石田 麻琴 2021/2/1 10:00

ECサイトのデータを次のアクションにつなげていくために必要なのは、「データが示す変化を継続的に見る」こと。そして、データは仕事の「結果」であると理解し、結果をもたらした「原因」を探すことです。また原因を特定するために「内的要因」と「外的要因」の整理を行い、「行動ログ」を残しておくことがポイントになります詳細はこちらを参照。今回は、データ活用が事業と人の成長につながるまでの流れを解説していきます。

「今まで」と「今」の整理から着手

私が代表を務めるECMJが企業に顧問として入る場合には、まず顧問先のECチームに「データ活用」の概念を知ってもらい、日々のEC運営の「軸」にしてもらうことからスタートします。

取り組んでいなかったインターネット広告に着手する、商品ページの作り込みを行う、自社ブランドのSNSアカウントを立ち上げるなど、どうしても「新しい取り組み」にチャンスがあるように感じてしまいがちですが、実はそうではありません

大切なのは「今のお客さまはなぜ自社のECサイトを利用し続けてくれているのか」「今のお客さまは何をきっかけに自社のECサイトにアクセスしてくれているのか」「今のお客さまはなぜ競合サイトではなく自社のECサイトを選択してくれたのか」。これらを知ることです。

そして、これらが「自社のネットショップがEC市場で『勝てる』理由」の源流になります。ですから、マーケティングは「今まで」と「今」の整理からスタートすることが必要なのです。宝やヒントはいつでも自社の中に眠っています。安易に「新しい取り組み」に手を出さないことが大切です。

まず「売り上げ」と「アクセス数」を見る

ECの担当者などにはまず、ECチームの皆さんに「上流の大きなデータ項目」から、データの変化を見てもらいますこちらを参照。具体的にはECサイトの「売り上げ」「アクセス数」「受注件数」「転換率」「客単価」。この程度のデータからで十分です。特に重視してもらうのは、「売り上げ」と「アクセス数」です。

データに慣れていなければ、この2項目からのスタートで構いません。日々、データ項目を見てデータの変化を探すことを徹底してください。この「徹底」がポイントです。さまざまなデータを見るよりも同じデータを見続けることの方が、確実に効果があります。

そして「データの変化」についてECチームの皆さんで議論をし、仮説を立てていきます。「なぜ昨日の売り上げはいつもより高かったのか」。このテーマが議題に上がれば、「では注文内容の内訳を見てみよう」「アクセス数が通常通りだったということは、リピーターが多かったのかな」「リピーターの皆さんは何を買ったのだろう」などデータに対する次の意見や興味が湧いてくるはずです。

最初はデータの見方にいまいち自信が持てないECチームの皆さんも、コンサルタントが「なぜ昨日の売り上げはいつもより高かったと思いますか?」と疑問を投げかけると、堰を切ったように意見を出してくれます。まずは正解でなくても的外れでも問題ありません。意見を引き出すところから始めましょう。

なぜ売り上げが増えたのか? 「内的要因」と「外的要因」を整理する

そして「内的要因」と「外的要因」の整理です。まず「行動ログ」こちらを参照を残していきます。「行動ログ」をメモしておくことで、データが変化したときの「内的要因」が分かりやすくなります。ECチームが自ら行ったアクションが「結果」につながっているのであれば、その「内的要因」を繰り返す、もしくはブラッシュアップすれば良いのです。

たとえば、「売り上げが伸びた」→「リピーターが多かった」→「新作の商品が売れている」という「原因」が見えたならば、「もっとたくさんの既存顧客に新作の商品を知ってもらうためのアクションは?」や、「新作の商品のデザインが売れるのであれば、同デザインの横展開商品を企画すればヒット率が高いのでは?」など、次のアクションにつながっていきます。

「外的要因」は、市場環境の変化や競合ECサイトの行動によって起きたことであり、それ自体は自分たちでコントロールできることではありません。しかし、市場環境の変化や競合ネットショップの行動に対して「対応・対策」することはできます。データから「何か外的要因がありそうだ」と気づき、「対応・対策」を行う。この「対応・対策」を即実践に移せるか。もしくは1か月後になるのか。スピード感で成果が変わってきます

「売り上げが伸びた」→「特定の商品にアクセスが集中している」→「昨晩テレビで紹介されたらしい」まで突き止められれば、「仕入れ先に連絡を入れて在庫を確保してもらおう」や「検索対策としてテレビ番組名を説明文に入れよう」など、次のアクションにつながっていきます。

◇    ◇   ◇

ECの「データ活用」は、単に「データだけを見ること」ではなく、「データの裏側にある原因を探すこと」。そして、「その原因から次の結果につなげるためのアクションを考えること」を合わせたものなのです。

「30代女性の購入数上位40%はこの商材」というようなデータと比較すると、シンプルでわかりやすい上に取り組みやすく、さらに日々のEC運営業務にもつながりそうな気がしませんか?

正しい「データ活用」をECチームが身につけて実践すると、EC事業が成長するだけではなく、ECチームのメンバー皆さんの「人材育成」につながります。

「データ活用」は、結果につながっている原因を整理し、次のアクションにつなげるための発想や仮説、検証をしてくれる「コンパス」になってくれるのです。データを活用することでECチームの皆さんが「自分の仕事を自分自身で評価し、次のヒントを探す」、これを“自然に”行えるようになる。これこそが「事業と人がともに育つ」の本質なのです。

編集部からお知らせ

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