100年以上続く長寿企業の持続的成長の秘訣は「守り続けること」ではなく「時代にあわせて変化し続けること」
長寿企業の成長を支えるのは、伝統を守ること以上に、時代や社会の変化に応じて事業を見直し続ける力――。大日本印刷(DNP)の調査によると、創業100年以上の企業ほど顧客起点の価値創出や、挑戦を後押しする組織文化を重視している。
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大日本印刷(DNP)が創業100年以上かつ売上高100億円以上の企業314社を対象に実施した「長寿企業に関する経営意識調査」によると、100年以上続く企業の持続的成長の鍵は、伝統をそのまま守ることではなく、時代や社会の変化に合わせて事業を見直し続けることにあることが浮き彫りになった。
「100年以上事業を継続できた理由」を聞いたところ、最も多かった回答は「時代や環境変化に合わせた事業内容・構成の見直し」(46.6%)だった。「ブランド力・企業としての信頼性」(37.9%)や「安定した顧客基盤」(34.7%)を上回り、変化への対応力が長寿の最大要因としてあがった。

一方、長寿企業は単に変わり続けているわけではない。企業の強みの変化について、「創業時の強みを基盤に、現在は内容や形を変えながら発展している」が61.9%、「創業時から現在まで、強みはほぼ変わっていない」が17.9%だった。合わせて約8割が、創業時の強みを現在も経営の基盤として活用していたことになる。DNPは、長寿企業とは「強みを変えない企業」ではなく、変わらない強みを軸に、その生かし方を進化させている企業だと分析している。

理念やビジョンを日常的に浸透
組織面では、理念やビジョンの浸透も特徴として表れた。「理念やビジョンが、経営層の発信や日常のマネジメントを通じて、社員に具体的に伝えられているか」という設問では、「そう思う」が53.3%、「とてもそう思う」が18.5%となり、7割超が経営層による日常的なビジョン発信を実感していた。

また、自社の強みとして最も多くあがったのは「強固な顧客基盤・顧客との信頼関係」(66.5%)だった。

さらに、「イノベーションを生み出し続けられた原動力」として最も多かったのは「顧客ニーズ・顧客課題」(42.5%)。DNPは、長寿企業にとって顧客は単なる販売先ではなく、新たな価値創出の起点となる共創のパートナーだとしている。
「理念・挑戦型」「行動・成果型」は業績伸長企業が多い
調査では、回答企業を「理念浸透」「ガバナンス」「価値創出」「挑戦・学習」「非属人」の5つの観点から分析し、6つのタイプに分類した。

このうち「理念・挑戦型」と「行動・成果型」では、直近5年間で業績が伸長傾向にある企業が特に多く、約70%が伸長傾向にあると回答した。
これらの企業では、新しい取り組みや従来とは異なるやり方への挑戦を前向きに評価する傾向が強く見られたという。
調査結果への有識者からのコメント
今回の調査は、学術的にも意義深い。たとえば「理念・挑戦型企業」と「行動・成果型企業」の6割以上が「小さな試行が日常的に行われている」と回答し、8割以上が「失敗経験を次の改善や判断に活かそうとしている」と回答している。これらは「起業家精神は新興企業の特長である」という既存概念を打ち破るもの。さらに、市場・競争変化の危機に直面した際、42.9〜66.7%の企業が「新事業領域への進出・多角化が危機を乗り越える上で重要であった」と回答している。これもまた「日本企業は総じて保守的だ」という見方に一石を投じるものだ。(ハーバードビジネススクール教授 ジェフリー・ジョーンズ氏)
今回の調査は、企業が長く存続し、成長を続けるために何が必要かを示す、示唆に富んだ内容となっている。特に注目されるのは、「レジリエンス(回復力)」が存続と成長の重要な鍵として浮かび上がった点だ。加えて、成長企業には、失敗を前向きに捉え、次の挑戦や改善につなげる企業文化が根付いていることも明らかになった。AIの進展などによって事業環境の変化が一段と速まるなか、変化への適応力と挑戦を促す組織づくりの重要性を示す内容として、多くの経営者にとって参考になりそうだ。(作家・コンサルタント 佐藤智恵氏)
調査概要
- 調査名:長寿企業に関する経営意識調査
- 実施期間:2026年1月28日〜2026年2月22日
- 調査手法:郵送調査およびWeb調査
- 有効回答:314社(創業100年以上で、売上高100億円以上の企業)

