エイチームウェルネスのD2Cコスメ戦略とは? 顧客接点重視の取り組みを長瀬社長が語る
エイチームの子会社でヘルスケア領域の事業を手がけるエイチームウェルネスは、D2Cの化粧品・スキンケアブランド「lujo(ルジョー)」が投資段階から利益貢献フェーズに転換している。
徹底的なマーケットインで顧客ニーズをとらえた“売れる確信がある商品”を開発・販売し、他事業で培ったデジタルマーケティングスキルとノウハウを注ぎ込むことで、継続的に売り上げが伸びているという。
機動力に優れたマーケティングで黒字化
同ブランドの今第1四半期(2023年8~10月)は、顧客数の増加と、商品ラインアップの拡充もあって過去最高の四半期売上高を記録したのに加え、2四半期連続で黒字化した。
エイチームグループについては、同じく子会社のエイチームコマーステックが運営していた自転車の通販サイト「サイマ」を昨年3月に譲渡しており、グループのEC・D2C展開はエイチームウェルネスのコスメが軸になりそうだ。
エイチームウェルネスを率いるのは、女性向け生理日予測・体調管理アプリ「ラルーン」(※編注:ラルーン事業は2月1日、メドレー社に譲渡)や「ルジョー」の事業責任者を務め、昨年10月下旬、社長に就任した長瀬拓也氏で、「エイチームグループはマーケティングに強く、その強みを生かせるのがD2Cだ」とする。
マーケティングを支えているのがPDCAを素早く回すための組織や仕組みで、ほとんどの仕事をインハウスで行っている。エイチームウェルネスとしても社内にマーケター、エンジニア、ウェブデザイナーを抱えており、スピード感を持って改善施策に取り組んでいる。
コロナ禍で立ち上げたD2C化粧品はWebで訴求
「ルジョー」は最新のテクノロジーを用いた成分や処方により、効果を実感できるエイジングケアをめざした化粧品・スキンケアブランドで、コロナ禍すぐの2020年3月に立ち上げた。
第1弾商品はリキッドファンデでスタートしたが、その後はメイクアップアイテムよりも美容クリームや化粧水、オイル美容液など、スキンケアを中心にラインアップを広げてきた。昨年12月にはクッションファンデを開発し、現在、8アイテムを展開している。
顧客層は30代前半~50代後半で、とくに、シミやシワなどの悩みが顕在化してくる40代後半~50代前半がボリュームゾーンだ。
新規開拓はWeb広告がメインで、顧客の定着化に向けては商品自体の満足度が重要になるため、広告で訴求する内容と、顧客が実際に使用して満足するポイントに一貫性を持たせるように心がけている。
顧客接点は“フル活用”
商品力に加えて、顧客のサポート体制も重視している。肌のターンオーバーのサイクルもあり、スキンケア商品は2~3か月は使い続けないと効果を感じにくい。
同社では顧客の継続利用を促す目的で、同梱物やLINE、メルマガなどをフル活用。消費者が商品を使い始めたときと数か月後では肌の状態も異なるため、同梱物は毎月変えるほか、ITの力も活用しながら顧客一人ひとりに最適な情報を提供する。
よくある質問は同梱物にもQ&Aを記載したり、効果を実感した顧客の声も発信したりして少し先の自分を想像しやすくしている。解約されやすいタイミングも分析し、同梱物に反映させる。
また、モチベーションを維持できるように、今日の肌の調子を記入できるカレンダーを同梱物として提供する取り組みも始めた。
「楽しみながら続けられる工夫を日々考えている。すぐに捨てられてしまう同梱物ではダメで、記入したカレンダーを90日後にインスタに投稿してもらうとプチギフトをプレゼントするといった施策も検討している」(長瀬社長)という。
モール販売を強化
一方で、「Web一辺倒だとITリテラシーが高いお客様にしか購入してもらえない」(同)とし、小売りなど新しい販路の開拓も進めたい意向だ。
今期(2024年7月期)は「アマゾン」などECモールでの販売を強化する。現状、「ルジョー」の売り上げは自社ECが大半を占めており、ECモールの売り上げ比率10%以上を早期にめざす。ECモールではレビューを獲得できる仕組みも整えていく。
また、コスメは1000~3000個程度から生産委託できるため、新商品をECモールで販売し、ヒットの芽が生まれれば、数量を増やして新たな販売チャネルに投入するという挑戦もしやすくなる。
コスメが引き続き主力になるものの、「肌のことを考えると睡眠も大事なので、睡眠の質を向上させるようなアイテムも含めて、幅広いカテゴリーにアンテナを張っている」(長瀬社長)としている。
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