こども関連ビジネスの市場規模2.2%増の10.9兆円、少子化進行も共働き世帯の増加などのニーズ増で安定推移

2024年度の市場は、物価上昇を背景とする節約志向や支出抑制意識の高まりによるマイナスの影響を受けつつも、娯楽用品・レジャー分野の市場(9市場)と保育関連サービス分野の市場(2市場)にけん引され、引き続き堅調に拡大したという

鳥栖 剛[執筆]

8月21日 8:30

矢野経済研究所が公表した国内のこども関連ビジネス市場の調査結果によると、2024年度のこども関連ビジネス市場規模(6分野34市場計)は、事業者売上高ベース(一部は興行収入ベース)で前年度比2.2%増の10兆9059億円だったと推計した。

こども関連ビジネスの市場規模は2.2%増の10.9兆円に

2024年度は、物価上昇を背景とする節約志向や支出抑制意識の高まりによるマイナスの影響を受けつつも、娯楽用品・レジャー分野の市場(9市場)と保育関連サービス分野の市場(2市場)が市場拡大をけん引したという。

こども関連ビジネス市場を構成する6分野の市場(娯楽用品・レジャー、教育サービス・学用品、食品、衣料品、こども関連用品・サービス、保育関連サービス)の動向を見ると、娯楽用品・レジャー分野、食品分野(3市場)、保育関連サービス分野は引き続き拡大。衣料品分野(3市場)は微増、教育サービス・学用品分野(10市場)は前年度の縮小から下げ止まりしたという。

こども関連ビジネス市場を構成する6分野別に見ると、規模が大きいのは保育関連サービス分野、教育サービス・学用品分野、娯楽用品・レジャー分野の市場。

「保育園市場」は少子化進行の影響や保育園新規開設ペースの鈍化などで2020年度以降、伸長率は鈍化している。ただ、少子化対策や子育て支援の拡充に向けた公的資金の継続的な投入によって堅調な推移を維持。特に2024年度は保育士の配置基準の見直し、処遇改善に向けた補助金増額などでプラス推移となった。

「学童保育市場」は学童保育の利用ニーズが年々高まっていることに加え、運営費の上昇を背景とする利用料改定など、利用児童1人あたりの単価上昇によって市場拡大をけん引した。

こども関連ビジネス市場は、少子化進行による需要層の縮小に加え、長引く物価高によるマイナスの影響を受けると予想。ただ、共働き世帯の増加に伴う預かりニーズに支えられ安定した推移が見込める保育関連サービス分野、娯楽用品・レジャー分野の市場などの拡大が期待されるとしている。2025年度のこども関連ビジネス市場規模(6分野34市場計)は、前年度比3.2%増の11兆2562億円になると予測する。

調査概要

  • 調査期間: 2025年4月~6月
  • 調査対象: 子ども向けに商品・サービスを提供する事業者など
  • 調査方法: 矢野経済研究所の専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによる取材、ならびに文献調査併用
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