送料の値上げにつながるかも? ガソリン価格補助を12月から縮小、基準価格を毎月5円ずつ引き上げへ

政府は、ガソリンなど燃料油への補助を12月以降に段階的に縮小する方針を示した。燃料価格の上昇は物流コストの増加を通じて、EC事業者の配送費や送料施策に影響する可能性がある。

鳥栖 剛[執筆]

7:30

政府は12月以降、ガソリンなど燃料油への価格抑制策について、段階的に支援を縮小する方針を示した。ガソリン価格の上昇は、配送会社の燃料コストや物流費の増加につながる可能性があり、EC事業者にとっては、将来的な送料改定や配送関連コストの上振れ要因となり得る。

送料の値上げにつながるかも? ガソリン価格補助を12月から縮小、基準価格を毎月5円ずつ引き上げへ
ガソリンなど燃料油への補助を段階的に縮小させる方針を説明する高市早苗首相

高市早苗首相は10月29日の記者会見で、ガソリンなど燃料油への補助について、原油価格の動向を注視しながら、12月以降、春先に向けて基準価格を毎月5円ずつ引き上げていく方針を示した。補助の完全終了時期は明言しておらず、今後の原油価格や国民生活、経済活動への影響を見極めながら、段階的に制度を見直す考えだ。

首相は会見で、足元のガソリン補助単価が1リットル当たり50円を超え、過去最高の水準に達していると説明した。

送料の値上げにつながるかも? ガソリン価格補助を12月から縮小、基準価格を毎月5円ずつ引き上げへ
ガソリン補助額の推移(画像は政府公表資料から編集部がキャプチャ)

また、燃料油支援のための基金への支出額は、事業開始以降、累計で約9.6兆円に上るとした。国内のガソリン価格については、フランスやドイツの半分以下で、産油国である米国をも下回る国際的に低い水準にあると指摘。年末調整における所得税負担の軽減や、2026年4月以降の飲食料品の消費税率引き下げなど、切れ目のない物価高対策を講じることも踏まえ、今後は「持続可能な制度」への移行を進める必要があるとした。

送料の値上げにつながるかも? ガソリン価格補助を12月から縮小、基準価格を毎月5円ずつ引き上げへ
高市首相は国内のガソリン価格について、フランスやドイツの半分以下で、産油国である米国をも下回る国際的に低い水準にあると指摘(画像は政府公表資料から編集部がキャプチャ)

現在の支援制度では、ガソリンの全国平均小売価格が170円程度を超える見込みとなった場合、その超過分を補助する仕組みを採っている。今回示した方針は、その基準価格を12月から春先にかけて毎月5円ずつ引き上げるというもの。基準価格が上がると、価格抑制に必要な補助の水準は縮小するため、原油価格などほかの条件が同じであれば、小売価格は上昇しやすくなる。なお、基準価格の引き上げ期間や補助の完全終了時期は決まっていない。

今回の支援策は、2022年1月に始まった「燃料油価格激変緩和対策事業」の枠組みのなかで、燃料価格の動向や国際情勢に応じて見直されてきた措置だ。2026年3月には、中東情勢を受けて「緊急的激変緩和措置」を実施。石油元売り・輸入事業者に対し、卸価格を引き下げる原資として補助金を支給し、ガソリンの全国平均小売価格を1リットル当たり170円程度に抑えるための支援を行ってきた。

ガソリン価格の上昇は、消費者の家計負担だけでなく、物流業界にも影響する。配送会社や倉庫会社、ラストワンマイルを担う事業者にとって、燃料費は事業コストの一部を占める。特にECでは、幹線輸送から宅配、返品回収まで物流工程が多岐にわたるため、燃料価格の上昇は物流コスト全体を押し上げる要因になり得る。

その結果、配送各社による法人向け運賃や付帯料金の見直し、荷主企業側での配送条件の再設計、送料無料施策の採算悪化などにつながる可能性もある。現時点で直ちに送料の値上げが決まったわけではないが、EC事業者にとっては、今後のガソリン価格の動向が配送費や顧客向け送料に波及するか、注視が必要だ。

政府は、国民生活や経済活動への影響に十分配慮しながら制度移行を進めるとしている。一方、燃料補助の見直しがガソリン価格の上昇につながれば、物流コストを通じてEC事業者の収益構造にも影響が及ぶ可能性がある。送料施策や配送費の見通しをどう立てるかが、年末商戦以降の実務テーマの1つになりそうだ。

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