リアルの価値は「ブランドを体験してもらう・伝える」「ファン同士の交流が生まれる」こと
EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関連するテーマを設定し、判断をするための考え方を解説します【連載27回目】
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「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。
EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。27回目の連載は「リアルの価値」をテーマに解説します。
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- 連載第1回~21回はこちら
- ユーザーの購買行動やレビューから「自分たちでは気付けなかった改善のタネ」を拾おう
- SNSに表示されやすくするにはどうしたら良い? ビジネスモデル+「好まれるアカウント」の特長を押さえよう!
- メルマガを配信する価値は、顧客と「ゆるいつながり」を作る+能動的にアプローチできること
- AIの登場で「思考」がより重要に。不安を感じすぎず「仕事任せる」思考に慣れていこう
- AI活用でメルマガ作成などを効率化できる。でも最後は人が必ず確認して“自分たちのお店らしさ”を出す+出したモノには責任を持つようにしよう
ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。
つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。
「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。
今回は「リアルの価値」についてのお話
石田さんこんにちは!
ネッタヌ君こんにちは! 今回はリアルの話をしてみようか。
リアルですか? ついにデジタルの世界から飛び出しましたね。
そうだよね(笑)。ただね、デジタル中心の世の中になってきたからこそ、リアルの価値が見直されているよね。
確かに、リアルイベントとか体験型の企画が増えている気がします。
じゃあ、マーケティングチームが理解しておきたい「リアルの価値」について話していこう。
ECを持続的に成長させていくには、リアルの活用が欠かせない
まずこの「リアル」っていう言葉。僕は普通に使っちゃったけれど、言葉の意味はなんとなくわかるかな。
なんとなくわかります。
「ネットに対してのリアル」って考えるとわかりやすいんじゃないかなと思うんだ。
インターネットの世界じゃなくて、実際の世界ってことですね。
僕らが今こうやって生きている実世界そのものだよね。マーケティングのテーマとして考えると、たとえば実店舗、催事やイベント、展示会などだね。
オンラインじゃない接点ですね。DMやパンフレットなんかもリアルですよね。
そう。でさ、ECってネッタヌ君はどんなイメージを持っている?
やっぱりネットで集客して、ネットで買ってもらって、どこかネットで完結するイメージがあります。
多くの人がそういうイメージを持っていると思うんだ。ただ、これから持続的に事業を成長させていく上で、リアルの活用は切っても切り離せない。
ECなのにリアルが重要なんですね。
このリアルの活用には大きく分けると2つの価値がある。
1つ目の価値はブランドを「体験してもらう」「伝える」こと
まず1つ目の価値。それは「ブランドの体験」だ。
「ブランド体験」ですか。
商品やサービスそのものをリアルの場で体験するっていうのもそうだし、その商品やサービスを提供しているスタッフさんとのコミュニケーションも、立派なブランド体験だと思うんだよね。
単純に商品を見るだけじゃないってことですね。
そういうこと。ECサイトやSNS、オンラインだけではどうしても伝わりきらない情報ってあるじゃない。ブランドとしての思いだったり、商品が生まれた背景のストーリーだったり。あとは人と人が直接会うからこそ伝わる熱意とか熱量みたいなものだよね。
スマホやパソコンの画面越しだとなかなか伝わりにくいですよね。
だからリアルの価値って、単に商品のサイズ感を確認するとか、実際に着用してみるとか、そういう機能的な部分だけじゃない。
確かにイベントとかお店に行ったときって、その場の雰囲気とかスタッフさんとの会話も印象に残りますね。
まさにそこ。だから、すでにリアルの接点を持っている会社さんも、「体験してもらうため」「伝えるため」っていうところに、もっと重点を置いてみるといいんじゃないかな。
自分たちが想像していなかった価値などに、お客さまが反応してくれていることを発見できる
お客さまって意外なところを見ているし、意外なところにブランドの価値を感じたり、コンテンツに感動したりするんだよね。
意外なところ、ですか。
ちょっと最近僕が体験した話をしてもいい?
馬主をしている友人に、競馬場の関係者席に呼んでもらったんだ。それでパドックってあるじゃない。レース前の馬を見られる場所。
馬がぐるぐる歩いているところですよね。
そのパドックの隣にジョッキーの控え室があるんだよ。関係者パスを持っていると、そのあたりまで見に行けるんだけれど、控え室って外から見るとガラス張りになっているんだ。
へえ、そうなんですね。
それでふと見たら、とある有名なトップジョッキーが座って競馬新聞を読んでいたんだよ。
競馬新聞をですか?
