コマースOneホールディングスのグループ会社である既読は5月28日、EC事業者向けAIクリエイティブ生成SaaS「AI Creative One(AIクリエイティブワン)」正式版の提供を始めた。商品画像やバナー、動画、LP素材の制作を「撮影前提から生成前提へ転換する」としている。
「AI Creative One」は、商品画像1枚をアップロードするだけで、ECに必要な各種ビジュアルを生成できるAIクリエイティブ生成SaaS。プロンプト(AIへの指示文)の入力は不要で、撮影やモデル手配、スタジオ予約を行うことなく制作を進められる利点がある。

既読は、EC市場の拡大に伴い商品画像やSNS・広告向けクリエイティブ制作の負担が年々大きくなっていると説明。商品(SKU)が増えるたびに撮影やレタッチの工数が積み上がり、カラーバリエーション展開や季節キャンペーンのたびに、スタジオ予約やモデル手配、カメラマンの日程調整といった同様の工程が繰り返されているという。その結果、施策のスピードに制作が追いつかず、予算の都合で「全色は撮影できない」と販売機会を逃すケースもあり、EC運営の現場ではクリエイティブ制作がボトルネックとなっていたとしている。
既読はAIとデザイナー監修を組み合わせた受託制作として、累計3000点以上のビジュアル制作を手がけてきた。その過程で、「撮影前提」の制作フローそのものを変えなければ、現場の負担は根本的に解決できないと認識。こうした受託制作で培ったノウハウを、専門知識がなくても利用できるツールとして形にしたのが「AI Creative One」という。サービス名の「One」には、商品画像・バナー・動画・LPと分かれていたEC事業者のクリエイティブ制作を、AIによって1つに統合するという意味を込めた。
既読は4月6日にβ版を公開し、ユーザーからのフィードバックを元に改善を重ねた。その後、商品画像生成やバナー・SNS広告画像生成を中心とする主要機能を搭載し、5月28日に正式版へ移行した。動画生成およびLPストーリー画像生成については、正式版リリース後も機能拡充を進めるとしている。

主な機能
- 商品画像生成:物撮りイメージやモデル着用画像を商品画像から生成。背景違いやカラーバリエーション、構図違いにも対応
- バナー・SNS広告画像生成:ECバナーや各SNS向け広告ビジュアルを生成。コピー挿入や各媒体サイズへの自動変換に対応
- 動画生成:商品画像から短尺動画素材を生成(順次拡充予定)
- LPストーリー画像の一括生成:Amazonや楽天市場などのECモール、自社EC向けLPビジュアルを一括生成(順次拡充予定)

既読は、商品画像から物撮り、モデル着用画像、バナー、動画、LP素材まで、EC運営に必要なビジュアルを1つのツールで制作できる点を特徴としている。
制作リードタイムを即日に短縮、コストは最大80%削減
既読によると、「AI Creative One」を活用することで、従来1〜2週間を要していた制作リードタイムを即日まで短縮できるという。さらに、撮影と比較してコストを最大80%、業務工数を最大94%削減できるとしている。いずれも同社調べ。これにより、これまで予算の都合で実施が難しかったカラーバリエーション展開や、季節ごとのキャンペーン素材制作にも対応しやすくなるという。

料金プランは、「Free」「Basic」「Pro」「Enterprise」の4種類を用意する。
- Free:0円。操作感の確認向けで、クレジットカード登録不要
- Basic:月額1万2800円(税抜)。画像編集機能と無制限ダウンロードに対応
- Pro:月額2万9800円(税抜)。優先サポート付きで制作量の多い事業者向け
- Enterprise:個別見積。専任サポートやカスタマイズ対応
同社は、すべてのプランで利用規約に基づく商用利用が可能としている。
アップロードデータはAIの再学習に利用せず
セキュリティや著作権への対応として、生成物は利用規約に基づき商用利用できる設計とした。アップロードされたデータはAIの再学習には使用しない。また、すべての通信をHTTPSで暗号化し、運用履歴を記録することで、内部統制やガバナンスへの対応も意識したとしている。
既読は、受託制作とSaaSの双方において、デザイナー監修による品質管理と権利関係への配慮を重視しており、AIを安心して業務へ組み込めること自体をサービス価値の1つと位置付けている。

