ニフティの「セシール事業」買収&ピーク時は売上2000億円を超えた「セシール」の変遷まとめ
ニフティはディノス・セシールのセシール事業を買収し、EC領域を強化する。
ディノス・セシールは、新設する「株式会社セシール」(新セシール)にセシール事業を会社分割(吸収分割)の形式で承継。ニフティは新たに設立するニフティ・セシールを通じて、新セシールの全株式を2021年3月1日付けで取得する。
新セシールは、セシール事業に関わるディノス・セシールコミュニケーションズ、セシールビジネス&スタッフィング、賽詩麗商貿(上海)有限公司の全発行済株式も吸収分割の形式で承継する。ニフティは、コールセンター事業など通販全般の業務に関わるセシール事業を2021年3月1日付けで譲り受ける。
なお、ディノス・セシールコミュニケーションズが手がけるディノス事業とリテンション事業は、ディノス・セシールが非譲渡対象として設立する新会社に吸収分割で承継。ディノス・セシールの完全子会社として事業継続する。
セシールは、シニア女性層を中心に全国規模で顧客を抱えており、インナーなど幅広い生活用品分野を展開し、老舗総合通販ブランドとして知られている。現在は、カタログ通販を主軸とする事業展開の中、これまで蓄積してきたノウハウを生かしたEC領域の強化を推進している。
今回、セシール事業をニフティグループに取り入れることで、EC領域の事業展開を加速し、顧客の生活を豊かにするためのサービスを拡充するという。
一方、ディノス・セシールは今回の株式譲渡契約について次のように説明している。
近年激化する競争環境において、今後さらなる競争力の強化やブランド価値向上を図り、持続的にお客様によりよい商品・サービスをご提供していくため、総合的に検討した結果、ニフティによる新たな経営環境下で事業を展開することが最善の選択肢であると判断し、このたび本譲渡を決定いたしました。
今回の株式譲渡契約に伴い、ディノス・セシールは社名変更を予定している。新社名について決定次第明らかにする。
ディノス・セシールの2020年3月期売上高は、前期比2.8%減の1048億9900万円。
日本初の通販企業で売上2000億円突破
「セシール」ブランドは、1974年創業のカタログ通販会社セシールが前身。セシールは、1990年代のピーク時には通販企業として初めて2000億円を突破した老舗総合通販企業。
1986年から通販業界首位に君臨し、1992年3月期の売上高は前期比7.4%増の2009億円となり、通販業界で初めて年商2000億円を突破した。
セシールは1980年代中盤からメーンターゲットを職場単位から個人客へとシフト。個人客の増加に対応するため、受注や顧客管理のシステム化を進め、売上拡大の基盤を構築した。1980年代後半から全国紙や地方紙など新聞広告を大々的に展開、売り上げを大きく伸ばしていった。
カタログの発行部数は1987年に1000万部を超え、1994年秋冬号は合計6815万部に達していた。
その後、業績低迷によって2005年、ライブドアとライブドアマーケティングの2社と資本業務提携を締結。2006年にはライブドアの連結子会社となった。
ライブドアからフジテレビグループがセシールを買収したのは2009年。2013年にフジ・メディア・ホールディングスが、連結子会社のフジ・ダイレクト・マーケティング(FDM)とFDM100%子会社のディノス、セシールの3社を合併し、存続会社の商号をディノス・セシールに変更した。
Il offre sa confirence et son amour(フランス語で愛と信頼をお届けしますの意。「イロッフル・サ・コンフィアンス・エ・ソナムール」と読む)
1980~90年代を中心に放映され、「何を言っているのか非常に話題となった」(ディノス・セシール)というテレビCMで使われたセシールのブランドメッセージは、多くのユーザーや関係者の耳に残っている。