強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

EC人材は採用すべき? 育成すべき? 多くの企業が抱える「人材」という課題を解決するために必要な考え方

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関連するテーマを設定し、判断をするための考え方を解説します【連載28回目】

石田 麻琴[執筆]

8:00

「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。28回目の連載は「EC人材は採用か育成か」をテーマに解説します。

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強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。

つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。

「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。

どんな人材をEC担当者にしたら良いの?

ネッタヌネッタヌ

石田さん、こんにちは!

石田

ネッタヌ君こんにちは~。

ネッタヌネッタヌ

今回のテーマについて相談なんですが、実は前から気になっていたことがあるんです。

石田

お? なになに?

ネッタヌネッタヌ

この連載って「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」というタイトルが付いているじゃないですか。これまでマーケティングチームの内製化について、石田さんからいろいろな考え方を教えてもらってきましたよね。

石田

うん。そうだね。

ネッタヌネッタヌ

でも、そもそも「どんな人をEC担当者にするのか」「どういう人をマーケティングチームに入れるべきなのか」っていう話は、あまり触れてこなかった気がするんです。

石田

たしかに、そこはまだ詳しく話してなかったね。

ネッタヌネッタヌ

実際「ECのマーケティングチームを内製化したい」と思っていても、「どんな人材を担当者にすればいいのか」「誰を育てればいいのか」で悩んでいる会社さんって、すごく多いんじゃないかなと思うんですよ。

石田

うん、その悩みは本当に多いね。

ネッタヌネッタヌ

なので今回は、そのあたりについてぜひ教えてほしいです!

多くの企業で「人材」に課題を抱えている

石田

流石ネッタヌ君、いいところに気づいてくれた。

ネッタヌネッタヌ

やっぱり、多くの会社さんが悩んでいることなんですね。

石田

そうなんだよ。ECってこの四半世紀で大きくデジタル化が進んできたなかでも、その代表的な存在と言っていいと思うんだ。

ネッタヌネッタヌ

確かに、ECってデジタル化の象徴みたいなところがありますよね。

石田

データだったり、広告だったり、Web制作・開発だったり――。最近だとAIなんかもそうだけど、EC事業を成長させるためのソリューションって、どんどん増えてきた。

ネッタヌネッタヌ

じゃあ、ほとんどの課題が解決できる時代になったんですよね?

石田

実はそうでもない。いろいろなツールやサービスが増えても、まだ十分に解決していない課題、それがまさにネッタヌ君が話してくれた「人材」なんだよ。

ネッタヌネッタヌ

やっぱり人なんですね。

石田

そう。2024年にECの特集を組んだ雑誌があった。ECに取り組んでいる会社さんの意識調査をまとめた特集だったんだけれど、そのなかで「自社のEC事業における課題は何ですか」という質問があったんだ。

ネッタヌネッタヌ

どんな答えが多かったんですか?

石田

7~8割くらいの会社さんが「人材」を課題としてあげていたんだよ。

ネッタヌネッタヌ

そんなに多かったんですか。

石田

もちろん、インタビューを受けていた会社さんは比較的大きな企業が多かったという背景はある。それでも新規顧客とかデータ活用とかシステムの話よりも、人材をあげる会社が圧倒的に多かった。

ネッタヌネッタヌ

それだけ人材の問題って、まだ解決されていない課題なんですね。

EC全体を理解してマネジメントできる人材は限られている

石田

ECって、ほとんどの会社は本業となる既存事業があって、新しい販売チャネルの1つとして取り組んでいるじゃない。

ネッタヌネッタヌ

ECが会社の中心というよりは、事業を広げるための新しいチャネルですね。

石田

だからECを会社の事業の柱に育てていこうと思ったら、当然ECがわかるメンバーを増やしていかなきゃいけない。でも、そこが難しい。そもそも会社に入社している人って、ECをやるために入社した人ばかりじゃないからね。

ネッタヌネッタヌ

むしろ、その方が少ないですよね。

石田

ほとんどの人は違う。だから、その状況のなかでどうやってECの体制を作っていくかっていうのが、多くの会社の課題なんだ。

ネッタヌネッタヌ

そこで悩むわけですね。

石田

新しくEC経験者を採用するのか。今いるメンバーをEC担当として育成していくのか。実際によく相談されるのは採用の方なんだよね。「石田さんの周りで、ECができるいい人いませんか?」っていう相談。

ネッタヌネッタヌ

それだけ人材を探している会社は多い。でも現実はそんなに簡単じゃない。

石田

今の日本の人材市場を見ても、EC全体を理解してマネジメントできる人材って、本当に限られているのが現実なんだよ。なぜ今こんな状況になっているのか。その理由を、ネッタヌ君と一緒に整理していきたい。

ネッタヌネッタヌ

ぜひお願いします。僕もすごく気になります。

ECのマーケティングを展開するソリューションは整ったが、マネジメントする「人材」がいない
ECのマーケティングを展開するソリューションは整ったが、マネジメントする「人材」がいない

