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コロナ禍において、物販を営む多くの企業が、ECに本腰を入れようと考え始めたのではないでしょうか。しかし、多くの企業は「ECサイトを開設し、EC事業を“なんとなく”始めた」という状態でしょう。これからECを「事業の柱」の1つにするために、どこから手を付けばいいのか迷っている――。そんな企業に向け、ECビジネスへ本格的に取り組もうと決めたら押さえておくべき6つのポイントを紹介します。

※このコラムの対象は、母体となる既存の事業があり、新しい販売チャネルとしてECに本格的に取り組む「実店舗」「メーカー」「卸・問屋」の中小事業者を想定しています。「EC専業」「大企業」ではないことをご理解ください。

経営層の「ECの経験値」を埋めるには

ECサイトは、コロナ禍によって物販を営むあらゆる企業に欠かせないものになりました。これからの事業成長・事業展開を考えたとき、EC事業に取り組めていないことが「1つのリスク」になり得る、そんな時代です。

仮にコロナ禍が落ちついたとしても、同じような問題がまた起こる可能性もあります。これからは、「リアルとネット」にキャッシュポイントを持っていることが、事業戦略上、マストになっていくことでしょう。

今回のコロナ禍をきっかけに、これからECに本腰を入れようと考えたり、もしくは、EC以外の事業が縮小した(している)反面、EC事業が一気に伸びた企業も多いかもしれません。

こういった企業は、「さらにEC事業を伸ばしていきたいが、特定の担当者にノウハウが偏っている状態であり、事業としての組織化が急務になっている」という課題に直面しているようです。EC事業が急拡大しているが故の「属人化」の悩みです。

「実店舗」「メーカー」「卸・問屋」の中小事業者はどこからスタートすれば良い?

こうした課題の根本にあるのは、経営層に「EC(もっといえばインターネット)の概念における経験値」が乏しいことがあげられます。

立場や世代などの理由により、ECマーケティングによる事業の成長を経験していないことが、「EC事業作り」の遅れに影響してしまう原因になっています。

前述した通り、あらゆる企業にとってECの利活用は、「待ったなし」の状況です。このコラムでは企業における持続的なEC事業の成長のため、「EC事業の組織づくりのポイント」を解説をします。これからご紹介する6ポイントは、ECをこれから”本格的に”取り組む企業に向けた「基礎固め」の重要点です。

【ポイント1】前提は「組織に事業を合わせる」

EC事業へ本格的に取り組むとき、まず検討しなくてはいけないのが「EC戦略」。自社の商材ジャンルのECでの市場規模や競合性、対象顧客(ターゲット)の絞り込み、オリジナル商品投下によるポテンシャルなどと自社のリソースを加味した上で、「そもそも可能性がありそうか、なさそうか」を把握し、事業計画を立てることです。通常はこの流れで進めます。

しかし、多くの中小企業がECに取り組む場合、そもそも社内にECの市場環境や競合性を適切にチェックするノウハウがないという課題があります。とはいえ、「いずれにせよEC参入は避けられない」ことは明白なわけですから、「事業に組織を合わせる」のではなく、ある程度「組織に事業を合わせる」前提でEC事業を進めていく必要があります。

【ポイント2】経営者は覚悟を決めるべし!

そう考えるとまず大切なのは、「EC事業に“本気で”取り組む」ことを、経営陣自身が「決める」ことです。

経営陣の皆さんのなかでも、「ECに“本気で”取り組んだ方が良い」という意識はあるかもしれません。その意識を今こそ声に出し、スタッフの皆さんへ、「EC事業に“本気で”取り組んでいくため、全社的に協力をして欲しい」と宣言してしまいましょう。

これまでも、EC事業に取り組む機会はいくらでもあったわけです。ただ既存事業と比べて優先順位が低かったのですから、優先順位を既存の事業と「同程度のレベルに上げる」と宣言してみてください。EC事業を成長させるための「基礎固め」として最初に行うこと。それは、経営陣自身が「覚悟を決める」ことです。

【ポイント3】3つの検討事項:「売上目標」「EC担当者」「社内評価」

その上で、検討したいことが3つあります。1つは「目標」、2つ目は「担当者」、そして「評価」です。

1. 目標

EC事業に“本気で”取り組むことを、スタッフの皆さんに宣言する。社内での予算計画にはっきりとEC事業の欄を作るためにも、「売上目標」を考えることが重要です。

EC事業に本格的に取り組むということは、自社の予算計画の中に「EC事業売上を入れる」ということでもあります。3年後、5年後に自社のEC事業がどのような状態になっていると「面白い」か。それを想定して「売上目標」を設定してください。

この時点ではEC事業を本格的にスタートさせていないわけですから、あくまで軸は「面白いか」「楽しいか」「夢があるか」で構いません。ここは経営陣(と担当者)の決めの問題です。実際にEC事業を運営し、現実を見ながら修正を加えていけばいいのです。

2. 担当者

社内のスタッフをEC担当者に据えるか、それともインターネットに長けたスタッフを新たに採用するか。議論が分かれるところですが、おススメしたいのは前者です。商品知識や社内の信頼がすでにあるスタッフにEC事業担当を依頼し、ECマーケティングの経験を積んでもらう方が確実に成長します

担当者はEC事業の専任が理想ですが、現実はなかなか難しいでしょう。他業務との兼任でも、「売上目標」はきちんと立てておくことが大切です。また担当者には、ネットショッピングやSNSを普段から「ユーザー側」として利用している方が向いています仕事としてしかインターネットやSNSを使わない方は、NGです

