Digital Commerce 360[転載元] 2022/8/25 9:00

この1年の間に、14 のカテゴリーのうち 10 のカテゴリーで、小売価格全体の上昇率はオンライン価格のそれを上回りました。もしこの傾向が続くなら、オンライン小売事業者は、特にこれからのホリデーシーズンにおいて、価格に敏感な消費者にアピールすることができるかもしれません。

このコラムは、eコマースの取材を行っている『Digital Commerce 360』のドン・デイヴィス編集長が担当しています。

家具、コンピュータ、玩具、スポーツ用品でオフラインの価格が大幅に上昇

インフレは大きな問題です。もし、オンライン価格が店頭よりも緩やかに上昇しているとしたら、それは大きな話題になるでしょう。そして現在、その兆候が見られます。

6月の「Adobe Digital Price Index」の価格変動を、米国政府が発表した同月の消費者物価指数と比較することで、この結論を導き出しました。高度に科学的な研究であるかのように装うつもりはありませんが、この結果は一考に値するでしょう。

政府の消費者物価指数に合致する、14のAdobe指数カテゴリーのうち、10のカテゴリーにおいて、12か月のインフレ率はオンライン小売よりも総合小売の方が高いという結果が出ました。

以下のカテゴリーでは、6月の小売価格全体の前年比上昇率がオンラインを上回りました。

  • 家具・寝具
  • コンピュータ
  • 玩具
  • スポーツ用品
  • 書籍
  • 衣料品
  • 宝飾品
  • 家電製品
  • 工具
  • リフォーム

また、いくつかのカテゴリーでは上昇率が大きくなっています。たとえば、家具/寝具では、6月までの12か月間に、小売価格の合計がすべてのチャネルで13.1%上昇。それに対し、オンラインは4.63%の上昇にとどまりました。リフォームなど他のカテゴリーでは、その差はごくわずかです。

2022年6月と2021年6月の比較では、4つのカテゴリーでオンライン価格の上昇率が高くなりました。食料品、非処方箋薬、ペット用品、医療機器・用品です。しかし、オンラインと小売総額の差はまだ小さいままです。

最も差が大きかったのは医療機器で、オンラインでは10.5%の上昇、実店舗を含む全チャネルでは5.9%の上昇にとどまりました。

14のカテゴリーを平均すると、オンラインでの価格上昇は、すべての小売チャネルでの価格上昇よりも2.7ポイント低いものとなりました。

ほとんどの小売価格はオンラインとオフラインで同じ

表面的には、オンライン価格の方が安いというのは理にかなっています。なぜなら、オンラインショッピングでは、購入前にさまざまなECサイトの価格を簡単に比較することができるからです。そして、それが事実であることを示すデータもあります。

その研究は、マサチューセッツ工科大学の経済学教授であるアルベルト・カヴァロ氏が2016年に行ったもの。カヴァロ氏が調査した10か国では、オンラインとオフラインで価格が同じケースが72%(米国は69%)あったそうです。しかし、違いがある場合は、ECサイトの価格の方が低いという傾向がありました。

注目すべきは、カヴァロ氏が商品カテゴリーによって大きな違いを発見したことです。衣料品と電子機器ではオンラインで価格が同じになる可能性が最も高く事務用品とドラッグストア商品ではオンライン価格が最も低いことがわかりました。

また、Adobeが2019年に新聞社USAトゥデイ向けに行った別の調査では、ほとんどの商品カテゴリーでオンラインがオフラインよりも早く値下がりしていることがわかりました。つまり、その傾向はコロナ禍以前からあったようです。

価格設定アルゴリズムがオンライン価格に与える影響

なぜ、店頭よりもオンラインの方が価格の下落が早いのでしょうか。消費者向けに金融情報を提供するBankrate.comのシニア・インダストリー・アナリストであるテッド・ロスマン氏は、オンライン小売大手の規模が一役買っている可能性があると言います。

たとえば、オフラインの価格は、世界のアマゾンに価格面で対抗できない中小企業が多く含まれているため、部分的には高いかもしれません

小売事業者が競合他社のオンライン価格を追跡し、「自社の価格を自動的に調整できるアルゴリズムが一役買っているかもしれない」とシンクタンクであるThe Brookings Institutionのザック・ブラウン氏とアレキサンダー・マッケイ氏は最近の研究でこう説明します。

しかし、オンライン小売事業者が競合他社に追随するために、活用している価格設定アルゴリズムを分析したところ、場合によっては、オンライン価格が上昇する可能性があることが示唆されました

高度なアルゴリズムを導入する仕入れ販売の小売事業者は、ライバルが販売価格に合わせてくるので、その場合は価格を下げる意味がないと判断する可能性があると主張しています。その代わりに、最も収益性の高い価格、つまりより高い価格で販売することになるのです。

一方、オンラインマーケットプレイスの役割の増大が、オンライン上の価格を低く抑えているのではないかという説もあります。Amazonのような大手ショッピングサイトでは、出品事業者は競合他社に売り上げを奪われないよう、常に価格を調整しなければいけません。

Digital Commerce 360』によれば、マーケットプレイスは現在、北米のオンライン販売の半分以上を占めています。

オンラインでのインフレとこれからのホリデーシーズン

これらの議論はすべてもっともだと思いますが、確信していることが1つあります。オンライン価格がオフライン価格よりも常に速く下落することはあり得ません。

なぜなら、時間が経つにつれ、オンライン価格があまりに低くなり、ほとんどの消費者が購買をECにシフトしてしまうからです。そうなれば、店舗を運営する小売事業者は、おそらく価格を下げることで対応せざるを得ないでしょう。

しかし、それは長期的な話でしょう。この1年、店頭よりもオンラインの方が早く価格が下がった可能性もあります。もしかしたら、前年からのトレンドが反転しているのかもしれません。あるいは、いくつかの大手小売チェーンが公言している問題ですが、過剰在庫を抱えた小売事業者が、ECサイトやオンラインマーケットプレイスを利用して、店舗中に大きな値引きサインを貼り付けるよりも目立たないように過剰商品を移動させたのかもしれません。

もしあなたがホリデーシーズンに低価格を提供できるオンライン小売事業者であれば、大きなアドバンテージを得ることができるかもしれません。インフレが消費者の購買習慣を変えていることは明らかです。11月と12月にバーゲンを提供できる小売業向けeコマース・サイトは、そのURLへ消費者が殺到することが予想されます。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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