売上UPにつながる要素を探すためには、日々の行動とデータをつなげることが大切!

「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。
EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝える15回目の連載は「データ活用」をテーマに解説します。
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- 連載第1回~9回はこちら
- ネット広告で獲得したいのは新規顧客ではない! “リピート顧客になり得る見込み客”だ! 「逆算のマーケティング」で効率的・効果的な広告戦略を実現しよう
- ECは「比較のビジネス」である。競合との「比較管理」で選ばれる理由、勝てるポイントを見つけよう
- 売れる理由を一番知っているのはお客さま、CVR評価時の注意点、情報管理の徹底――「EC事業の内製化」をめざすために必要なことを振り返り!
- EC事業に「本気で取り組む価値」とは? ECを「新しいニーズの探索」と捉えると会社を進化させることができる
- ECに取り組むことで会社のDXを促進できる! いつもアンテナを張って会社の動きを変える「新しいニーズ」に気づけるようにしよう
ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。
つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。
「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。
「データ活用」は数字的な話ではない?!

石田さん、こんにちは!

ネッタヌ君、こんにちは!

石田さん、今日のお話はなに? この1か月間、楽しみにしていたんだからぁ。

そうかーありがとう。じゃあ、そろそろ「EC事業を内製化する」ための本丸の話に切れ込んでいこうか。

本丸の話?

うん。本当は最初にこの話をすべきだったんだけれど、あまりに本丸すぎて、読者の皆さんのこのコラム自体への興味がイマイチになってしまうかと思って、やめた。

最初は「売上の公式の真実」みたいな、わかりやすい話でしたからね。

連載を始めてかれこれ1年以上、そして15回目の連載にして、やっとこの話ができる。

それで、今回のテーマは?

「データ活用」なんだ。

データ活用?? あー、それネッタヌが苦手なやつだ……。

そうなの? データというとデータサイエンス的・数学的なイメージを持っているんじゃないかな?

うん。だって、学生時代も数学は苦手だったもん。

(タヌキの学校があるのか!?)
これから紹介する「データ活用」は、データサイエンスや数学のような難しい話じゃない。そして、ECのマーケティング業務を行うマーケターだけに必要なものでもない。テクニックというよりも、「リテラシー=能力」の話なんだ。

リテラシー? じゃあ、ネッタヌにも必要?

必要だと思う。ネッタヌ君にも僕にも、このコラムを読んでくれている読者の皆さんにもね。

「データ活用」の真実を知りたい!!

じゃあ、まずは僕がまだネットショップの運営者をしていたころの話から始めようか。

どきどき……わくわく……。
商品・コンテンツ・施策も同じなのに、自分が担当したショップで売り上げが伸びない理由とは?

ECを事業としているベンチャー企業に入社した僕は、1年間のバックオフィス業務を経て、社長に直訴し、ネットショップを1つ任せてもらえることになった。

石田さんがネットショップの店長だったときに経験した話なんですね。

そのショップの商材は「ジュエリー」だった。元々「楽天市場」の出店からスタートしたブランドで、ちょうど多店舗展開を進めていた。過去にECサイトを構築したまま、ほぼ放置状態にあった「Yahoo!ショッピング店(以下、Yahoo!店)」を任せてもらえることになったんだ。

「楽天市場」でそれなりに売れているショップだったら、動きも早かったんじゃない?

うん。「楽天市場」でブランドの名前が知られていたので、「Yahoo!」店にも多少の集客はあった。ただ、売り上げはいまいち伸びていかなかった。「楽天市場」のショップと同じような施策をやっているのにね。

商品も一緒、コンテンツも一緒のはずですよね。なんで売り上げが伸びなかったんでしょう。

当時、毎週火曜日の朝にショップの店長会議があった。ブランドやショップの売り上げを管理している担当者が、社長も交えて売り上げや課題を共有する会議だね。
僕が担当している「Yahoo!」店は売り上げが伸びていなかったので「今週の売り上げも●●万円です」みたいな報告が続いていたわけだ。

まあ、始めたばかりですし、仕方ないんですかね。

しかし、ある日の店長会議で事件が起きた。僕にとっては一生忘れることができない、自分の人生に影響を与えた出来事だ。
いつものように「今週の売り上げも●●万円でした。引き続き頑張ります」みたいな報告をすると……。

すると……。

いきなり社長が怒鳴り出したんだ。
「まこっちゃん(私のこと)は、仕事の仕方が間違っている! そんなんじゃいくらショップを動かしても成果は出ないよ!」って。

いきなり怒鳴られたらびっくりしますね。

突然の指摘だったから、自分としても反発心が出た。自分的には、売り上げを伸ばすために頑張っているつもりだったから。
「『楽天市場』のショップと同じように、商品登録もしているし商品ページの改善もしている、トップページも毎日更新しいてるし、メルマガだって流していますよ」って。

いわゆるECの店舗運営業務ですよね。

ただね、社長は「それは間違っている」って言うんだ。
「まこっちゃんは、商品登録もしているし、商品ページも改善しているし、メルマガも流しているけれど、成果(=売り上げ)への影響力は全部一緒じゃないはずだ。どれか、もしくは他の何かを徹底して行わないと成果は出ないんだよ」って図を書いて説明してくれたんだ。

1つのことを徹底して行ったら売り上げが伸びた!

