「2030年までに人間とロボットが協働する労働力の管理体制が整う」――世界のリーダー67%が予想
インテルの最新調査で、世界のリーダーの67%が2030年までに人間とロボットが協働する労働力の管理体制が整うと予想していることがわかった。一方で、正式な戦略を持つ組織は40%にとどまり、ロボット導入への期待と運用準備の間にギャップが浮かび上がっている。
8月27日 8:30
インテルが8月26日に公表したロボティクスに関する最新調査によると、世界のビジネス・IT部門のシニアリーダーやロボティクス専門家らの67%が、2030年までに人間とロボットが協働する労働力の管理体制が整うと予想していることがわかった。一方、人とロボットの協働に関する正式な戦略を策定している組織は40%にとどまり、ロボット活用の将来像と現時点の準備状況には大きなギャップがある。

さらに、74%が2030年までに人材計画とロボティクス戦略は不可分になると回答。ロボットを単なる省人化の手段ではなく、人材戦略や企業の競争力を左右する存在として捉える動きが広がっている。
調査は、米国、英国、ドイツ、日本、中国、韓国の6か国で、年間売上高5億ドル超の組織に所属する経営・IT部門のシニアリーダー、ロボティクス専門家、政府・医療関係者ら計800人を対象に実施した。
ロボット導入は「実験」から「事業計画」へ
インテルによると、10人に6人が今後5年以内に自組織で多数のロボットを運用すると見込んでいる。ロボティクスは実証実験の段階を超え、今後5年間の具体的な事業計画として位置付けられつつある。
すでにロボットを導入している組織では、生産性や品質、サービス提供スピードなどで成果が出ているという。ロボティクスを単なる試験施策ではなく、競争力を左右する要素と捉える見方が強まっている。
一方で、人とロボットが協働するための正式な戦略を持つ組織は4割。導入意欲の高まりに対して、組織づくりや運用設計が追いついていないのが現状だ。
インテル コーポレーション インダストリアル&ロボティクス事業部 バイス・プレジデント兼事業部長のジョン・ヒーリー氏は、ロボティクス導入の次の段階では、単に導入できるかどうかではなく、本格展開できる準備が整っているかが重要になるとコメントしている。
ロボットの大規模展開を左右する5つの要素
インテルは、ロボティクスの大規模展開に成功する組織と、パイロット段階で停滞する組織を分ける要因として、「戦略」「スキル」「安全性」「外観」「大規模展開」の5つをあげている。
1.戦略――将来像は見えているが、正式な準備は4割
2030年までに人とロボットが混在する労働力を管理できる体制が整うとの見方が広がる一方、正式な戦略を持つ組織は4割にとどまっている。
2.スキル――ロボットは人の仕事を奪うだけではない
回答者の3分の2は、ロボティクスによって人のスキルは低下するのではなく、向上すると見ている。一方、10人に4人は、スキルや人材の不足がロボティクス導入拡大の阻害要因になっていると回答。人とロボットが協働する現場では、ロボットそのものの導入だけでなく、それを扱う人材の育成も課題となる。
3.安全性――価値を認めつつ、導入の壁にも
31%は、ロボティクスが最も大きな価値を生む領域として安全性をあげた。一方、55%は安全面の懸念によって導入が遅れたと回答。68%は、より明確なグローバル安全基準が整えば導入が加速すると見ている。
4.外観――「見た目」よりも性能を重視
77%はロボットの見た目より性能を重視すると回答した。また、65%は現在のロボットの形状やサイズが、現場ニーズよりも技術的制約に左右されていると考えている。ロボットが人間のような外観を持つことよりも、実際の業務でどれだけ機能するかが重視されているようだ。
5.大規模展開――リアルタイム処理が実用化の鍵
回答者の4分の3以上が、重要なロボティクス用途では100ミリ秒以内の意思決定が必要と回答し、約4分の1は10ミリ秒未満の応答が必要とした。こうした要件を背景に、42%の組織がエッジまたはデバイス搭載AIの戦略策定と予算化を進めており、39%はすでに積極的な開発段階にあるという。
今回の調査からは、ロボティクスを「導入するかどうか」を検討する段階から、人材、組織、安全性、AI基盤を含めて、どう大規模展開するかを考える段階へ移りつつあることが見えてくる。インテルは、ロボティクスとフィジカルAIを企業変革の次のフロンティアと位置付け、エッジAI向け半導体から各種基盤やツールまでを通じ、企業の導入準備を支援していく考えだ。

