石田 麻琴 2021/1/27 9:00

ECビジネスでデータ活用を習慣化する最初のステップは、「上流の大きなデータ項目(=売り上げ)から見ることが大切」です(詳細はこちらを参照。売り上げをチェックすることで何が見えてくるのか? データ活用の原則、次のアクションについて掘り下げていきます。

同じデータを確認し続けるから見える「変化」

日々、ECの運営業務を行い、マーケティング活動や改善活動を進める目的は、すべて売り上げのため。「売り上げ」というデータ項目を、まずは徹底的に確認することが重要です。次のステップは、売上データから「次の売り上げ」を得るためにそのデータを「活用」していきます。

ここで大切なのは「昨日の売り上げ」を確認した上で、「なぜその売り上げになったのか?」という仮説を立てること。「昨日の売り上げ」のただ1点を見て、内訳がわかっても良かったのか悪かったのかまでは把握できません。そこで、もう1つ覚えてもらいたいのが、データは「変化をみる」ということです。

「昨日の売り上げを確認する」が意味するところは、「前日の売り上げを確認する」。つまり、日々の売り上げを継続的に確認し続けることにあります。

昨日、今日、明日、明後日、明々後日……と毎日同じデータ項目を確認し続けると、日々データが変化していることに気づきます。これは継続的に確認し続けるからこそわかることです。この「データの変化」に対して、「昨日はなぜその売り上げになったのか?」仮説を立て、掘り下げていくのです。

売り上げという「結果」に伴う「原因」を把握

ECにおける「売り上げ」は、ECチームメンバーの成果の集合体です。「売り上げ=結果」なのです。因果関係という言葉があるように、「結果」があればそこに至る「原因」があります。

ECサイトの売り上げが自然に上がる・下がるということはなく、売り上げという「結果」には、(自分たちでコントロールできるか否かはさておき)何かしらの「原因」が関係しています。

昨日の売り上げを継続的に確認し、その「データの変化」に気づくことで、「これは何か原因があるのではないか?」と感じることが大切です。このデータを確認することからの「気づき」と「感じる」ことが仮説の立案につながってきます。

「売り上げ=結果」に影響を及ぼす「原因」には、2種類あります。それを私が代表を務めるECMJでは「内的要因」と「外的要因」と呼んでいます。データの変化、原因と結果からもう一歩踏み込んで、内的要因と外的要因について学んでいきましょう。

売り上げに影響を及ぼす「内的・外的要因」

「内的要因」とは、皆さんのECチームが実践したアクションのことを指します。ECの運営業務であれば、新商品の発売や商品ページ画像の撮り直し、リスティング広告配信量の変更など、日々のマーケティング施策として行っていることが「内的要因」になります。つまり、「売り上げ」という成果のために自らお客さまに提案している行動が「内的要因」です。

「外的要因」は、ECチームが実践したマーケティング施策ではなく、市場環境の変化や競合のアクションによって起こったことを指します。EC事業でよくあるケースでは、台風や地震など天災による需要の増加、テレビやSNSなどメディアからのアクセス増、競合企業の価格操作などがあげられます。いずれも自分たちではコントロールできない「外的要因」です。

  1. 上流の大きなデータ項目から徹底して見る
  2. データを継続して確認し変化に気づく
  3. データ(たとえば売り上げ)に影響を及ぼした原因(内的要因と外的要因)を考え仮説に落とす

これがデータ活用の作法です。

データ活用は実は非常にシンプルな考え方に基づいています。多くのEC事業において、ある1点が欠けているためこのデータ活用の作法を運用できなくなってしまっています。その欠けている1ピースこそ、「行動ログ」のメモです。

「行動ログ」で「内的要因」の源泉を探る

「行動ログ」とは、ECチームが実践したアクションのことです。つまり、結果に影響を及ぼした「内的要因」の源泉になる可能性があるものです。多くのEC事業者がこの「行動ログ」を日々きちんと残していないのが現状です。そのため、継続的なデータの確認によりその変化に気づいても、内的要因と外的要因を整理することができません。数字が上がった・下がったはわかっても、後から「これってなんだっけ?」で止まってしまうのです。

なぜそうなったか(=売り上げが上がったか)がわかれば、どうすればそうなるのか(=売り上げが上がる)がわかる」が、ECMJの提唱するコンサルティングです。

自分たちが実践したアクション、つまり内的要因が売り上げに影響を及ぼしたならば、よりその内的要因を強化します。外的要因が売り上げに影響を及ぼしたならば、その外的要因ともいえる時流に、いかに対応・対策するかをECチームで考えます。

次の行動の源泉になるのは、データ活用です。そしてこのデータ活用の作法をECチームが身につけると事業が成長するだけではなく、自然に「人が育つ」のです。

編集部からお知らせ

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