2024年の健康・機能性食品素材市場規模は2.7%増の2563億円の見込み
矢野経済研究所は、国内の健康・機能性食品素材(原料)市場を調査し、各素材別の動向、参入企業動向、将来展望を6月9日に公表した。それによると、2024年の健康・機能性食品素材市場規模は前年度比2.7%増の2563億4300万円と予測した。
2023年度の市場は2.9%増の2496億円に
2023年度の健康・機能性食品素材の国内市場規模は、流通金額ベースで前年度比2.9%増の2496億1100万円と推計。また、44素材の2023年度流通量合計は同1.0%増の9万4553トンで、一般食品用途での活用が進んでおり、穏やかながら流通金額、流通量ともに伸長したという。
2024年度は前年度比2.7%増の2563億4300万円と予測。紅麹による健康被害問題を受け、末端製品である健康食品企業の通販事業の一部定期購入の停滞、機能性食品素材事業者が届出に用いるSR(システマティックレビュー)がPRISMA2020に準拠することが必須になったことへの対応に追われたことで、機能性表示食品の届出受理件数のペースが鈍化した。これによって新たな届出を控える企業もあり、2024年度の健康・機能性食品素材の供給量にも鈍化が見られた。
一方、機能性表示食品への採用を前提としない素材へ注力する素材供給企業、既存素材の新規分野への開拓を進める動きが活発化。健康・機能性食品素材市場は緩やかに拡大し続ける見込みであるとした。
海外展開に向けた動きが活発化
注目トピックに海外展開の活発化をあげた。健康食品市場の成長が見込まれる地域として、台湾や香港、タイ、ベトナム、インドといったアジア地域を中心に、健康・機能性食品素材への引き合いが増加しているという。
一方、健康・機能性食品素材の輸出に関しては、各国の食品としてのレギュレーションや、ハラールなどの宗教対応が必要であり、専門知識を有する人材の確保や現地商社などとの連携による対応、生産拠点におけるハラール認証取得などの動きが見られるという。
素材(原料)別に見ると、東南アジアを中心に、国内でも一定の需要がある美容素材、整腸作用のある乳酸菌やビフィズス菌などの菌末製品、オリゴ糖などの食物繊維への需要が高まった。矢野経済研究所では日本国内での健康・機能性食品素材の成長が鈍化するなかで、海外に新たな成長を求める動きが今後も広がると見ている。
2025年度市場は1.9%増の2611億円と予測
健康食品市場の将来展望について、2025年度の健康・機能性食品素材の国内市場規模は前年度比1.9%増の2611億9000万円と予測している。
紅麹関連商品による健康被害の対象商品が生活習慣病予防の機能性表示食品、打錠であったことから、関連商品や打錠商品など一部への影響は見られたものの、健康食品及び健康・機能性食品素材国内市場全体への影響は軽微という。国内の健康食品市場、健康・機能性食品素材市場は今後も緩やかな成長基調を維持していくと見通している。
調査概要
- 調査期間: 2025年2月~4月
- 調査対象: 健康・機能性食品素材供給企業(メーカー、商社など)
- 調査方法: 矢野経済研究所の専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・アンケート調査、ならびに文献調査併用