通販の歴史

Amazonが通販業界トップに躍り出た2000年代後半。ECの台頭で老舗カタログ通販は苦境の時代へ

第10回:2000年代後半「競争激化期」

渡部 和章

2017年12月13日 8:00

2000年代後半になると、Amazonを筆頭に新興EC事業者が台頭した。異業種のネット通販参入も増加。EC市場が急速に拡大する中、事業者間の競争も激化し、紙媒体を中心とした老舗通販は苦戦を強いられた。

2005年(平成17年) EC市場規模3.5兆円、その後4年で約2倍に拡大

経済産業省がまとめた統計によると、2005年の企業消費者間(BtoC)のEC市場規模は約3兆5000億円だった。2009年には市場規模が約6兆7000億円へと成長。2000年代後半の4年でEC市場は2倍近くに拡大した。

ユナイテッドアローズなどアパレルメーカーがECを本格化

ECに新規参入する企業が増える中、アパレル大手の参入が目立った。2005年にはユナイテッドアローズやベイクルーズがECを開始。翌年以降も東京スタイル(現、TISホールディンス)、ポイント(現、アダストリア)、DoCLASSE(ドゥクラッセ)、オンワードなどがネット通販を開始している。

2003年にファッション専門モールのMAGASEEK(マガシーク)が、2004年にZOZOTOWNが登場したことも追い風となり、アパレルEC市場は急速に拡大していった。

かつての覇者・セシールをライブドアが買収

EC市場の拡大と新興企業の台頭に伴い、老舗カタログ通販は苦戦を強いられた。

1980~90年代の通販業界で長らく売上高トップに君臨したセシール(現、ディノス・セシール)は、1997年の年商2,084億円をピークに売上高が頭打ちに。2005年には年商が約850億円に減少し、当時IT業界の新興企業として注目を集めていたライブドア(現、LINE)によって買収された(セシールはその後、ディノス・セシールとなり、2017年8月現在はフジ・メディア・ホールディングスの100%子会社)。

この時期、ニッセンや千趣会、ムトウ(現、スクロール)といった他の大手通販の成長率も、1990年代と比べて鈍化している。

スカルプD、ヒルズダイエット、ラフィネパーフェクトワン、ビリーズブートキャンプなどが誕生

2000年代後半も通販業界では多くのヒット商品が誕生した。2005年にアンファーが頭皮ケアシャンプー「スカルプD」を発売。2006年にはオークローンマーケティングの「ヒルズダイエット」や新日本製薬の「ラフィネパーフェクトワン」が発売された。

米軍の訓練をベースにしたエクササイズDVD「ビリーズブートキャンプ」(2007年)もテレビショッピングを中心に一世を風靡した。

2009年(平成21年) Amazonが初めて国内通販売上高で首位。通販業界の勢力図は一変

EC市場が拡大する中、通販業界で台頭したのがAmazonだった。通販新聞が集計した通販売上高ランキングによると、Amazonは2009年の通販売上高が2510億円となり、初めて国内首位に立った。

同年の通販売上高ランキングの上位10社には、BtoB通販のアスクル、ミスミ、大塚商会、テレショッピングのジャパネットたかた、ジュピターショップチャンネルなどがランクイン。カタログ通販が席巻した1990年代と比べ、上位勢の顔ぶれは大きく変わっている。

1	アマゾンジャパン	251,000	※	14.1 2	ベネッセコーポレーション	243,319	7.5 3	アスクル	190,469	0.4 4	千趣会	144,584	-0.7 5	ニッセン	138,176	8.1 6	ジャパネットたかた	137,038	18.1 7	ジュピターショップチャンネル	131,676	◇	─8	ミスミグループ本社	110,041	連	-13.1 9	ベルーナ	91,700	-10.0 10	大塚商会	89,192	8.1 11	ディーエイチシー	71,320	※	0.7 12	QVCジャパン	71,000	※	-1.3 13	デル	67,000	※	-10.0 14	セシール	63,544	-3.7 15	ディノス	54,723	0.7 16	フェリシモ	54,277	-1.2 17	スクロール	52,415	4.9 18	ユーキャン	48,876	連	-6.9 19	カウネット	45,200	9.4 20	サントリー	40,000	32.0 21	日本生活協同組合連動会	37,681	2.5 22	オークローンマーケティング	36,922	-7.5 23	オルビス	36,297	※	-3.4 24	ソニースタイル・ジャパン	35,000	※	16.7 24	ファンケル	35,000	※	-2.8 26	ヨドバシカメラ	34,469	6.5 27	山田養蜂場	33,330	4.3 28	カタログハウス	33,060	-6.3 29	三越	32,667	-4.3 30	上新電機	31,818	14.9

サイバー攻撃による情報流出が問題化

2000年代後半になると、ECサイトへのサイバー攻撃による顧客情報の流出が深刻化した。2005年にはワコール、2008年にはミネルヴァ・ホールディングスのECサイトがサイバー攻撃を受けている。その後も通販業界では、ECサイトへの不正アクセスによる情報流出が頻発。セキュリティー対策が業界の課題となっている。

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