石田 麻琴 2014/7/24 13:00

「ネットショップをオープンしたけれど、売れない」「知り合いのECサイトは月商1000万円も売れているようだが、自分の通販サイトは思ったように売れない」「本や雑誌、ウェブサイトで成功事例を参考にしてオンラインショッピングを運営しているけれど売れない」「結局、ネット販売を諦め、サイト運営を放置してしまっている」・・・あなたのネットショップが売れない理由、それは「運用力の欠如」にあります。

 

ネットショップ担当者としての適性を確かめてみる

さまざまな企業の相談を受けて感じる最も大きな課題。それは、ネットショップを立ち上げただけで止まってしまっていることが多いということです。つまり、運用がストップしているのです。

全国の商工会議所や企業向けセミナー講演での質疑、コンサルティングの相談で、「ネットショップはどうすれば売れますか」という質問を頻繁に受けます。「これからネットショップを始めるのですが、どうすればいいですか?」という内容ではなく、「ネットショップに取り組んでいる(もしくは取り組んだことがある)のですがが、どうすればいいですか?」という内容が、年々多くなってきています。

「この10年間、15年間で1度、ネットショップにチャレンジはしたが、どうやって売り上げを伸ばせばいいのかが分からず断念してしまった。しかし、既存市場はシュリンクしているため、直販化を進めなければ生き残れない。だが、これ以上販路を広げるにはインターネットで頑張るしかないので、やっぱりネットショップに『再チャレンジ』したい」――そんな会社が日本中にたくさんあります。

ネットショップは、オープンすることがゴールではありませんオープンしてから、さまざまな取り組みを通じてショップを運用し、お客様との距離をチューニングしていくかが重要です。それには、日々のPDCAのサイクルの回し方が成功へのポイントなのです。ECサイトを70%で作り上げ、運用をしながらいかに100%に近づけていくかがネットショップというビジネスのポイントになります。オープンから100%を求めても、成功しません。

ここで、ネットショップの担当者に求められる資質を上げてみましょう。運用をストップさせないために、自社の担当者が、どのくらいネットショップ担当者に適しているのか確かめてみましょう。

  1. 昨日のEコマース事業の売上を知っている。いつでも必ず答えることができる
  2. 日にちを指定すれば、その日の売上が“なぜその成果になったか?“を説明することができる
  3. 自分の仕事が、Eコマース事業におけるどの数字に影響を及ぼしているかを知っている。説明することができる
  4. Eコマース事業の方向性や戦略を、自らの言葉でわかりやすく説明することができる
  5. ミーティングで自主的にアイデアを出す。そして、そのアイデアを確実に実行/実現できる
  6. 今日、自分がどんな仕事をすべきかを知っている。その仕事を行う理由を、明確に説明することができる

上記6つについて、当てはまる数が多ければ、ネットショップ担当者として適正がある、もしくはネットショップ担当者としてしっかりと自覚があるということです。貴社のネットショップの担当者はどうでしたか?

長期的な視点での「人財」育成がECサイトを強くする

私は数年前まで、ネットショップの運営を担当する総責任者でした。担当していた6年間の中で、ネットショップならではの改善スキームを後輩にいかにして伝えていくかに苦心しました。ゼロから立ち上げた中での取り組みでした。ネットショップの経験者がいない社内でノウハウを作っていくのは、雲を掴むようなことでしょう。

ネットショップの運用のPDCAのサイクルをきちんと日々回していくのは「人財」です。ソリューションを活用すれば、山を登る準備は整います。しかし、実際に登るのは現場のスタッフです。

「ネットショップが売れない理由」。その大きな課題は「運用力」の欠如なのです。ネットショップの運用力を持った「人財」をいかにして育てるか。現在、人材不足に悩むEC企業が増えてきており、「人財」は大きな課題となっています。

ネットショップを運営する資質を持った担当者がいなければ、その「人財」を育ててみましょう。そのためにも、経営者などには以下のようなことが求められます。

  1. 相手を知ること
  2. 自分達で決定させること
  3. 自ら「気づく」ように仕向けること
  4. ポイントを絞ってあげること
  5. 根気よくフォローすること

ネットショップの担当者は、マーケティングや数値管理、マーチャンダイジングなど多岐に渡ることが求められます。そのためにも、ネットショップ担当者を育てていく企業体制、目の前のことだけではなく、長期的な視点で「人財」を育てていく心構えが必要です。

◇◇◇

今コーナーでは、EC黎明期からネットショップ運営に携わってきた業界人が、ECのための「人財」育成のヒントをお伝えします。


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