カスハラ対策、していますか? 10月1日から全企業に対策義務化。被害にあった従業員向け相談体制の整備など

10月1日から、カスタマーハラスメント対策がすべての事業主の義務となる。EC・通販事業者も対象で、相談窓口の整備や対応方針の明確化などが求められる。

鳥栖 剛[執筆]

9:30

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が事業主の義務となる。EC・通販事業者も例外ではなく、電話、メール、チャット、SNS、レビュー投稿など顧客接点が多いだけに、社内ルールや相談体制の整備が必要になる。

カスハラ対策、していますか? 10月1日から全企業に対策義務化。被害にあった従業員向け相談体制の整備など
カスタマーハラスメントのイメージイラスト

改正労働施策総合推進法に基づき、10月1日からカスハラ防止措置が事業主の義務となる。厚生労働省はこのほど、事業者が講ずべきカスハラ対策の内容について公表した。

カスハラは、顧客や取引先、施設利用者などの言動で、業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、その結果として労働者の就業環境が害されるものを指す。電話やSNSなど、インターネット上で行われる言動も対象に含まれる。

「商品と無関係な要求」「脅迫」「執拗な言動」などが対象

厚労省は、社会通念上許容される範囲を超える言動の例として、商品やサービスと無関係な要求、契約などで想定しているサービスを著しく超える要求、不当な損害賠償要求などをあげている。

手段・態様の例としては、暴行や傷害などの身体的な攻撃、脅迫、中傷、名誉毀損(きそん)、侮辱、暴言、土下座の強要などの精神的な攻撃、威圧的な言動、継続的・執拗な言動、不退去や居座り、監禁などの拘束的な言動を示している。

事業主に求められるカスハラ対策は5項目

事業主が講じなければならない措置は、大きく5つに整理されている。

1.方針を明確化し、従業員に周知・啓発

カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護するという事業主の方針を明確にし、従業員に周知・啓発する。

あわせて、カスハラの内容や、あらかじめ定めた対処方法についても従業員に周知することが求められる。たとえば、管理監督者に対応方針を確認する、可能な限り従業員を1人で対応させない、犯罪に該当し得る言動は警察に通報する、本社・本部に情報共有して指示を仰ぐ、といった対応方法があげられている。

2.相談窓口を設け、適切に対応できる体制を整備

カスハラについて相談できる窓口をあらかじめ定め、従業員に周知する。さらに、相談窓口の担当者が相談内容に応じて適切に対応できる体制を整える必要がある。

3.事実確認、被害者への配慮、再発防止策を実施

カスハラが発生した場合は、事実関係を迅速かつ正確に確認する。被害を受けた従業員への配慮措置を行うとともに、再発防止に向けた措置も講じる。

4.悪質なカスハラへの対処方針を定める

特に悪質と考えられるカスハラについて、あらかじめ対処方針を定め、従業員に周知するとともに、その対処を実施できる体制を整備する。

5.相談者のプライバシーを保護し、不利益な扱いを禁止

相談者などのプライバシーを保護するための措置を講じ、その内容を従業員に周知する。また、カスハラについて相談したことなどを理由に、不利益な取り扱いを受けないことを定め、周知・啓発する。

EC・通販も「従業員を1人で対応させない」仕組みを

EC・通販の現場では、店舗での接客に限らず、コールセンター、受注対応、配送に関する問い合わせ、レビュー、SNSなど、さまざまな顧客接点でカスハラが起こり得る。

そのため通販事業者にとっては、カスハラを「接客現場の問題」と捉えるのではなく、カスタマーサポートやEC運営、物流、マーケティングなどを含めた全社的な課題として対応する必要がある。

実務面では、従業員を1人で対応させない、上長や本部へエスカレーションする、対応内容を記録する、犯罪に該当し得る言動は警察へ通報するなど、あらかじめ対応フローを決めておくことが重要になる。

求職者やインターンへのセクハラ対策も義務化

今回の法改正では、カスタマーハラスメント対策に加え、求職者などに対するセクシュアルハラスメント(セクハラ)の防止措置も、10月1日から事業主の義務になる。

対象には、求人への応募者や採用面接の参加者だけでなく、就職説明会やインターンシップ、教育実習など、求職活動や職業の選択に資する活動に参加する人も含まれる。

事業主には、求職者などに対するセクハラについても、方針の明確化・周知、相談窓口の整備、事実関係の確認、被害者への配慮、再発防止などの措置が求められる。採用活動やインターンシップを実施するEC・通販企業は、カスハラ対策とあわせて対応状況を確認しておきたい。

あなたのまわりの「スゴい人」を表彰します! 第4回 ネットショップ担当者アワード 募集中

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored

カゴ落ち率を改善する3ステップ・アクションプラン。広告費を増やす前にふさぐべき、ECサイト最後のバケツの穴「決済承認率」改善方法 8:00 【海外事例4選】BtoBコマースの新潮流とは? マーケットプレイス活用と「エージェンティックコマース」への備え 9月28日 7:00 CVR改善と不正利用対策を両立。美容家電の公式ECに学ぶ「Amazon Pay」導入の実際 9月10日 8:00 顧客の8割は「なんとなく」離脱する。ECリピート売上を最大化する7つの鉄板シナリオをアクションリンクが公開 8月3日 7:00 ストア評価2.5→3.8へ! 三陽商会の「SANYO公式アプリ」、リニューアル成功の裏側とOMO戦略 7月29日 8:00 決済承認率15%改善、不正率ほぼゼロを実現。「and ST」が導入したRiskifiedの網羅的な不正対策アプローチ 7月14日 7:00 ECビジネスに有効! リピート促進や顧客満足度向上に直結する「LINE通知メッセージ」とは? 6月22日 7:00 欧米トップ企業はなぜマーケットプレイス化を急ぐのか? BtoB企業の競争力を高める新潮流 4月21日 7:00 サステナブルな付加価値を「利益」につなげる新時代の成長戦略。Amazon提供の「Climate Pledge Friendly」プログラムの全貌+事業者のメリットを詳しく解説 2月24日 7:00 EC売上250億円規模のアルペンが語るOMOの裏側 ―ECシステム刷新、メディアコマース転換、評価制度 2月4日 8:00