通販新聞 2020/2/12 7:00

文具事務用品メーカーのキングジムは2019年6月に「EC事業部」を立ち上げて、ライフスタイル雑貨を中心に通販事業での新規販路を開拓して、売り上げ拡大を図っている。

元々、同社では2014年に買収した家具通販の「ぼん家具」をはじめ、フォトフレームなどの企画・販売を行う「ラドンナ」など、グループ傘下にEC実施企業を抱えていた。今回、グループ会社とのシナジー拡大を前提に、文具・事務用品以外での幅広い商材を開拓して、それぞれ専門店という形で仮想モールに出店。ECという新規販路での顧客獲得に乗り出している。

まず19年5月に「楽天市場」に出店したのがグループ内のアスカ商会の造花を軸に取り扱う「はなどき」で、平均客単価は3000円弱程度。「母の日」をボリュームゾーンに商品の作りこみを行っている。ギフト向けを意識したドライフラワーをボトルに入れた商品や仏花などが安定して売れている。

キングジム EC戦略 はなどき 通販戦略 おもいでの国 ToffySHOPONLINE
「楽天市場」に出店した「はなどき」(はなどきECサイトから編集部がキャプチャし追加)

同年11月にはペット用仏壇や仏具を販売する「おもいでの国」を同じく楽天市場に出店。ペット専用の仏壇や仏具、遺骨カプセルやフォトフレームなどの販売を行っており、商品の平均単価は8000円~1万円程度。

キングジム EC戦略 はなどき 通販戦略 おもいでの国 ToffySHOPONLINE
楽天市場に出店した「おもいでの国」

また、14年より先行して楽天市場に出店していたラドンナのキッチン雑貨を扱う「ToffySHOPONLINE」では、平均客単価は比較的低価格路線の5000円台で、機能を絞り込んだデザイン性で訴求するキッチン家電を販売。売れ筋のオーブントースターを筆頭に、コーヒーメーカー、ウォーターサーバーなど若年層の1~2人世帯向けを中心に売り上げを伸ばしている

キングジム EC戦略 はなどき 通販戦略 おもいでの国 ToffySHOPONLINE
2014年から楽天市場に出店している「ToffySHOPONLINE」(ToffySHOPONLINE ECサイトより編集部がキャプチャし追加)

それぞれの商材の選定に当たっては、出店先のモールの特性を考慮し、足りない商材、売れている商材などを見極めて決めている。特にペット用仏具については、近年、社会問題にもなっている“ペットロス”も踏まえて、需要が伸びていく分野になると判断した。

なお、販促活動としては「ツイッター」も活用。セール告知を行うほか、家電であれば機能のアピール、季節商品であればタイミングに応じた訴求などを実施。その上で、商品検索がされやすいユーザビリティを整えて備えているという。

他モールへの出店も視野に

同事業運営に当たっては、ぼん家具でのEC事業経験者を担当につけており、グループ間での人材交流は積極的に行っている。「今後は木製の組み立て家具に強味のあるぼん家具のリソースを生かし、(現状のメーカーからの)仕入れ販売ではなく、ペット用仏壇の企画から行っていく可能性もある」(同社)とする。

5年後にはEC事業部で10億円の売上高をつくることを目標に掲げる。販路については楽天市場がメインだが、売り上げ拡大に向けては他モールへの出店や、商品の横展開なども視野に入れている。「ECは出店してすぐに成果が出る市場ではない。横展開も重要だが、集中して販促を行ったり、商品やページの改廃を地道に繰り返していくことが大事。社内でその空気を共有しながら腰を据えてやっていきたい」(同)とした。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

→ 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
→ 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]