日本にネットショップが生まれた1990年代後半。楽天市場やYahoo!ショッピングも誕生
Windows95が発売され、一般家庭にインターネットが急速に普及し始めた90年代後半、家電量販店や大手メーカーなどが次々と通販に参入した。楽天市場やYahoo!ショッピングといった大手ECモールも誕生し、ネット通販が急速に広がっていく。
1995年(平成7年)〜 家電量販店や大手メーカーが次々と通販に参入
リアル店舗を持つ大手小売りや、食品業界や製薬業界の大手メーカーによる通販参入が相次いだ。1995年にソフマップ、翌96年には石橋楽器店やアサヒビール薬品販売(現アサヒフードアンドヘルスケア)、タワーレコードなどが、97年以降は味の素、ヨドバシカメラ、カゴメ、小林製薬、ノジマなどが通販を開始している。
95年3月、米国でYahoo!が設立され、7月にAmazon.comがサービスを開始した。翌96年には日本でヤフー株式会社が、98年にアマゾンジャパン株式会社がそれぞれ設立され、日本事業を本格的に開始していく。
ちなみに日本初のネットショップはというと、93年に広島の家電量販店のデオデオ(エディオングループ)が洋書を販売したのが最初だという説があるが、翌94年、エーデルワイスファームが日本で初めてネットで商品を販売したとしてNHKから取材を受けたという。また同年10月には、讃岐のうどん本陣山田屋もオープンしている。
1997年(平成9年) 楽天市場がオープン
当時は大手企業を中心に、単独で通販サイトを開設する動きが広がり始めていた。そうした中、1997年5月に出店型のECモール「楽天市場」がオープンする。当時、エム・ディー・エム(現、楽天)の従業員は6人、楽天市場の出店数は13店舗、サーバー1台での船出だったという。
98年7月には「楽天スーパーオークション」(楽天オークションを経て現在はフリマアプリ「ラクマ」に移行)を開始し、オークション事業にも参入した。
楽天を創業した理由について三木谷浩史社長兼会長は、自身が監修した書籍でこう振り返っている。
日本興業銀行(現、みずほフィナンシャルグループ)を1997年に辞め、楽天を創業したことについて、なぜ決断できたのかと人から尋ねられることがある。いま思えば、当時の自分にはインターネットが世の中を大きく変えていく、という確信があった。ネットショッピングやメディアといった領域ごとに起こる変化にとどまらず、インターネットは世界の新しいインフラとして物事のすべてを覆い、完全に情報の流れを変化させるだろうという確信だ。そこから事業として思いついたのが「店舗主体のショッピングモール」であった。
─『ヒューマン・コマース グローバル化するビジネスと消費者』(発行:KADOKAWA、2014年)より
99年には「Yahoo!ショッピング」と「Yahoo!オークション」がオープンした。
同じく99年にディーエヌエー(DeNA)が創業、オークションサイト「ビッダーズ」を開設。ビッターズはDeNAショッピングを経て、現在KDDIコマースフォワードが運営する「Wowma!」へと姿を変えている。
大手ECモールやオークションサイトの誕生により、ネット通販事業者は加速度的に増えていった。
1998年(平成10年) 佐川が宅配便スタート
1998年3月に佐川急便が宅配事業「佐川急便(現、飛脚宅配便)」を開始した。翌年には冷蔵配送サービス「飛脚クール便」のトライアルにも着手し、全国展開を開始した。
1976年にサービスを開始したヤマト運輸の宅急便に続き、佐川急便も宅配サービスを開始したことで、通販の配送インフラはより強固なものとなっていく。
1999年(平成11年) Eストアーのショッピングカートサービスも登場
1999年にはEストアーがホームページにショッピングカート機能を組み込めるサービス「ストアツール」の提供を開始。自社ECサイトを簡単に開設できるようになり、ECの裾野はさらに広がっていった。
INDEX
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