「EC事業全体を見られる人」は、次のキャリアとして支援側に行く人が多い

石田

まず、大きいのは需要と供給のバランス。普通に考えて、ECに取り組もうとしている会社って、ものすごく増えているわけじゃない。

ネッタヌネッタヌ

そうですね。物販の会社だけじゃなくなっていますよね。

石田

メーカーや小売業だけじゃなくて、BtoBの会社もネットで取引しようとしているし、デジタルデータを扱うような新しいビジネスもどんどん出てきている。本来であれば、ECサイトの数だけ担当者が必要になるはずなんだけれど、その人数がまったく足りていないんだ。

ネッタヌネッタヌ

需要だけがどんどん増えている状態なんですね。でも、「EC経験者」っていう人は結構いるイメージもあるんですけれど。

石田

そこもポイント。たとえば広告代理店でEC案件を担当したことがある人、デザイナーとしてECサイトを作ってきた人は結構いるんだ。

ネッタヌネッタヌ

採用でも「EC経験あり」っていう人は見かけますよね。

石田

そう。でもね、EC人材って、EC業務やマーケティングの一連の流れを理解していて、その結果を数字で判断できる人だよね。つまり「EC事業全体を見られる人」。

ネッタヌネッタヌ

そういう人は少なそうですね。

石田

さらに、そういったEC人材としての経験を積んだ人って、その後のキャリアが少し特長的になるんだよ。EC事業会社に転職するよりも、大手のコンサル会社や広告代理店など、ソリューションを提供する側へいってしまう人がすごく多いんだ。

ネッタヌネッタヌ

EC担当者としてキャリアアップするというより、支援する側に回る人が多いんですね。そうなると、EC事業全体を任せられる人材はどんどん市場からいなくなりそうですね。

石田

この現実を考えると、多くの会社にとっては採用よりも育成を前提に考えるしかないんじゃないかなと思うんだ。

EC担当者として活躍しても、次のキャリアもEC担当者になる人は少ない
EC担当者として活躍しても、次のキャリアもEC担当者になる人は少ない

商品や会社の歴史・こだわりを知っている人をEC担当者として育成する

石田

EC市場の潮流を考えても、流れは確実に育成の方にある。

既存事業のある会社がECを強化していくのであれば、商品知識や会社の歴史、会社のこだわりを知っているEC担当者の方が、事業として成功する可能性が高いと思うんだ。

ネッタヌネッタヌ

その「会社らしさ」って、外から入ってきた人にはすぐにはわからないですもんね。

石田

今のEC市場って、単純に商品を並べれば売れる時代じゃないからね。会社や商品の背景を理解している人がECを学ぶ方がよっぽど強い。

ネッタヌネッタヌ

なるほど。ECを知っている人が会社を理解するより、会社を知っている人がECを学ぶ方が、今の時代には合っているんですね。ただ、ECのマーケティングって覚えることがすごく多そうなイメージがあります。

石田

確かに、具体的な施策だけを見れば本当にたくさんあるよ。広告もあるしSNSもあるしメールマガジンもあるし、データ活用もある。ケースをあげ始めたら、本当にきりがない。でもね、それを抽象化していくと、考え方はあるんだよね。

ネッタヌネッタヌ

まさにこの講座で毎回伝えてくれていることですよね!

石田

そう。この「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」は、まさにそのECのマーケティングに取り組む考え方を身につけてもらうために始めた連載なんだ。

ネッタヌネッタヌ

1つひとつのテーマが独立しているようで、実は考え方という点ですべてつながっているわけですね。

石田

そういうこと。だから、ぜひこの連載を読みながら、実際の業務でも少しずつ実践して、自社ならではのECマーケティングの考え方をブラッシュアップしていってもらえたらうれしいよね。

毎日のネットショップの運営って、本当に判断の連続だから、その判断の基準になる考え方を持っているかどうかで、積み重ねる経験も変わってくるんだよ。

ネッタヌネッタヌ

だから考え方を学ぶことが、人材育成、ひいては内製化のスタートなんですね。

石田

そして、この連載の冒頭にも毎回書いている「ECに関係する専門的な領域は、もう一担当者の努力だけでどうにかなる時代ではない」んだよ。

ネッタヌネッタヌ

確かに、制作もあれば広告もあって、システムもあって、AIもあって……。すべてを1人で極めるのは難しいですよね。

石田

その通り。ECのマーケティング担当者に本当に求められるのは、すべてを自分でやることじゃない。「判断力」を持つことなんだよね。マーケティングの内製化は「業務の内製化」じゃなくて、「判断の内製化」だからさ。

ネッタヌネッタヌ

専門家をめざすというより、判断できる担当者を育てることが、この連載のテーマですね。

石田

この講座では、ECのマーケティングの考え方を、もっと深く掘り下げて伝えていきたいと思っているよ。

ネッタヌネッタヌ

今回もありがとうございました。また次回もよろしくお願いします!

ECマーケティング人財育成は「マーケティングチームの内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

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