機能性表示に関する「食品表示基準(案)」(以下、基準案)について、消費者委員会(河上正二委員長)は12月2日に行った会合で答申を見送った。複数の委員が機能性表示制度の「法的基盤のぜい弱性」を指摘。付帯つきで了承する答申(案)の合意に至らなかった。答申が遅れたことで、消費者庁のガイドライン公表も来年にずれ込む可能性が高くなった。

指摘された法的基盤のぜい弱性は、機能性表示制度の「届出制」にかかる部分。事業者に届出の義務を求めることが食品表示法に規定されていないため、いったん消費者庁が受理した科学的根拠に疑義が生じた場合も、同法第6条に規定する「指示」「命令(指示に従わない場合)」に基づき、事業者に届出や表示内容の撤回を求める法的根拠がないとした。

山本隆司委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)が指摘。河上委員長(同)、消費者委傘下の食品表示部会の石川直基委員(弁護士)ら3人の法律の専門家が共通認識であるとした。

会合後に河上委員長は「これまで行政は行政指導であいまいに事業者に改善を求めてきた。だが、事業者の義務である届出制を法定しないと根拠が明確でない。法制局にかけた場合も法的根拠として耐えられるか微妙」として、届出制の法定に関する確約を消費者庁から引き出し、基準案を了承する考えも視野に入れていることを示した。

現段階で「届出制」や表示義務は、基準案に規定されている。食品表示法では、食品表示基準に規定する遵守事項や表示義務に従わない場合、同法第6条の規定に基づき、「指示」等が行えることになっている。

「届出制」の法的根拠で食い違い

新たに「届出制」を法律に規定するとなると、すでに昨年6月に成立した食品表示法(来年6月施行)の再改正を行うことになり、国会審議が必要になる。一方、新制度は、来年3月末までの措置が閣議決定されている。仮に届出制を法定するとなると新制度の開始も大幅に遅れる可能性が出てくる。

仮に届出制の法定に消費者庁が合意した場合も、ガイド公表自体は、法改正を待たずに行える。ただ、公表は、すべての基準案で了承を得て、食品表示基準を公表した後になる。消費者委は届出制の法定を条件に基準案を了承する可能性があるため、消費者庁と法的根拠を巡る意見が平行線をたどれば、それだけガイド公表も遅れる。

今回、消費者委が示した答申案では、ほかに5項目に渡る意見を付帯している。届出制の法定のほか、監視・執行体制の充実に向けた定員・予算の充実を求めている。ただ、多くの委員は基準案に「強い不安や疑念」を表明。今後の議論で付帯意見の数もさらに増える可能性がある。

機能性表示に関する消費者委の次回会合に、事務局は「議論する案件がある場合、通常は翌週火曜日に行う」としている。

新制度を巡っては、消費者庁は、基準案を「機能性表示関連」を含め、3部分に分けて消費者委に諮問。「機能性表示関連」では消費者委で諮問部分を逸脱して、制度全般に係る設計や法律論に議論が飛び火している。

消費者庁は議論と並行してガイド策定の作業を急ぎ進めているが、消費者委の議論がもつれ、ガイド公表を待つ事業者にとっては新制度への対応がより遅れそうだ。

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