eBayのECモール「Qoo10」が流通総額「3500億円→5000億円」へ向けて1000億円を投資へ。「メガ割」のGMV605億円、国内ブランド売上47%成長の「次の一手」
「Qoo10」の2026年における流通総額は3500億円になる見通し。2029年には5000億円超をめざす成長戦略を打ち出した。今後3年間で1000億円超を投資する方針だ。
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ECモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは8月25日、初の出店者向けカンファレンス「Qoo10 Seller Conference 2026」を都内で開き、約900人の出店者が参加した。「Qoo10」の会員数は3000万人を超え、2026年の年間流通総額(GMV)は約3500億円となる見通し。
2029年にはGMV5000億円超を計画しており、今後3年間で1000億円以上を投資する方針を示した。国内ブランド向けの販促支援、AIを活用した購買支援・商品分析、ライブコマース、リアル拠点の整備などを進め、出店者の販売機会を広げていく。

2029年にGMV5000億円超へ向けて1000億円以上を投資
冒頭に登壇したeBay Japanのグ・ジャヒョン社長は、「Qoo10」の会員数が3000万人を超えたと説明。2026年の年間GMVは約3500億円規模になる見通しを明らかにした。このうち、韓国ブランドや韓国コスメなどのKビューティー領域は流通額1500億円超の規模に成長しているという。

今後は2029年にGMV5000億円を超えるマーケットプレイスをめざす。目標達成に向け、今後3年間でマーケティング、テクノロジー、プラットフォームなどに1000億円以上を投資していく。
「Qoo10」はこれまでビューティー領域を主力としてきたが、今後は食品、ファッション、ライフスタイル、家電、エンターテインメントなどにも領域を広げる。韓国ブランドの支援を通じて培った販売・マーケティングの知見を、日本ブランドの販路拡大やファン獲得にも生かす考えだ。
会員数は3000万人で若年層が中心。「メガ割」GMVは605億円
「Qoo10」の利用者は2024年の時点で3000万人に達しており、10~30代が全体の7割を占めるという。認知度は8割超としており、若年層との接点が大きな特長となっている。
「メガ割」初日の購入者350万人、GMV605億円
大型セール「メガ割」も成長を続けている。2026年5~6月に実施した「メガ割」では、初日の来場者数が675万人、購入者数が350万人、1日平均の販売点数が112万点に達した。GMVは前年比12%増の605億円となった。

SNSでの拡散も大きく、「Qoo10」関連のハッシュタグが付いた動画は累計23億回以上再生されているという。
モバイル決済比率は55%、PayPayが4割超
2026年6月の「メガ割」では、GMVに占めるモバイル決済の比率が55%。モバイル決済のうち「PayPay」の比率は4割を超えた。若年層を中心にスマートフォンを起点とした購買行動が強い。
国内ブランド支援を拡大、販促施策「メガプログラム」などを強化
「Qoo10」は今後、日本ブランドの取り込みと成長支援を強化していく。
「メガ割」期間における国内公式ブランドの前年比売上成長率は47%増で、国内セラー全体の22%増を上回ったという。韓国公式ブランドの成長率も超えたという。国内EC市場全体の成長率が数%程度とされるなかで、「Qoo10」内における国内ブランドの伸びは際立っていると言えそうだ。

「Qoo10」では露出強化や販促支援を通じて、ブランドの立ち上げから拡販までを後押しする出店者向け支援プログラム「メガデビュー」を提供しており「メガデビュー」「メガコラボ」「メガ推し」の3プログラムを展開している。
初登場ブランドの認知獲得と初速づくりを支援する導入向けプログラム「メガデビュー」は累計268ブランドが参加し、累計売上高は56億円。参加前後の平均売上成長率は約15倍としている。
既存ブランドの売上拡大や新商品訴求を、特設企画などで後押しする販促強化プログラム「メガコラボ」も参加前後の売上成長率が約13倍。選抜ブランドを「Qoo10」内外で集中的に露出し、話題化とファン獲得を狙う重点支援プログラム「メガ推し」は累計1億ページビューを達成したという。
現在6%にとどまる国内ブランドのメガプログラム参加率を、2029年に50%まで引き上げる目標を示した。
「QooOnly」は対象商品が約4倍、CVRは約3倍
限定品や先行販売商品に公式マークを付与する「QooOnly」も拡大している。開始以来、対象商品数は約4倍に増加し、全体売上の約4割を占めるまでに成長。通常商品と比べたコンバージョン率は約3倍という。
ライブコマースも強化 1時間で8億円の販売事例
ライブコマース「Qoo10ライブ」も強化する。
今回のカンファレンスでは、1時間の配信で当日中に8億円を売り上げ、86万人が視聴した事例を紹介した。メガ割でも1時間で73万ビュー、取引総額5億円を達成したブランドが登場しており、ライブを販売チャネルとして活用する動きが広がっているようだ。
AIを購買支援と出店者支援に活用 大量レビューを分析
今回のカンファレンスでは、AI関連の取り組みも紹介された。「Qoo10」は、購入前のユーザーを支援する「AI購入アシスタント」と、出店者向けの「AI商品レポート」を開発している。

背景にあるのが、「Qoo10」に蓄積された大量のレビューだ。ベイン・アンド・カンパニーが2024年に実施した調査では、「Qoo10」のビューティーカテゴリーにおけるレビュー数は日本の主要ECサイトの7倍に上るという。
「AI購入アシスタント」でレビューから購入判断を支援
「AI購入アシスタント」は、ユーザーから商品について質問を受けると、レビューを分析して回答するチャットボット。紹介された例では、9352件のレビューから敏感肌ユーザー1284件分の声を抽出し、肌質や悩みに応じた情報を提示する。商品スペックや価格だけでは判断しにくい情報をレビューから整理し、購入前の疑問を解消する狙いだ。ビューティーカテゴリーで2026年中の提供をめざしており、薬機法に配慮した回答表現などを調整している。今後は他カテゴリーにも広げる構想だ。
「AI商品レポート」は商品企画や販促にも活用
出店者向けには「AI商品レポート」を開発している。
年齢層、肌タイプ、肌トーン、肌悩み、ポジティブ/ネガティブキーワード、ブランド側の意図と顧客反応のずれ、競合商品の分析など、8つの項目を分析する構想だ。レビューや購買行動のデータをもとに、商品企画や販促施策につながる情報を提供する。現在は一部出店者を対象にトライアルを実施中で、有償提供とするかどうかを含めて検討しているという。
オフラインも強化、2027年には原宿に旗艦店
「Qoo10」はオンラインだけでなく、リアルの顧客接点も増やす。渋谷と原宿で3拠点を整備する計画で、10月1日以降には渋谷のライブ配信スタジオを「サンプルハウス」としてリニューアルする。11月20日には原宿・キャットストリート沿いに「メガポップアップ」を開設する予定。さらに2027年9月末には、原宿駅前に約2500平方メートルの旗艦店を開業する計画だ。オンラインでの集客力をリアルな接点にも広げ、出店ブランドの商品との接触機会を増やす考えだ。
「Qoo10」、次の成長軸は「国内ブランド」と「AI」
「Qoo10」は、2029年のGMV5000億円超に向け、国内ブランドの販促支援とAIによる購買・商品分析を強化する。1000億円以上の投資を成長基盤に、EC以外の顧客接点も広げる構えだ。
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