買い物弱者問題はネットでどう解決する? シェアリングエコノミーでうるるがアプローチ

主婦などが自分の買い物のついでに近隣住民の買い物リクエストに応えて商品を届ける

渡部 和章

2018年3月20日 9:00

主婦向けクラウドソーシングサービス「シュフティ」を運営する、うるるは3月16日、近所の住民同士で買い物をサポートする地域密着型の買い物代行サービス「Twidy(ツイディ)」を本格的に開始すると発表した。

スマホアプリ(iOS、Android)を通じてサービスを提供する。2020年3月末までに利用者1万人をめざす。

「Twidy(ツイディ)」は、主婦などが自分の買い物のついでに近隣住民の買い物リクエストに応えて商品を届けるサービス。地域住民同士が買い物をサポートする「地域シェアリングエコノミーサービス」で「買い物弱者問題」の解決を図る。

2018年2月1日から都内で実証実験を行った。丸正総本店(新宿区)とエヌマート(荒川区)の2店舗が参加し、「シュフティ」に登録している消費者や、地域の日経新聞販売員が買い物を代行した。

実証実験中に登録者数が100人を超え、注文数も着実に伸びているという。

「Twidy(ツイディ)」のスキーム
「Twidy(ツイディ)」のスキーム

サービスを提供する上でシステムや店舗運営に問題がないことを確認ができたことから、本格展開に踏み切った。

今後、サービスの対象店舗を全国のスーパーマーケットなど約1万8000店舗に拡大する計画。東京海上日動火災が「Twidy」専用の保険プログラム(買い物代行中の対人・対物事故に伴う賠償責任、及び商品の損害対する補償)を提供する。

「Twidy」はインターネットサービス事業を手がけるダブルフロンティアとの共同事業。

買い物弱者は推計約700万人

日常の買い物が困難になる「買い物難民」は近年、問題化している。経済産業省の調査によると、買い物弱者は2016年10月時点で推計約700万人。2010年の調査と比べて約100万人増えた。

買い物弱者は2016年10月時点で推計約700万人
経済産業省が2015年4月に公表した買物弱者問題に関する調査結果から(編集部が資料をキャプチャ)

同省は買い物弱者の定義を「流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買物が困難な状況に置かれている人々」としている。

食品宅配市場は堅調に推移しており、2016年度の市場規模は矢野経済研究所の推計値で前年度比3.3%増の2兆782億円。

食品宅配市場は堅調に推移
食品宅配総市場規模推移と予測

日本スーパーマーケット協会などが2016年10月に公表した「スーパーマーケット年次統計調査」によると、ネットスーパー事業を全店・またはほぼ全店舗で実施している事業者は20.7%。

店舗外販売・配送サービス実施状況(スーパーマーケット年次統計調査報告書)
店舗外販売・配送サービス実施状況(スーパーマーケット年次統計調査報告書)
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