条件を満たせないケースが結構あることです。なぜなら、チャットは誰からの問い合わせか把握できずに、単なるテキストのやり取りで終わることが多いため、企業ごとの問い合わせにハードルがあることが多いのです。
ただし、Channel Corporationの「チャネルトーク」はCRMがひも付いているため、パンチアウト対応が可能です。A社から問い合わせが入ってきたときはA社の裏側の情報を見に行き、AIがA社専用の回答を案内できることが特長のため、BtoB-ECに高い価値を提供できます。
BtoB-ECの課題2:大量のSKUと型番問題
山本BtoB-ECは大量のSKUを取り扱い、問い合わせの回答には深い商品知識が求められるため、人力やFAQボットでは追い付きません。お客さまへどのように出し分けや回答をするかという点で、「ZETA SEARCH」と「チャネルトーク」の連携で良い体験が提供できています。
山崎検索のケースとして、型番を例に取り上げて説明しましょう。型番は3桁、8桁、2桁というような組み合わせになっていますが、発注者はメインの8桁しか入力しなかったり、1桁落としたり、ハイフンの有無を間違えたりすることがあります。それをいかに補完してあげられるかが、重要なポイントです。
入力ミスの補完ではAIの力が有効で、型番検索における難易度をかなり下げられるでしょう。さらにLLMの良いところは、過去の発注履歴など、過去の経緯を学習してくれること。同じ発注者が以前買った商品を踏まえ、型番を推測することも可能です。
山本単純な検索エンジンだけではなく、AIがかけ合わさることで「コンテキスト=その人の背景」がひも付いて、検索体験や購入体験が良くなるということですね。ZETAさんとChannel Corporationの提携によって「検索×AI」が自然と成り立っているので、コンテキストをしっかり把握した体験設計ができるようになっています。
BtoB-ECの課題3:煩雑な問い合わせフロー
山本お客さまへの回答が遅くなる背景として、まず在庫や受注、請求などの情報は基幹システムの中にあるので、基幹システムを見に行かなければ答えられないことがあります。そして、見積もりや承認、与信などの業務が特定の担当者に集中し、属人化により流れが停滞してしまうことがあります。さらに、電話、メール、FAXなど、窓口のチャネルが分散しているため、後追いのしにくさや抜け漏れも生じがちです。
こうした課題を解決するため、「チャネルトーク」では「タスク機能」を用意しています。この「タスク機能」を使うと、AIがヒアリングから本人確認、外部システム照会、回答の出し分けまでを自動で行えるようになります。
検索の場面で良い体験が提供できると紹介しましたが、その先で何か問い合わせが顧客単位で発生した場合にも、お客さまの識別をした上で適切な案内がAIでできるということです。また、「法人単位でこの情報を変更したい」といった際も、API接続にすべて対応しているので、参照だけでなく書き換えまで自動でできるようにしています。
「検索×チャット」を収益につなぐ。CRM起点で収益に転換する仕組み
山本検索とAIチャットは二者択一ではなく相関関係にあります。双方ともCRMを起点にしているからこそ「検索×チャット」で好循環が生まれ、最大限の体験をお客さまに提供できるということを、BtoB-ECを運営する企業にぜひ理解しておいていただきたいです。
BtoCと違ってBtoB-ECではエモーショナルな体験は求められていません。収益の原理は「Behavioral Loyalty」で決まります。優れた検索体験とAIのかけ合わせでコンテキストを把握した体験設計を行うことが重要です。
山崎そして、リピート取引が柱となるBtoB-ECでは、「PPX(Post Purchase Experience:購入後体験)」も重視しなければいけません。旧来のマーケティングでは、買ってもらうまでにどう頑張るかというところに焦点を当てがちでしたが、昨今は米国のマーケティングイベントでもPPXの話が盛んに繰り広げられています。
買った後にいかに満足してもらうかが重要で、なおかつこのPPXの場面で今、AIが最も活用されているのです。返品、キャンセル、配送確認のしやすさのほか、BtoCでは開封体験にもAIが活用されています。
BtoCの事例ですが、米国のあるEC企業では、返品ボタンが押された30秒後に「代替品を送りました」とメールを送る仕組みにしているそうです。すると、ユーザーは「この会社なら絶対安心だ」と感じ、ロイヤリティが向上すると言っていました。ユーザーの不安やストレスをAIで徹底的に取り除くPPXの流れは、確実にBtoBにもやって来ると私は考えています。
山本私も同意見です。「Behavioral Loyalty」とPPXのかけ合わせで体験を提供することで機会損失が防止でき、結果的に収益も右肩上がりに改善していけると思います。

