広告の成果改善をAIが後押し。Amazon Adsが自然言語での分析・設定変更に対応
Amazon Ads、自然な会話でキャンペーン設計から配信・分析までをワンストップ支援がAIエージェントを発表した。そのほかディスプレイ・動画・音声を横断する「DVA+」や、地域別最適化機能「GIA」も発表した。
8:30
Amazon Adsは11月4日、東京で実施したカンファレンス「unBoxed Tokyo 2026」で、AIを活用した新たな広告機能を発表した。エージェント型AIを搭載した統合プラットフォームの新名称を「Amazon Ads Agent」とし、広告キャンペーンの計画、設定、配信、効果測定を対話形式で支援。広告データを自然言語で分析する機能や、ディスプレイ、動画、音声広告を一元的に扱う「DVA+」などを提供する。日本では機能ごとに順次展開する。いずれも無料で利用できるという。
Amazon Ads Japanのカントリーマネージャー、ステファン・グルニエ氏は、広告主や代理店が直面する課題として、キャンペーン設定の複雑さや手作業にかかる時間、AIの判断過程が見えにくいこと、分析に専門知識を要することを挙げた。
手作業による最適化やレポート作成に費やす時間を減らせれば、ブランドの差別化や、オーディエンスと新しい形でつながるための仕事に時間を使える。広告技術は使いやすく、透明性があり、広告主のアイデアを後押しするものであるべきです。(Amazon Ads Japan カントリーマネージャー ステファン・グルニエ氏)
Amazon Ads Japan カントリーマネージャー ステファン・グルニエ氏
相談に加え、設定や分析まで支援
「Amazon Ads」はFire TV、TwitchのオーディエンスにいたるAmazon独自のチャネル以外に、Spotify、Netflix、Disneyなどの配信サービス、TVerやU-NEXTといったチャネルまで網羅し広告主のフルファネルキャンペーンを一元管理できる。複数のツールによる管理ではなく、複数のチャネルにまたがって広告の計画、配信、効果測定を行える。
「Amazon Ads Agent」は、スポンサー広告、ディスプレイ、動画、音声などを1つのプラットフォームに集約し、広告運用を支援するエージェント型AIを搭載。広告主は専門用語や複雑な指示を使わず、自然な言葉で目的や課題を伝えるだけで、AIから推奨プランを受け取れる。広告主の指示に応じて、キャンペーン設定などの実行も支援する。
日本では、対話機能について11月6日からベータアクセスの受け付けを開始し、11月中をめどに提供する予定。その他の機能も順次展開する。

自然言語での対話を通じて、オーディエンスの規模の把握、リーチ予測の算出、データに基づく予算配分の推奨、チャネル間の増分リーチの比較などを実行できる。広告主は、アプローチしたいオーディエンスを日常的な言葉で説明するだけで、商品、カテゴリー、キーワード、Amazonオーディエンスにわたる推奨リーチ設定を受け取り、キャンペーンに適用できる。また、配信設定の診断や改善提案にも対応する。
米国では、自然言語を使ってキャンペーンの推奨リーチ設定を適用した広告主が、インプレッション単価(CPM)を平均10%以上削減しながら、新規顧客数を25%以上増やしたという。
対話型AIアシスタント自体は2025年のアップデートですでに導入されていたが、エージェント機能を備えていなかった。これまでは広告管理画面上で相談できても、その内容をキャンペーン設定に反映することはできなかった。今回、広告データの分析に加え、会話の内容に基づく設定変更なども支援できるようにした。AIの提案理由や作業履歴も確認でき、広告主や代理店が運用の主導権を保てるという。
自然言語による分析も強化
広告分析では、「Amazon Marketing Cloud(AMC)」などを活用し、自然言語で質問してキャンペーンデータを確認できる。キャンペーンごとの成果の比較やカテゴリー別の分析、月ごとの傾向の確認、グラフの作成などに対応する。分析結果を起点に、さらに掘り下げた質問をすることも可能だ。広告主は日常的な言葉で約1000種類の指標にアクセスできるという。
なお、現時点ではレポート上でクリエイティブごとの成果を確認できるものの、具体的な修正案を提示する段階には至っていないという。
そのほか、購入までに接触した広告面の組み合わせを把握する「コンバージョンパスレポート」や、広告接触後12カ月間の売り上げへの影響を確認する「ロングタームセールス」も備える。短期的な成果だけでなく、フルファネル施策や中長期的なブランド成長を検討する際の判断材料として提供する。
「DVA+」で広告形式を横断して運用
「DVA+」は、ディスプレイ(Display)、動画(Video)、音声(Audio)広告を一元的に扱う機能。これまで個別に管理していた広告形式をまとめ、キャンペーンの設定や最適化を簡素化する。
広告主は、売り上げの拡大や商品ページへの誘導、ブランド認知などの目的を選び、訴求する商品・サービスやクリエイティブ、予算、配信期間を設定する。チャット形式でAIの支援を受けながら設定を進められるほか、媒体ごとに異なるクリエイティブの仕様調整もサポートする。
配信モデルは「Brand+」と「Performance+」の2種類。「Brand+」は、広告を閲覧する可能性だけでなく、ブランドストアへの訪問やカートへの商品追加、購入など、次のアクションにつながる可能性が高いオーディエンスを特定する。一方、「Performance+」は、商品やサービスを積極的に検討している顧客にアプローチし、検討やコンバージョンを促進する。広告主は目的に応じて選択できる。