そう。よく考えると当たり前なんだけれど、ジョッキーだってその日に走る相手の馬をすべて知っているわけではないから、競馬新聞を読んで情報を集めているんだと思うんだよね。
言われてみれば確かにそうですね。
でもさ、僕はその姿にめちゃくちゃ感動したんだよ。
それは意外ですね。レースとか馬そのものじゃなくて。
実際のレースとか馬とかジョッキーの騎乗っていうのは、もちろん競馬のメインコンテンツでしょう。
はい。競馬ですからね。
でも僕が感動したのは、「トップジョッキーが僕らと同じように競馬新聞を読んでいた」っていう、その何気ない姿だったんだ。こういう場面って、リアルの場じゃないと絶対に見られないじゃない。
確かに。テレビ中継でも映らないでしょうし。
そしてジョッキー本人も、自分が競馬新聞を読んでいる姿にお客さんが感動しているなんて思わないと思うんだよね。
たぶん想像もしないでしょうね。
でも、お客さまってそういうものなんだよ。意外なところを見ているし、意外なところでブランドの価値やコンテンツの魅力を感じてくれる。
作っている側が思っている魅力と、お客さまが感じる魅力って必ずしも一致しないんですね。
リアルの場って、自分たちが想像していなかった価値や魅力にお客さまが反応してくれていることを発見できる場所でもあるんだよね。
2つ目の価値は「ファン同士の交流」
そしてもう1つ、リアルの価値として大きいのが「ファン同士の交流」なんだ。
ファンという言葉でもいいし、フォロワーでもいいし、ユーザーでもいいし、単純にお客さまでもいいと思うんだけれど、そういった皆さんが交流する場としての価値だね。
「ファン同士の交流の場」ですか。
リアルの場でファン同士がコミュニケーションを取ることで、お互いのブランドに対する熱量を共有することができるんだよ。
同じものが好きな人同士で話すと盛り上がりますもんね。「そんな楽しみ方もあったんだ」とか、「そんな使い方しているんだ」みたいな発見もありますし。
そして、リアルで会って仲良くなった関係って、今の時代その場だけで終わらないんだよね。
連絡先を交換しますよね。
多くの場合はSNSのフォローからだと思うんだけれど、リアルで出会った人たちが、そのあとネット上でも交流を続けるようになる。
リアルの場では1対1だったり、少人数での交流になったりするんだけれど、SNSになるとそのやり取りを周りのフォロワーも見ることになるじゃない。
なるほど。そこで広がるんですね。
すると交流そのものが波及していくんだよね。熱量がネット上で広がっていく。
リアルで生まれた熱量が、今度はネットで増幅されるわけですね。
そしてネット上で交流が活発になって、また次のリアルの場で会う。そうすると、さらに関係が深まっていく。
リアルとネットが循環している感じですね。
まさに循環なんだよね。こうやってファン同士がブランドを盛り上げるようになる。ファン同士がブランドの価値を高めてくれるようになるんだ。
これはネットだけではなかなか実現しないんだよね。ネットの交流ももちろん大切なんだけれど、その土台にはリアルの場が必要。
それってブランドにとって、すごく理想的な状態ですよね。
これからの時代、リアルの経験は強みになる
リアルの場の提供って、ネットからスタートした会社にとっては結構大変なんだよね。ネット専業の会社って、そもそもネットでマーケティングをする前提で事業や組織が作られていることが多い。
確かにそうかもしれません。
そしてネット専業の会社って、そもそも人と対面でコミュニケーションすることを前提にしていないことがある。
なるほど。人と対面しなくてもマーケティングができるからネットをやっている、という側面もありそうです。
だからネットからスタートした会社って、意外とリアルの場作りが得意じゃないケースもあるんだよ。
じゃあ逆に、このコラムのメイン読者である、既存事業があって、新しい販売チャネルとしてECを伸ばしていこうとしている会社さんはどうだろう。
そういう会社さんって、元々リアルの経験を持っている! 店舗だったり、対面営業だったり、展示会だったり。
そう。だから今日話してきた「リアルの価値」っていうのは、実はこういう会社さんにとってはものすごく相性がいい話なんだよ。
なるほど。新しく学ばなきゃいけないというより、元々持っている強みでもあるんですね。
まさにそう。今はAIとかデジタルとかDXとか、そういう話題がすごく多いじゃない。もちろんそれらも重要なんだけれど、市場のチャンスって実はリアルの経験値を持っている会社側にもあるんだよね。
なんだか勇気が出る話ですね。ネット専業の会社には真似しにくい経験や資産を持っているわけだから。
だから既存事業を持っている会社さんは、自分たちのリアルの経験値をもっと評価していいし、自信を持っていいと思う。
今日の話を聞いて、リアルって昔ながらの方法じゃなくて、これからの時代の強みなんだなって感じました。
そこを感じてもらえたらうれしいね。
ECマーケティング人財育成は「マーケティングチームの内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
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