3. 評価

既存事業を持ちながら、ECに販路を拡大しようとする企業の多くがつまずくのが、「評価」です。EC事業はインターネット上のECサイトに工夫を施すだけではなく、商品企画や物流などのECサイトで見えない部分も売り上げに関わります。会社全体に関わる「全体戦略」と考えましょう。

そのため、EC事業を成長させるためには、ECの直接的な担当者だけではなく、会社全体の協力が必要になります。つまり「EC事業が伸びれば、全スタッフがハッピーになる」状態にしなければいけないのです。そのために検討したいのが「評価」なのです。

たとえば、実店舗担当者の評価が「実店舗の売上」であれば、EC事業の成長は必ずしも面白くないでしょう。EC事業の売り上げの一部を実店舗の売り上げに付けるなどの、「評価の整理」が必要になります。

【ポイント4】EC戦略を策定する

「目標」「担当者」「評価」を検討したら、ECの戦略を策定します。先にも書いたとおり、本来であれば「事業に組織を合わせる」ことがセオリーではありますが、中小事業者のECの場合、ある程度限られた条件のなかでEC事業を展開していかなければいけません。

「確実に勝てる」EC戦略などを考えていては、事業自体が進まなくなってしまいます。「組織に事業を合わせる」の発想で、走りながらEC戦略を考えていきましょう

走り出しでまず考えておきたいのが、EC事業のポジショニングです。ECの市場における“釣り場”ともいうべき立ち位置です。そもそも寡占化してしまっている釣り場に釣り針を落としても、魚を釣ることはできません。そこでEC戦略のポジショニングとして考えたいのが、自社のネットショップの商材カテゴリと商品です。

【ポイント5】商材カテゴリと商品から戦略を検討する

まず、商材カテゴリについて。そもそも「市場がない」商材カテゴリでECを行う企業は少ないでしょう。この記事の前提が、「母体となる既存の事業があり新しい販売チャネルとしてECに本格的に取り組む中小事業者」としていますので、既存事業の商材カテゴリ自体にはすでに市場があるはずです。

問題は商品です。私がコンサルタントとしてEC事業の戦略を考えるときも、まずは商品を見ます。自社オリジナルの商品なのか、それとも仕入れの商品なのか。オリジナル商品の場合は、類似の商品があるか、どれくらい売れているか、すでに市場はあるのか。仕入れの商品であれば市場環境はどのような状況なのか、仕入れをする取引先との関係に優位性があるか。ショッピングモールの検索結果やランキングを活用しながら、このあたりを確認していきます。

基本的には、いかに「市場で勝てる(可能性のある)商品をオリジナルでつくる」か。そして「その商品をどのような方に提案するか」。ここが戦略の軸になります。

オリジナル商品を展開するのが難しい場合は、仕入れ商品の付加価値作りです。サービスの強化で市場や競合ネットショップから需要を取り込めないかを考えます。店舗としてのコンセプトづくりも戦略に関わってきますが、サービスやコンセプトはオリジナル商品に比べて比較的キャッチアップされやすいのが難点です。やはり勝ちの決定打は、商品です。

【ポイント6】ECの業務を創る

売上目標は設定した、ECの事業の担当者を決め目標も合意した、社内評価を改め全スタッフでEC事業に向かう環境を整えた、市場と競合ネットショップを分析した上で商品と売り方についておおまかなEC戦略を検討した――。EC事業のスタートラインに立ったものの、日々ECサイトにどのような改善施策を行っていけばいいかがわからず、EC運営がおざなりになってしまっている企業も多いかもしれません。

お客さまから注文を受けた後の、受注(注文)処理、物流(発送)、カスタマーサポートの仕事はEC事業者であればどの会社も行っていること。運営がつまづく原因は、お客さまを増やして売り上げを伸ばしていくためのマーケティングが多いです。マーケティングの仕事を運営業務としていかにして回していくかが、EC事業の成長に関係していきます。

原則と作法をお伝えすると、ECマーケティングの仕事は、「お客さまにネットショッピングを楽しんでもらう仕事」と「お客さまにネットショップの存在を知ってもらう仕事」の2つにわけられます。まずこの2つについて自社のEC事業では何ができそうか、他社のネットショップ運営を参考に考えてみてください。前者については新商品の提案や販促企画・イベントの開催、後者については検索対策やSNS活用、広告宣伝などの打ち手が考えられるはずです。

自社のEC運営業務を創るための重要なポイントに触れます。日々行っているマーケティング活動を、データで振り返る「データ活用の時間」を作ること、そして「次のマーケティング活動の仕事をスケジューリングする時間」を作ることです。

SNSの投稿のように日々ルーチンで行っていく仕事と、販促企画のように準備が必要な仕事をスケジュールに落とし、優先順位を上げてEC業務を行っていくことで、EC事業の運営業務が回り始めていきます。

◇   ◇   ◇

編集部よりお知らせ

コラムで紹介した6つのポイントをより具体的にお伝えする、ネットショップ担当者フォーラム主催無料ウェビナーを7月9日(金)午後4時から開催予定です。興味ある方は以下よりお申し込みください。

上記の画像をクリックするとウェビナー申込みページに遷移します。
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石田 麻琴

株式会社ECマーケティング人財育成

石田 麻琴(いしだ・まこと)

株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役

早稲田大学卒業後、ネット通販企業に6年間従事。ECの責任者として、ヤフーショッピング月間ベストストア8回受賞。全国第1位を獲得。ネット通販を中心としたWebビジネス支援の株式会社ECマーケティング人財育成を設立。EC・Web企業を支援。
BPIA/Webビジネス研究会ナビゲータ、協同組合ワイズ総研理事。

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