AIで買い物をする時代の消費行動とは? 6割がECサイトへの移動に不満、価格の食い違いが摩擦を増幅

AIで商品を選んだ後、購入のためにECサイトへ移動する流れに6割超が不満を感じていることが、メルカートの調査でわかった。AIの回答と実売価格の食い違いが、購入直前の離脱や不信感を強める要因になっている実態も浮かび上がった。

鳥栖 剛[執筆]

8月20日 10:30

AIで商品を決めた後のECサイトへの移動に、6割超が不満を感じている――。メルカートが実施した消費者調査で、こうした実態が明らかになった。特に、AIの回答と販売サイトの価格に食い違いを経験した層では、不満を感じる割合が最大で76.0%に達した。AI経由で高まった購買意欲が、購入直前の「移動摩擦」によって失われる構図が浮かび上がった。

メルカートは8月19日、ECサイトで商品を購入する際にAIで調べたり相談したりする20~60代の消費者400人を対象に実施した「ECサイト利用時のAI相談に関する調査」の結果を公表した。

生成AIの普及により、商品を「検索して選ぶ」のではなく「AIに相談して決める」購買行動が広がるなか、AIで商品を決めてから実際に購入を完了するまでの間に生じる不満や障壁を「移動摩擦」と定義し、その実態を調査した。

AIで買い物をする時代の消費行動とは? 6割がECサイトへの移動に不満、価格の食い違いが摩擦を増幅
メルカートは「ECサイト利用時のAI相談に関する調査」の結果を公表

AIで商品を決めても、ECサイトへの移動が負担に

AIとの相談で「これだ」という商品が見つかった後、外部のECサイトへ移動して購入する際の感情について、「スムーズに購入できて満足している」と答えたのは17.8%にとどまった。

AIで買い物をする時代の消費行動とは? 6割がECサイトへの移動に不満、価格の食い違いが摩擦を増幅
AIで商品を決めた後のECサイトへの移動に6割超が不満

一方、「改めてECサイトで検索し直したり、ログインしたりするのが非常に面倒だと感じる」が25.0%、「AIの画面とECサイトの情報の間に差がないか不安になる」が21.8%、「ECサイトへの移動自体が手間に感じ、購入を諦めることがある」が7.5%、「知らないサイトに移行しなければならず不安を感じる」が6.3%だった。これらを合わせると、60.5%がネガティブな感情を抱いていた。

なかでも「ECサイトへの移動自体が手間に感じ、購入を諦めることがある」と答えた人が7.5%いた。AIによって購入意欲が高まっても、その後の遷移や手続きが障壁となり、機会損失につながっていることがうかがえる。

AIで商品を探したり比較したりする際に感じるストレスでも、「AI画面と販売サイトを往復するのが面倒」が30.5%で最多となった。40代では40.0%に達した。次いで「真偽が不安で、結局自分で調べ直す手間がかかる」が27.5%となった。

若年層ほど「AIとECサイトの分断」に不満

外部サイトへの移動にネガティブな感情を抱く割合は、女性20代が75.0%で最も高かった。年代別でも20代が71.3%、30代が66.3%、40代が58.8%、50代が57.5%、60代が48.8%となり、若い世代ほど高い傾向が見られた。

AIで買い物をする時代の消費行動とは? 6割がECサイトへの移動に不満、価格の食い違いが摩擦を増幅
若年層ほど「AIとECサイトの分断」に不満

デジタルツールに慣れた層ほど、AIとECサイトの間にある分断を強く意識していることがうかがえる。

AIと販売サイトの「価格ズレ」が不満を増幅

AIの回答にある価格と実際の販売サイトの価格が異なり、混乱した経験については、「よくある」が20.3%、「たまにある」が42.8%で、合計63.0%が価格の食い違いを経験していた。女性20代では82.5%にのぼった。

AIで買い物をする時代の消費行動とは? 6割がECサイトへの移動に不満、価格の食い違いが摩擦を増幅
AIと販売サイトの「価格ズレ」が不満を増幅

価格ズレの経験と外部サイト移動時の感情をクロス集計すると、ネガティブな感情を抱く人の割合は、価格ズレが「全くない」層では25.6%だったのに対し、「あまりない」層では48.6%、「よくある」層では61.7%、「たまにある」層では76.0%に達した。

AIで買い物をする時代の消費行動とは? 6割がECサイトへの移動に不満、価格の食い違いが摩擦を増幅
価格ズレで不満を感じる割合は最大で76.0%

AIの回答と実際の販売情報の不一致が、ECサイトへの移動時に生じる不満や不安を増幅させていることが分かる。

AI利用が多いほど「購入代行」への意向が高まる

一方、AIの利用頻度が高い層ほど、AIによる購入代行を求める傾向も鮮明になった。

買い物でAIを「ほぼ毎回」使う人は26.5%、「2~3回に1回程度」は35.3%。AIが予算や好みを理解し、カートへの投入から決済まで代行する機能について、「積極的に利用したい」と答えた割合は、「数回程度」利用する層で15.0%、「2~3回に1回程度」の層で24.1%、「ほぼ毎回」の層では53.8%となった。

AIで買い物をする時代の消費行動とは? 6割がECサイトへの移動に不満、価格の食い違いが摩擦を増幅
AI利用が多いほど「購入代行」への意向が高まる

AIを使った買い物体験を重ねた人ほど、次の段階として「購入代行」を求めていることがうかがえる。

ただし、消費者が現実的にAIへ購買を委ねやすいのは、日用品などのルーチン購入や低額商品だった。

購入代行機能の利用意向では、「日用品などのルーチン購入なら利用したい」が38.5%で最多。AIに「お任せ」で購入してもらってよい金額の上限は、「3000円未満」が32.8%、「1万円未満」が30.8%で、合わせて63.5%が1万円未満と回答した。

また、趣味性の高い買い物は自分で楽しみながら、日用品はAIに任せたいという「使い分け派」も20.8%存在し、20~30代では28.1%にのぼった。

AIで買い物をする時代の消費行動とは? 6割がECサイトへの移動に不満、価格の食い違いが摩擦を増幅
AIの購入代行は63.5%が1万円未満までと回答

EC事業者には商品情報の正確性がより重要に

メルカートは今回の調査を踏まえ、AIが購買の入り口となる時代にEC事業者へまず求められるのは、価格や在庫などの商品情報を常に正確に保ち、AIに正しく参照させる体制の構築だと指摘する。加えて、購入直前の不安を和らげるため、実購入者レビューやビジュアルUGCなどの一次情報を提示することも重要になるとしている。

調査概要

  • 調査名:ECサイト利用時のAI相談に関する調査
  • 調査方法:インターネットアンケート
  • 調査対象:ECサイトで商品を購入した経験があり、購入の際にAI(ChatGPTやGemini等)で調べたり、相談したりすることがある20〜60代の消費者
    有効回答数:400人
  • 調査時期:2026年3月18日〜19日
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