より細かな運用を行いたい広告主や代理店向けには、「DVA+ with Advanced Settings」を用意する。ストリーミングTV、オンライン動画、ディスプレイなどへの予算配分案や、見込まれるリーチ、インプレッション、CPMを確認できる。広告主は予算配分を変えた複数のプランを作成・比較し、採用する案を選べる。オーディエンス候補の提案に加え、フリークエンシーや入札設定なども調整できる。
「DVA+」は今後数カ月以内に日本の広告主へ順次提供する予定という。「DVA+ with Advanced Settings」については、11月6日からベータアクセスの受け付けを開始し、11月中をめどに提供するという。
Amazon Adsによると、同社と協業する中小企業の70%が、「DVA+」によって、これまで利用できなかった動画・ディスプレイ広告枠を活用できるようになったと回答している。これにより、コンバージョン獲得だけでなく、認知向上やブランド構築にも取り組めるという。また、ディスプレイ、動画、音声広告を1つの流れで扱うことで、設定や運用にかかる時間の短縮、効率化につながるとしている。
地域別インサイトで広告配信を最適化
地域別のインサイトを活用した広告配信の最適化機能「Geographic Insights & Activation(GIA)」も提供している。「GIA」は、Amazonのファーストパーティーインサイトと広告主が持つ地域データを活用し、地図上で地域ごとのブランド浸透率を可視化する。カテゴリーの基準値と比較してブランド浸透率が低い地域など、成長機会のあるエリアを把握し、入札額を自動調整するロケーショングループを有効化できる。Amazonで商品を販売していない広告主も利用可能だ。

米国の事例として、ペット用品を扱うネスレ ピュリナは、「GIA」を活用してブランド浸透率の低い地域を特定し、地域を絞った広告を展開した。その結果、動画視聴単価(CPV)を86%削減しながら、新規ブランドの商品詳細ページ閲覧率を313%向上させたという。
Prime Video視聴とスマホを連動させる「セカンドスクリーン」
Amazon Adsは、テレビやストリーミングの視聴中にスマートフォンやタブレットを併用し、双方向のコンテンツ体験を提供する「セカンドスクリーン」の取り組みも紹介した。
事例として、Samsung GalaxyとPrime Videoの恋愛リアリティー番組「ラブトランジット35+」を組み合わせ、「Samsung Galaxyと恋を」をテーマとしたキャンペーンを取り上げた。
キャンペーンでは、本編の再生前に、前シーズンの出演者が番組のウォッチパーティーを楽しむ様子を描いたコラボ動画を配信した。また、番組の視聴状況とスマートフォンを連動させるセカンドスクリーン体験も用意。番組参加者がGalaxyで撮影した写真や動画を活用し、視聴者がエピソードを見進めると、視聴時間に応じて特設ページで舞台裏のコンテンツが順次閲覧できる仕組みを展開した。

番組の文脈に沿ってGalaxyの特長を紹介し、コンテンツの共有や商品サイトへの導線も用意した。Prime Videoの視聴と連動した体験を通じて、番組の認知から商品理解、商品ページ閲覧、カート投入までをつなぐフルファネル施策として展開した。
- この記事のキーワード