いきなりそれを言われてもよくわからないですよね。それで、石田さんはどうしたんですか?

まず頭にきた。「俺だって毎日仕事しているんだぞ!」って。
ただ、「社長の言うことは聞かなきゃいけない」とも思っていたので、渋々受け入れることにした。決して「素直に」受け入れられたわけじゃないけどね。やっぱり若かったから。

若かりしころの石田さんですね(笑)

それで、その日から「商品登録」だけを徹底することにした。
「楽天市場」のショップに登録されていて、「Yahoo!」店には登録されていない商品が結構あったので、毎日毎日、その商品を「Yahoo!」店に登録した。それまで週に20商品くらい登録していたんだけれど、1日100商品以上登録した(笑)

1日100商品! そんなんじゃ他の仕事ができないじゃないですか!

うん。だって、社長が「徹底しろ」って言ったからね。本当にトップページの更新もせず、メルマガも流さず、商品登録だけを毎日毎日。頭の中では「これで結果が出なかったら文句言うからな!」とか思いつつ。

石田さんにもそんな尖った時期があったんですね。で、どうなったんですか?

伸びた。売り上げはさっくり伸びた。
「Yahoo!」店の商品を徹底的に増やし始めた翌週の売り上げは、スタート時の週の倍の売り上げに。その翌週の売り上げもスタート週の3倍になった。とにかく、商品数を増やせば増やすほど売り上げが伸びる、そんな状況だった。

社長の言う「成果(=売上)」に影響を及ぼしているのは、商品数だったんですね。

当時はね。これを「商品数を増やす=売り上げが伸びる」というように捉えないでね。ECのトレンドは常に動いているし、商品ジャンルによっても攻め方は異なるから。
ここで言いたいのは、ネッタヌ君が今指摘してくれた通り、「売り上げに『効く』要素を探せ!」ってことなんだよ。商品数うんたらではなくてね。

「売り上げに『効く』要素」を探すためには「データ活用のリテラシー」が必要

たまたまそこで徹底して当たったのが「商品登録」だったってことですね。場合によっては、異なるケースもある。その「売り上げに『効く』要素」を探す、と。

その「売り上げに『効く』要素」を探すためには、「データ活用のリテラシー」が必要なんだよ。

おっ! 本丸の話がきましたね。

つまり、商品登録を徹底する前の「過去の売り上げ」があったわけじゃない。そして商品登録を徹底し始めてからの「現在の売り上げ」がある。この「過去の売り上げ」と「現在の売り上げ」という2つのデータを比較するからこそ、商品登録が「売り上げに『効く』要素」だってわかるわけだよね。

たしかに。前提の話ですね。

逆に言えば、もしも「メルマガ配信」を徹底して売り上げが伸びず、「ページ改善」を徹底して売り上げが伸びず、商品登録を徹底して売り上げが伸びたとしたら、商品登録の徹底が「売り上げに『効く』要素」だっていう仮説が立つよね。そしてその仮説が正しいかは、商品登録の徹底をさらに継続してみればいい。

これも、メルマガ配信の徹底やページ改善の徹底が売り上げにつながらないって言っているわけじゃないですよね。

もちろんもちろん。あくまで例えだから、このコラムでは本質だけ知ってもらえれば。

なんか、今の話で「データ活用」って何なのかが見えてきた気がします。いわゆる「膨大なデータをどうのこうの分析しましょう」って話じゃないですよね?

そうなんだよ。データ活用というのは、単純に「日々の行動」と「データ(=成果)」をつなげていきましょう、っていう「因果関係」の話なんだよ。

そうか! じゃあ、データを使えば成果に早く近づけるわけだ。

いわゆる「データはコンパス」って話だよね。データを使って、ECのマーケティングを正しい方向に進めていけばいいんだ。

「データ活用」の本質、わかってきた!

ここでもう1つ、データ活用についてのエピソードを紹介したい。これも僕がネットショップの運営者時代の話。商品登録が落ち着いて4か月くらい後の話だ……。

早く聞きたい!
ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
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